世界でもトップレベルの規模とテクノロジーを持つ台湾の自転車メーカー、メリダ。同社が力を注ぐMTB XCレーシングバイクの2017モデルから、フルモデルチェンジしたフラッグシップモデル、BIG.SEVEN TEAMをインプレッションを行った。



メリダ BIG.SEVEN TEAMメリダ BIG.SEVEN TEAM (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
MTBXCOの名門チーム、マルチバン・メリダバイキングチーム。ホセ・エルミダやガンリタ・ダールといったトップ選手たちが所属する同チームを設立以来15年間に渡り支え続けてきたのが、メリダである。その10年の中で選手たちと共につかみ取ってきた栄光は数知れず。世界選手権やオリンピックでの輝かしい勝利を経験してきた。

ロードレースシーンにおいても、2015年のランプレ・メリダへの供給に始まり、今シーズンはバーレーン・メリダをサポート、新城幸也の愛用するバイクブランドとして、日本のスポーツバイクシーンにおいて一躍存在感を強めてきたブランドでもある。

アグレッシブなポジションを取れるショートヘッドチューブデザインアグレッシブなポジションを取れるショートヘッドチューブデザイン 各所パーツはメリダオリジナル製品をアッセンブル各所パーツはメリダオリジナル製品をアッセンブル
フロントシングル×リア12速コンポーネントのSRAM XX1をアッセンブルフロントシングル×リア12速コンポーネントのSRAM XX1をアッセンブル ローター径はフロント180mm、リア160mmローター径はフロント180mm、リア160mm

そんなメリダが2017年モデルの目玉として発表したのが、XC用のレーシングバイクであるBIG.NINEとBIG.SEVENシリーズのフルモデルチェンジだ。同社のXCレースモデルの中核をなすハードテールマシンシリーズが、一気に新型へとアップデートされた。

BIG.NINEとBIG.SEVENの違いはホイール径にある。BIG.NINEが走破性に優れる29インチホイールを採用するのに対し、BIG.SEVENは走破性を保ちつつ、ハンドリングや小柄な選手のポジションの出しやすさなどを併せ持つ、バランスに優れた27.5インチホイールを採用するモデルだ。

新しいBIG.SEVENの開発にあたって重要視されたのは、マルチバン・メリダバイキングチームの求めるレーシング性能を満たしつつ、出来うる限りの軽量化、そして魅力的なデザインを同居させること。そのために、5年の開発期間をかけて、R&Dが行われた。

ヤグラ付近が扁平形状となった独自のS-Flexシートポストにより快適性を高めるヤグラ付近が扁平形状となった独自のS-Flexシートポストにより快適性を高める 扁平形状のシートステーにより振動吸収性を向上。シートチューブはBBに向かってフレアすることで剛性を高めている扁平形状のシートステーにより振動吸収性を向上。シートチューブはBBに向かってフレアすることで剛性を高めている 最大100mmのトラベル量を持つ軽量サスペンションフォーク「ロックショックス SID Worldcup」を装備最大100mmのトラベル量を持つ軽量サスペンションフォーク「ロックショックス SID Worldcup」を装備

クロスカントリーレースが年々過激なコースになるにつれ、求められる性能は高くなっていく。その要求にこたえるための剛性と快適性のバランスを実現するために、メリダは新たなカーボンレイアップスケジュールを設定。200を超えるカーボンプリプレグを精密に配置することで、一線級のレーシング性能を持ちながら、900gというロードバイク並みの軽量性をも実現した。

また、快適性とトラクション性能を向上させるために、リアトライアングルは「FLEXSTAY」と呼ばれるリーフスプリング形状を採用することで、マイクロサスペンションのような効果を発揮、加えてシートステイには高い振動吸収性能を持つ食物繊維由来のバイオファイバーをインサートしている。さらには、シートピラーにも、工夫が施されている。S-FLEXシートポストと名付けられたこのポストは、ヤグラ付近が扁平形状に成形されており、柔軟性を高めることでシート周りの快適性を大幅に向上させることに成功した。

一方、ダウンチューブには同社のオンロードレーシングモデルであるSCULTURAのノウハウをもとに、エアロシェイプを採用する。ゴールスプリントにもつれ込んだ時にも、わずかではあるが、ライバルたちに対して有利に働くことは間違いない。リアハブは148mm幅に広げた最新のBOOST規格を採用、より高い剛性を獲得している。

リアのブレーキとシフトケーブルはヘッドサイドから2本まとめてフレーム内に内装されるリアのブレーキとシフトケーブルはヘッドサイドから2本まとめてフレーム内に内装される カーボン製の軽量シートクランプが標準装備カーボン製の軽量シートクランプが標準装備
フルクラムのチューブレスレディ対応ホイールRed Passion 3を合わせるフルクラムのチューブレスレディ対応ホイールRed Passion 3を合わせる リアエンドまでカーボン成形される。ゴールドに輝く12速スプロケットは大幅に肉抜き加工され軽量化に貢献リアエンドまでカーボン成形される。ゴールドに輝く12速スプロケットは大幅に肉抜き加工され軽量化に貢献

今回インプレッションするのは、BIG.SEVENシリーズの中でもプロ仕様の最上級モデルである、BIG.SEVEN TEAM。非常に軽量なCF5グレードのカーボンを使用したフレームは、XCレースでのトレンドに従って、フロントディレイラーマウントを省略したフロントシングル仕様。スラムの1x12コンポーネントであるXX1に、新型のロックショックス SID Worldcupを組み合わせた完成車は、なんと重量8.3kgと、半端なロードバイクが裸足で逃げ出す軽量ぶりだ。

レースでの勝利を掴みとるために極限の設計を施されたBIG.SEVEN TEAM。その性能の限界を、二人のインプレッションライダーと共に探っていく。



ー インプレッション

「29erに匹敵する高い走行性能、リアの快適性が際立つ」山本朋貴(ストラーダバイシクルズ滋賀本店)

MTBのクロスカントリーレースに出場する機材として考えるなら、このバイクを選んで間違いのない1台でしょう。私自身が29erのバイクに乗っていたので、27.5インチだと進まないのではというイメージがありましたが、このバイクに乗ってその考えがガラリと変わりました。27.5インチでも29erと同じくらい進む高い走行性能を感じることができましたね。走りに対するフレームのポテンシャルの高さを感じるところです。

「29erに匹敵する高い走行性能、リアの快適性が際立つ」山本朋貴(ストラーダバイシクルズ滋賀本店)「29erに匹敵する高い走行性能、リアの快適性が際立つ」山本朋貴(ストラーダバイシクルズ滋賀本店)
特に好印象だったのが、リア三角の柔軟性。MTBのハードテールバイクだと一般的にリアの突き上げが大きく、体へのダメージを感じずにはいられません。しかし、このバイクは扁平化したリアセクションが衝撃をいなしてくれることで、腰等への疲労を抑えてくれますね。レース後半で疲れの蓄積度が変わってくる部分で、ライバルに対しアドバンテージとなることでしょう。

同時に、踏み込んだ時にリアのトラクションが良くダンシングしてもパワーロスなく走れるのも特長ですね。MTBで走る路面って下手なペダリングをしてしまうと、リアタイヤが滑ってしまうんですよね。今回いろいろな踏み方を試してみましたが、どれもタイヤがしっかりと地面に食いつく感覚があり、ペダリングの許容範囲が広いバイクだということを感じさせてくれました。

ヘッドの角度がやや寝ていることで安定感が生まれおり、下りセクションも不安なく攻めていけますね。ヘッドが寝ると走りがダルくなりがちですが、そこは27.5インチということもあってクイックさは損なわれていません。幅広のBOOST規格ハブもフレームエンドに剛性感をもたらし、高いハンドリング性能に繋がっているのでしょう。

ダンシングしてもリアが滑ることなく高いトラクション性能を感じる、と山本さんダンシングしてもリアが滑ることなく高いトラクション性能を感じる、と山本さん
アッセンブルされるパーツを見ても、レースに向き合う人からすれば決して高くない値段設定だと思います。身長が低めのライダーなら、なおさら29erでなく27.5インチバイクを選択しポジションを合わせて乗る方がいいでしょうね。MTBでもこのバイクはトレイル遊びではなく、完全にレースで結果を狙う人向けの機材です。私が本気でレースに取り組んでいた頃だったら、それこそ選択肢に入れたいほど高い性能を持ち合わせた1台でした。

「27.5インチのメリットと、BIG.SEVENならではの加速力を結びつける走りが好成績へのヒント」鈴木祐一(RiseRide)

うーん、ヤバいですね(笑)。今すぐXCレースを走りたくなるようなハイスペックぶりに驚きました。メリダに関しては一世代前のフルサスモデルを所有しているのですが、それとは全く別物で、一つ上のレベルに達してしまったな、と思わされました。物凄い進化を果たしていますし、モチベーションが急上昇してしまうような、ある意味ショックです。

「27.5インチのメリットと、BIG.SEVENならではの加速力を結びつける走りが好成績へのヒント」鈴木祐一(RiseRide)「27.5インチのメリットと、BIG.SEVENならではの加速力を結びつける走りが好成績へのヒント」鈴木祐一(RiseRide)
もやは「ロードバイクなんていらないんじゃないの?」的な加速力、そして走りの軽さを感じますし、BB周りの剛性が関係しているのか、27.5にも関わらず高速巡航、スピードの持続力は十分。リアハブにBOOST規格を採用しており、リアバックが広がっている分、BB〜後輪までのねじれが抑えられているフィーリングが強い。それが走りの軽さに繋がっていて、ペダリングに対してスイスイ進んでくれる感覚がものすごく気持ち良かったですね。

27.5インチであることに加えて、ハンドリング性能も高く取り回しが良いのですが、一方でレーシングバイク的なピーキーさは薄く、かつ路面のインフォメーションを把握しやすいことが特徴です。もちろんレーサーならではのリアの硬さを有しているのですが、階段降りなど大きな衝撃が連続する場合にはしっかりとリアバックがしなって衝撃をいなしてくれるんですね。レーシングバイクとしてしなりと硬さの塩梅がちょうど良いのでしょう。

世間的にXCレースは29erが主流となってきていますが、その中においても完成度の高いBIG.SEVENは武器になってくれると感じます。29erはホイールが大きいため物理的に走りが重く、もちろん巡航性能や走破性などのメリットもあるのですが、それに対して27.5インチは小柄な方、テクニカルセクションでの取り回しの機敏さを求める方には味方になってくれるものです。

「レーシングバイクとしてしなりと硬さの塩梅がちょうど良い」鈴木祐一(RiseRide)「レーシングバイクとしてしなりと硬さの塩梅がちょうど良い」鈴木祐一(RiseRide)
コーナーでの脱出の速さや、登りでのリニアさこそが27.5のメリットであり、軽量高剛性なBIG.SEVENならではの加速力とを結びつけていくライディングをすれば、それこそ29erがもたつく場面では一気にパスしていくことができるでしょう。レースにおいては人と違うことが武器になってきますし、そういったBIG.SEVENらしいメリットがフィットする人が、メリットを伸ばす走り方を徹底することこそが、好成績を出す上での最大の近道ではないでしょうか。

メリダ BIG.SEVEN TEAM
フレーム:Big 7 BC Superlite CF5 boost
フォーク:Rock Shox SID World Cup
コンポーネント:SRAM XX1 12s
ホイール:Fulcrum Red Passion 3
ハブ:前100mm(15mmアクスル)、後148mm(12mmアクスル)
サイズ:38、43、48cm
重量:8.3kg
価格:830,000円(税抜)



インプレッションライダーのプロフィール

山本朋貴(ストラーダバイシクルズ滋賀本店)山本朋貴(ストラーダバイシクルズ滋賀本店) 山本朋貴(ストラーダバイシクルズ滋賀本店)

滋賀県草津市にあるストラーダバイシクルズ滋賀本店の店長。2011、2012年の全日本マウンテンバイク選手権クロスカントリーマスタークラスチャンピオン。ストイックに自転車競技に取り組んできたが、ストラーダに入社後は、ビギナーライダーのライド初体験の笑顔に魅せられエントリーのお客様にバイクの楽しさを伝えることが楽しみ。最近はトライアスロンに挑戦中。

ストラーダバイシクルズ滋賀本店(CWレコメンドショップ)
ストラーダバイシクルズHP


鈴木祐一(RiseRide)鈴木祐一(RiseRide) 鈴木祐一(RiseRide)

サイクルショップ・ライズライド代表。バイシクルトライアル、シクロクロス、MTB-XCの3つで世界選手権日本代表となった経歴を持つ。元ブリヂストンMTBクロスカントリーチーム選手としても活躍した。2007年春、神奈川県橋本市にショップをオープン。クラブ員ともにバイクライドを楽しみながらショップを経営中。シクロクロスやMTBなど、各種レースにも参戦している。セルフディスカバリー王滝100Km覇者。

サイクルショップ・ライズライドHP

ウェア協力:アソス

text:Naoki.Yasuoka
photo:Makoto.AYANO
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の画像 陸奥爆沈
メーカー: 新潮社
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