大小さまざまなブランドひしめくMTB界において、グラビティ系の種目を軸に確固たる存在感を放つアメリカンブランド、GT。最新のリンクシステムによって、登りから下りまでどんな場所でも楽しめるXCフルサスバイク「HELLION」をインプレッション。



GT HELLION CRB/AL EXPERTGT HELLION CRB/AL EXPERT (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
1979年に、アメリカ・カリフォルニア州サンタナにて創業したGT。もともと金管楽器の修理職人であったゲーリー・ターナーがその高度な溶接技術を活かして、息子のために製作したスチールBMXから、GTの歴史は動き始めた。

息子のために作ったワンオフのBMXが他の子供の羨望の的になり、フレームを作ってほしいという要望が殺到。その噂を耳にしたバイクショップ経営者リチャード・ロング(のちにGTの共同経営者)がゲーリーに声をかけ、本格的な工房を立ち上げたのが、多くのレースで輝かしい実績を残してきたGTの起源である。

その後、BMXレースで並ぶもののない地位を気づいたGTはMTBへと進出。1987年に行われたインターバイクで5種類のフレームを発表したのを皮切りに、矢継ぎ早に新モデルを送り出していった。この時期に開発されたもの「トリプルトライアングル」デザインは今でもGTのアイコンでもあり続けている。

トップチューブ上部にはモデル名が大きく記されるトップチューブ上部にはモデル名が大きく記される カーブを描くダウンチューブと直線状のトップチューブが交わるヘッド部カーブを描くダウンチューブと直線状のトップチューブが交わるヘッド部
BBが独立してフロントフレームとリアセクションを繋ぐPATH LINK部分BBが独立してフロントフレームとリアセクションを繋ぐPATH LINK部分 シートステーには剛性を高めるブリッジが配されるシートステーには剛性を高めるブリッジが配される

1991年にはアメリカブランド初となるアルミ製MTBを開発。加えてチタンフレームなど、様々な最先端のマテリアルを取り入れたGTは、多くのレースで勝利を収めてきた。中でもワールドカップ史上最多記録となるジュリアナ・フルタドによる28勝という記録を支えてきたことは特筆すべきだろう。

常に最先端を求めるGTは、フルサスバイクの開発においてもパイオニアであった。1994年に発表したRTSが嚆矢となり、次々に新たな機構を採用したバイクを開発してきた。そんなGTが一つの答えとして導き出したのが、「i-Drive」と名付けられたリンクシステム。

メインピボットを高い位置に置くことで障害物を乗り越えるときの力を斜め後ろへと逃がし、快適性を高めつつスピードを殺さないというメリットを持つハイピボット方式の弱点であるキックバックを解消するために考案されたのが、i-Driveだ。「i-Link」と呼ばれるリンクプレートによって、ボトムブラケットをフローティングさせ、リアエンドとBB間の距離をほぼ一定に保つと同時に、ペダリングによる不要な動き(ボビング)をも排除した、革新的なシステムを搭載した「DH-i」によってダウンヒル世界チャンピオンの座を手に入れた。

1-1/8"-1-1/2"のインテグレーテッドヘッドチューブを採用1-1/8"-1-1/2"のインテグレーテッドヘッドチューブを採用 Race Face製のパーツがアッセンブルされるRace Face製のパーツがアッセンブルされる
ドライブトレインはフロントシングル、リア11速だドライブトレインはフロントシングル、リア11速だ シュワルベのチューブレスタイヤNobby NicをアッセンブルシュワルベのチューブレスタイヤNobby Nicをアッセンブル

そして、2012年からはトップダウンヒル選手であるジー・アサートンやレイチェル・アサートンらがGTファクトリーレーシングに加入、2013、2014シーズンはUCIチームランキング1位を連続で獲得するなど、常にトップレベルのレースシーンで活躍し続けてきた。

そんなGTが送り出すXC用フルサスバイクがHELLIONである。ダウンヒルシーンで培ってきたフルサスペンションバイクのノウハウを最大限に活用することで、登って下れるオールマイティな性能を持つ一台である。その要となるのが「AOS-Drive」だ。

先述したi-Driveをさらに発展させたAOS-Driveはアングルオプティマイズドサスペンションの頭文字をとったもの。その名が示すように、路面の凹凸に対するホイールのコンタクトアングルと動きの軌道を最適化する為に開発されたテクノロジーだ。

BB上に横向きで装備されるリアユニットBB上に横向きで装備されるリアユニット リアへ繋がるケーブル類は全てダウンチューブ下を通る外装仕様リアへ繋がるケーブル類は全てダウンチューブ下を通る外装仕様
リアエンド部も駆動する仕組みが取られるリアエンド部も駆動する仕組みが取られる チェーン暴れと落ちを防止するガードが装備チェーン暴れと落ちを防止するガードが装備

BBと一体化された「PATH LINK」を介してフロントフレームとリアスイングアームが接続されることで、サスとホイールの動きに連動してBB位置が動き、常にホイール間との最適な距離を保ち続けるという。メインピボットは15mmアクスルを採用すること、そしてCNC中空加工によるPATH LINK自体の軽量高剛性化によって、より確実なサスペンションストロークと、安定したリアホイール軌道を実現している。

また、AOS-DRIVEによるもう一つのメリットとして、より低重心なレイアウトが実現するということがあげられる。マスの集中化を意識したジオメトリーと合わせて、非常に安定感のあるライディングフィールをもたらした。

今回インプレッションするのは、XCからオールマウンテンの分野で主流となった27.5インチホイールに最適化されたAOSを搭載するHELIONシリーズの中でも最上位に位置するHELLION CRB/AL EXPERT。フロントトライアングルをカーボン、リアスイングアームをアルミとすることで、更なる登坂性能を求めた一台だ。

ドロッパーシートポストが標準装備。クイックレバータイプのクランプを使用するドロッパーシートポストが標準装備。クイックレバータイプのクランプを使用する ブレーキローターは前後とも180mmブレーキローターは前後とも180mm

フロントサスは130mmストロークのFox Rhythm 34。リアユニットは110mmストロークのFox Performance Floatを採用している。GTのカタログ上では、XCバイクという分類だが、DHにルーツを持つリンク方式やサスストローク量からは、かなりのダウンヒル性能が与えられているだろうことは想像に難くない。

独創的なAOS-Driveによって、無駄のないペダリング効率と最高の路面追従性を獲得したGT HELION。ダウンヒルレースを主戦場とするGTのXCフルサスバイクはどんな世界を見せてくれるのか。それではインプレッションへ移ろう。



ー インプレッション

「使用用途を限定しない懐の深さが魅力のバイク」山本朋貴(ストラーダバイシクルズ滋賀本店)

27.5のフルサスバイクということで、独自のリアギミックも走った時のフィーリングが良く、使い勝手の高さを感じさせてくれますね。実際の重量はそこまで軽くはないものの、走りの重さは全く気にならないほどによく進むバイクです。サーキットを高速で駆けぬけるという使い方ではありませんが、MTB遊びの様々なフィールドで活用できると思います。

「使用用途を限定しない懐の深さが魅力のバイク」山本朋貴(ストラーダバイシクルズ滋賀本店)「使用用途を限定しない懐の深さが魅力のバイク」山本朋貴(ストラーダバイシクルズ滋賀本店)
特徴的なリアサス部分は、いい意味で動きすぎない印象で、機能しながらもパワーが無駄に逃げているような感覚はありません。ハードテールにも似ている感じがあり、コントロールはしやすく自分の思ったラインを掴んでいけますね。それでいて、後輪が路面に押し付けるようなトラクションがかかる動きはしっかりと見せてくれるため、トレイルの登りでも滑ることなく安定して走ることができます。独特なギミックですが、どんなライダーでも違和感はないと思いますね。

ダウンヒルにも強いGTとあって、このバイクも下りはとても楽しいですよ。さすがにダウンヒルバイクとして使うのは無理がありますが、日本のトレイルに多い短い登りや下りの両方に対応してくれるので、MTB遊びとして使うなら全く不満がない仕上がりだと感じます。色々なセクションを楽しめるという点でポイントの高いバイクです。

「動きがつかみやすいリアサスで走りも安定する」山本朋貴(ストラーダバイシクルズ滋賀本店)「動きがつかみやすいリアサスで走りも安定する」山本朋貴(ストラーダバイシクルズ滋賀本店)
フルアルミのMTBだと重さを感じざるを得ないところがありますが、このバイクはフロント三角がカーボンということもあって走りの軽さに繋がっている部分ではないでしょうか。クロスカントリーレースに出たいというなら、ホイールを替えたい気はしますが、マウンテンを楽しむという用途ならパーツアッセンブルもこのままで必要十分に揃っていると思います。

どんなシーンにも使っていけますし、価格的にもこれからMTBを始める最初の一台として選択肢に入るバイクだと思うので、エンデューロやクロスカントリー、トレイル遊びなど、まだ用途が定まっていない人にオススメです。リアのセッティングも突き詰めていけば楽しいでしょうから、そういったギミック好きの方にも良いと思います。

「難しさを感じることなく、MTBの楽しさを味わえる。快適性重視で王滝などにも」鈴木祐一(RiseRide)

「難しさを感じることなく、MTBの楽しさを味わえる。快適性重視で王滝などにも」鈴木祐一(RiseRide)「難しさを感じることなく、MTBの楽しさを味わえる。快適性重視で王滝などにも」鈴木祐一(RiseRide)
いわゆる里山遊びや、長時間乗り続けるようなレースにちょうど良い走りだと感じます。前130mm、後110mmトラベルとレーシングバイクでも、純粋な下り系バイクでもない微妙な区分に位置するのですが、逆に言えばキャパシティの広さが楽しめますね。

たくさんの方、特にエントリーユーザーにオススメしたいバイクなのですが、その理由は非常に乗り心地が良いことにあります。レースバイクのリアサスは主に路面のギャップとリバウンドを使って、バイクを加速させていくために存在している、そしてそのための高度なテクニックも求められるですが、このHELLIONのリアサスの動きは衝撃を吸収するためのもの。リアホイールをBBごと斜め後ろ上方向に移動させて衝撃をいなす動きをするので、ものすごく乗り心地が良いんです。リアストロークが110mmとは信じられないくらい動きを感じますし、とても驚きました。

走りの面ではフロントフレームがカーボン製ですので、軽さというよりは特にヘッド周りの剛性が非常に強くできているように思いますね。加えてフロントはブースト規格ですので、バイク全体のフロント周りのねじれ剛性が強くて、狙ったラインにスパッと切り込んでいくことができるんです。

「リアサスが衝撃を吸収する動きで高い乗り心地に貢献」鈴木祐一(RiseRide)「リアサスが衝撃を吸収する動きで高い乗り心地に貢献」鈴木祐一(RiseRide)
だから初めてMTBに乗るビギナーユーザーにはすごくフィットしそうです。全く難しさを感じることなく、MTBの楽しさを感じることができるはず。ペダリングロスも大きくないため高速巡航も不得意ではありませんし、もちろんピュアレーシングバイクには反応性などでひけをとりますが、クロスカントリーレースに使っても悪くありませんね。衝撃吸収力が高いため国内でも少しずつ浸透してきたエンデューロレースでも活躍できるだけのポテンシャルは持っています。

そして一番活躍できそうな場面が、SDA王滝100kmクラスに初めてチャレンジ、もしくは完走を目指したい方。そうした長丁場ではいかに疲れを溜めないかがキモですし、このリアサスの動きは大きく助けになってくれるでしょう。余裕を持って前に進ませてくれますし、数値にはしにくい部分ですが、距離を重ねるたびにメリットが出てくるバイクですね。

GT HELLION CRB/AL EXPERT
フレーム:FOC ウルトラ カーボン フロント、6061 ハイドロフォーム アルミニウムリア
フォーク:Fox Rhythm 34 Float
リアユニット:Fox Performance Float
コンポーネント:シマノSLX
ハブ:前110mm(15mmアクスル)、後142mm(12mmアクスル)
サイズ:S、M
重量:13.04kg
価格:448,000円(税抜)



インプレッションライダーのプロフィール

山本朋貴(ストラーダバイシクルズ滋賀本店)山本朋貴(ストラーダバイシクルズ滋賀本店) 山本朋貴(ストラーダバイシクルズ滋賀本店)

滋賀県草津市にあるストラーダバイシクルズ滋賀本店の店長。2011、2012年の全日本マウンテンバイク選手権クロスカントリーマスタークラスチャンピオン。ストイックに自転車競技に取り組んできたが、ストラーダに入社後は、ビギナーライダーのライド初体験の笑顔に魅せられエントリーのお客様にバイクの楽しさを伝えることが楽しみ。最近はトライアスロンに挑戦中。

ストラーダバイシクルズ滋賀本店(CWレコメンドショップ)
ストラーダバイシクルズHP


鈴木祐一(RiseRide)鈴木祐一(RiseRide) 鈴木祐一(RiseRide)

サイクルショップ・ライズライド代表。バイシクルトライアル、シクロクロス、MTB-XCの3つで世界選手権日本代表となった経歴を持つ。元ブリヂストンMTBクロスカントリーチーム選手としても活躍した。2007年春、神奈川県橋本市にショップをオープン。クラブ員ともにバイクライドを楽しみながらショップを経営中。シクロクロスやMTBなど、各種レースにも参戦している。セルフディスカバリー王滝100Km覇者。

サイクルショップ・ライズライドHP

ウェア協力:アソス

text:Naoki.Yasuoka
photo:Makoto.AYANO
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