「最高の一日だった。TTを前にライバルたちにタイム差を付けることが出来たのはとても大きい」とは、圧倒的なヒルクライムでマリアローザを得たナイロ・キンタナ。ライバル勢や、落車に巻きこまれたゲラント・トーマスらのコメントと合わせて紹介します。



ステージ優勝でマリアローザを得たナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)

マリアローザを獲得したナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)マリアローザを獲得したナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
1級山岳ブロックハウスでアタックを繰り返すナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)1級山岳ブロックハウスでアタックを繰り返すナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) 最高の一日だったよ!自分、そしてチームメイトの皆が素晴らしいことを成し遂げられると証明したかった。かなり調子の良さを感じているし、チーム全体としても強さを発揮できていることが嬉しいんだ。チームの皆は、ただ速くて強いというだけじゃなく、レースの最初から最後まで僕を支え続けてくれ、これ以上ないタイミングでアシストしてくれた。彼らの働きに報いたいというのが、僕に大きなモチベーションとなったよ。

タイムトライアルステージの前に、主要なライバルたちにタイム差を付けることが出来たのはとても大きい。最初のアタックではピノとニーバリを振り落とすことが出来なかったけれど、何度もアタックを繰り返して抜け出すことに成功したんだ。持てる力を全て出し切ったから、このステージで勝利を掴めたし、休息日の前日にマリアローザを獲得できた。最高の気分だ。

でも、まだまだジロはこれからだ。火曜日のタイムトライアルではドゥムランが30秒前後タイムを縮めてくると予想しているけれど、僕も最高のコンディションにある。この勝利は妻と母、全てのコロンビアとラテンアメリカのサイクリングファン、そしてミケーレ・スカルポーニへと捧げたい。

ステージ&総合2位、ティボー・ピノ(フランス、エフデジ)

単独2番手で追走するティボー・ピノ(フランス、エフデジ)単独2番手で追走するティボー・ピノ(フランス、エフデジ)
予想通り非常にタフなステージだったし、演出のためのこれ以上長いステージは要らないと理解できたことだろう。たった一つの峠にも関わらず非常にハイペースで、キンタナはものすごく強かった。リスクを冒しながら彼について行ったけれど、終盤に脱落。その後ドゥムランを合流して、TTのように一定ペースで登る彼に合わせてゴールまで辿り着いたんだ。勝ちたかったけれど結果は2位。そこまでキンタナから離れなかったので結果としては満足しているよ。気温が高く自分には少し厳しい条件だったことも悔やまれる。

スカイの落車は自分のすぐ前で起こったんだ。転ばなかったのは奇跡。少し集中力を削がれてしまったが今はホッとしている。今夜は3時間のバス移動が控えているので多分マッサージは無し。明日の休息日は個人TTの下見に充てることになるだろう。40kmのTTは非常に長い。ドゥムランは間違いなくマリアローザを狙ってくるだろう。すでに総合10位の選手は3分以上の差がついているので、総合争いも絞られてきた。火曜日は全力を尽くしたい。

ステージ&総合3位のトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)

非常に調子が良かったケルデルマンを落車で失ってしまい残念。2位という結果を残せたけど、彼が気がかりで両手離しでは喜べないよ。自分は落車を防ぐことができたが、彼は僕の近いところにいただけに余計に悔しい。レース自体は上手く立ち回れたし、脚も良く回っている。

24秒差でフィニッシュするティボー・ピノ(フランス、エフデジ)とトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)24秒差でフィニッシュするティボー・ピノ(フランス、エフデジ)とトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) フィニッシュにたどり着くバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)フィニッシュにたどり着くバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) photo:CorVos


バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)

本当にとても厳しいヒルクライムだったよ。このジロの中でも最も辛い登りだと思うよ。でも、良い結果を残せたと思う。今日、凄まじい強さを見せつけたキンタナをはじめとした上位3人から、そこまで大きく遅れることは無かったからね。とにかく全登り区間で良いペースを保つことができた。総合争いの面でもいい結果だよ。他のライバルに対して2分以上差を付けることが出来たんだから。

キンタナがアタックした時には無理をせずに自分のテンポをキープすることに集中していたよ。ドゥムランと共に良いペースを刻んでいた。でも、彼が強くてあまり前を引くことは出来なかったね。タイムトライアルにも強いし、一定の高出力を保つことに長けているんだ。ラスト2kmでピノとドゥムランから脱落してしまったけれど、フィニッシュまでもがき続けたよ。ブロックハウスは本当にハードな峠だった。

ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)

苦しんだヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)苦しんだヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) photo:CorVos自分向きの登りではなかった。キンタナのチームメイトが素晴らしい働きをしたため、ラスト13kmはものすごく速いペースを刻んだんだ。登り序盤ではエネルギーを過剰に使ってしまった気がする。キンタナは自分よりも10kgは軽いので飛ぶように登っていたよ。しかしこれからのステージでは頭を使ってタイムを挽回していきたいと思う。

ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール)

今日の結果には満足している。ここ2日間、プロトンはとてもハイペースで私たちのチームは苦戦し続けてきた。ブロックハウスでは、かなり良く登れていたと思う。モビスターがとても速いペースを維持していたけれど、多くのチームメイトと共に先頭に残り続けることが出来た。

落車に巻き込まれたゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)

レース後に報道陣に囲まれるゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)レース後に報道陣に囲まれるゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
道幅いっぱいに広がって位置取りしている中で、突然警察のモトがコース上に止まっていた。起こってはいけない事故が起こってしまった。本当に馬鹿げている。個人TTをベストな状態で迎えるように、そして自分たちの状態を見極めるために休息日を上手く使わないといけない。もはや総合優勝は極めて難しい状態になってしまったが、これからのステージでトップ10に食い込むことはできるはず。レースを厳しい展開に持ち込み、そこからの様子を伺っていきたい。今回以上にひどい落車は何度も経験してきた。今は肩が痛むけれど、対処できないほどじゃない。まだまだレースは続くのでタイムを縮めていけるはずだ。

指を骨折しDNFとなったウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)

こんな風にレースを去るなんてフラストレーションしか無い。トムは何とか左側に止まっていた白バイを避けたが、僕のハンドルが接触してそのまま投げ出されてしまった。自分が好調でトムをサポートするつもりだっただけに残念極まりないよ。ただチームの結果的に上手く運んでいるし、ここまでその一員として働けたことは良かった。ジロを目指してここまでの数か月、自分のパフォーマンスを上げ続けてきたのに、もうレースを続けられないなんて悲しすぎる。

落車でマリアビアンカを失ったアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)

不運に落ち込んでいるけれど、ジロは終わってはいない。厳しいトレーニングを重ねてジロに乗り込んできた。その好調さは消えて無くなるわけではないので、ここからの2週間で何かしかけていきたいと思う。逆にモチベーションはこれまで以上に高まってきているし、総合成績を取り返していきたい。

text:So.Isobe&Naoki.Yasuoka