4月18日に行われたツアー・オブ・アルプス第2ステージは雪によってコースが短縮。山岳コースで縮小した集団による上りスプリントでローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)が勝利した。



ツアー・オブ・アルプス2017第2ステージツアー・オブ・アルプス2017第2ステージ photo: Tour of the Alpsスタート地点インスブルックは気温4度の雪。当初は全長181.3kmで行われる予定だったが、オーストリアとイタリアの国境に位置するGPMブレネロ峠(標高1,385m)が積雪に見舞われたため、前半の40kmを省略した全長140.4kmコースで行われることに。

インスブルックを見下ろす山は真っ白インスブルックを見下ろす山は真っ白 photo: Tour of the Alpsこの日は残り21km地点でGPMサンタ・ジュスティーナ(全長4.6km/平均9%)を越え、そこから緩いアップダウンを経て標高1,386mのフィニッシュ地点インナーヴィルグラーテン(8.3km/平均3.1%)まで駆け上がる。

山岳賞ジャージを着るアレクサンドル・フォリフォロフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)らが先行山岳賞ジャージを着るアレクサンドル・フォリフォロフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)らが先行 photo: Tour of the Alpsスタート直後に飛び出したパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)ら4名は50km/hオーバーのハイスピードで最初の1時間を駆け抜けたが、タイム差は2分半を上限に縮小傾向に。メイン集団を率いたのは山岳賞ジャージの保有チームで、ワイルドカード枠で2年連続ジロ・デ・イタリア出場を決めているガスプロム・ルスヴェロだった。

上りスプリントで勝利したローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)上りスプリントで勝利したローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) photo: Tour of the Alpsロシアンチームの集団牽引によって逃げグループは残り28km地点で早くも吸収。勾配のあるGPMサンタ・ジュスティーナの上りが始まるとアレクサンドル・フォリフォロフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)が動き、2016年ジロ山岳個人TT優勝者はそのまま単独で頂上をクリアしてみせる。

リーダージャージに袖を通したティボー・ピノ(フランス、エフデジ)リーダージャージに袖を通したティボー・ピノ(フランス、エフデジ) photo: Tour of the Alps上りでカウンターアタックを仕掛けたミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)、ステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディアーニCSF)、イリア・コシェヴォイ(ベラルーシ、ウィリエールトリエスティーナ)、そしてダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)が頂上通過後に先頭フォリフォロフまでジャンプ。ハイスピードダウンヒルを経て、先頭5名はアスタナがペースを作るメイン集団から45秒リードを築いた。

残り8km地点からコースは再び上りに転じ、フィニッシュまで約3%の勾配が淡々と続く。先頭ではランダのアタックによってピラッツィとカルーゾだけが残り、30秒リードで残り5km地点を通過する。しかしエフデジとキャノンデール・ドラパックの追撃によってそのリードは削られていく。

緩斜面は人数を揃えるメイン集団に味方した。残り2km地点で先頭3名の連携は崩れ、息が合わないランダ、カルーゾ、ピラッツィの3名は残り700m付近で集団に飲み込まれる。そこから約70名の集団による上りスプリントが始まった。

かつてマトリックスパワータグにも所属していたエデュアルド・プラデス(スペイン、カハルーラル)が最初に仕掛けたが、その後ろから加速したローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)のスプリントが伸びた。ティボー・ピノ(フランス、エフデジ)の追撃も届かず、デニスが数メートルのリードをもってフィニッシュラインを切った。

「自分はキッテルやサガン、ヴァンアーヴェルマートのようなスプリントができないけど、上りスプリントであればチャンスがあるんだ。今日は残り10kmからジョセフ・ロスコフが集団の先頭に立ち、リードアウト役のブレント・ブックウォルターと自分をスプリントまで連れて行ってくれた」と、オーストラリア選手権個人TTとティレーノ〜アドリアティコ最終個人TTに続く今シーズン4勝目を飾ったデニスは語る。

デニスは初日の第1ステージで9位&11秒のタイムロス。総合争いで出遅れたものの、BMCレーシングのリーダーとして総合を狙い続ける構え。「昨日は戦略ミスによって上りでタイムを失ってしまった。総合成績を狙うステージレースの初日にタイムを失うなんて良いスタートじゃなかったけど、今日はその失望を拭い去る勝利。自信とモチベーションを取り戻すことができたよ。今の状態であれば明日のクイーンステージでも勝負に絡めると思う。そうすればまだまだ総合もチャンスがある」。デニスは5月のジロ・デ・イタリアに初出場予定だ。

ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ)は同タイムの集団内でフィニッシュしたものの、リーダージャージは2日連続トップ3フィニッシュのピノの手にに。翌日のクイーンステージを前にピノは「最もタフな戦いが予想されるけど、日に日に調子は上がっており、リードを守る準備はできている」とコメント。ピノもデニス同様に初出場のジロに向けて調子を整えている。



ツアー・オブ・アルプス2017第2ステージ結果
1位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)      3h20'13"
2位 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ)
3位 ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アンドローニジョカトリ)
4位 ニック・シュルツ(オーストラリア、カハルーラル)
5位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
6位 エデュアルド・プラデス(スペイン、カハルーラル)
7位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)
8位 マティア・カッタネオ(イタリア、アンドローニジョカトリ)
9位 ケニー・エリッソンド(フランス、チームスカイ)
10位 マッテオ・ブザート(イタリア、ウィリエールトリエスティーナ)

個人総合成績
1位 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ)             6h52'18"
2位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ)
3位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)           +04"
4位 ダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ)              +10"
5位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール)
6位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ドラパック)
7位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)        +11"
8位 マティア・カッタネオ(イタリア、アンドローニジョカトリ)     +14"
9位 ヒュー・カーシー(イギリス、キャノンデール・ドラパック)     +18"
10位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)         +21"

山岳賞
1位 アレクサンドル・フォリフォロフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ) 15pts
2位 ヒュー・カーシー(イギリス、キャノンデール・ドラパック)     4pts
3位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)             4pts

ヤングライダー賞
1位 ヒュー・カーシー(イギリス、キャノンデール・ドラパック)   6h52'36"
2位 エガン・ベルナル(コロンビア、アンドローニジョカトリ)      +09"
3位 ファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニジョカトリ)     +18"

チーム総合成績
1位 アスタナ           20h37'46"
2位 キャノンデール・ドラパック     +03"
3位 アンドローニジョカトリ       +21"

text:Kei Tsuji

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