JCF(日本自転車競技連盟)が12月1日付けのプレスリリースで伝えたところによると、UCI(国際自転車競技連合)は2010年以降のロードレース競技中におけるチーム内の無線機使用を段階的に禁止して行く。

無線機でチームカーとコミュニケーションをとるランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)無線機でチームカーとコミュニケーションをとるランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ) photo:Cor Vosチーム内の情報を共有し、戦略を組み立てる「要」として、無線機は今やロードレースに欠かせないマストアイテムだ。選手たちがジャージの背中ポケットに小型トランシーバーを入れ、イヤホンを耳に、マイクを胸元に添える光景は誰でも見たことがあるはず。

そんな無線機の使用が、2010年以降段階的に禁止されていくことが、UCIの理事会で決まった。

JCFのプレスリリースによると、2010年の無線機使用禁止対象レースは、UCIロード世界選手権、UCI国際競技カレンダーに組み込まれたクラス2(男子/女子)レース、UCI国内競技カレンダーに組み込まれたエリートカテゴリー(男子/女子)レース。すでにU23とジュニアのカテゴリーレースでは、無線機の使用は禁止されている。

「監督の指示通りに動く選手たちの判断力が低下している」「レース展開がパターン化している」など、レース中の無線機の使用に関しては、かねてから疑問の声が上がっていた。今年のツール・ド・フランス第10ステージでは、出場20チーム中14チームが反対する中、試験的に無線機の使用が禁止されている。

ディレクターカーから各チームカーに発信される「ラジオツール」は継続。パンクや落車した選手の情報、手を挙げてサポートを要求する選手の情報は、ラジオツールによって即座にチームカーに伝えられる。しかしチーム内の無線機使用が禁止された場合、選手たちが監督とコミュニケーションをとるためには、選手がチームカーまで下がる、もしくはチームカーが選手の脇まで上がる必要がある。無線機の使用禁止は、レース展開に少なからず影響を及ぼすだろう。

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos