2017/04/15(土) - 21:49
パリ〜ルーべを走ったバイクを紹介する第2弾。今回はトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップフロアーズ)のスペシャルバイクを筆頭に、ディメンションデータ、バーレーン・メリダ、アスタナ、そしてコフィディスの5チーム。
クイックステップフロアーズ【スペシャライズド S-WORKS ROUBAIX】
このパリ〜ルーべを現役引退レースに選んだトム・ボーネン(ベルギー)。2月中旬頃から輝かしいキャリアを表した純白×ゴールドのスペシャルバイクを使用しており、今回のパリ〜ルーべには自身も開発に深く携わった新型S-WORKS ROUBAIXを持ち込んだ。
通常ROUBAIXはディスクブレーキ専用モデルだが、ニュートラルサポート側のディスクブレーキサポート体制が整いきっていないことからスペシャライズドは急遽、ダイレクトマウント方式を採用したキャリパーブレーキタイプの特別モデルを投入。トップチューブもホリゾンタルに近いジオメトリーとなっており、まさにプロ供給専用たる仕様となっている。またシートステー剛性を向上させるためか、リアブレーキキャリパー部分にはカーボン製のブレーキブースターが装着されていたことも話題を呼んだ。
ヘッドチューブの上部に搭載されたサスペンション機構「フューチャーショック」のためハンドル位置が上がってしまうが、長いマイナス17度ステムを用いてクリア。またシートポストは「コブルコブラー」構造を用いたCG-Rポストではなく、FSA製の一般的な製品に置き換えられた。
タイヤはスペシャライズド製のパリ〜ルーべ用新型「Hell of the North」で、タイヤ幅は28c。スペシャルカラーのロヴァールCLX50ホイールに組み合わせており、他に30cタイヤも準備されていたようだ。
コンポーネントは9070系デュラエースDi2(チェーンリングの歯数は53-44T)で、カセットはなぜかアルテグラグレード。これまでのパリ〜ルーべ4勝やボーネンのSNSアカウントを記したセラミックスピード製のディレイラープーリーが使用され、スペシャル感をより一層高めていた。チームメイトも同仕様のROUBAIXを駆ったが、ボーネンのバイクはスペシャライズドのスタッフが個別に輸送して現地入りさせるなど、特別なケア体制をとっていた模様。
ディメンションデータ【サーヴェロ R5】
ディメンションデータからはエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)のバイクをピックアップ。普段のレースでは選手の好みに合わせてエアロロードのS5とオールラウンドロードのR5を使い分ける同チームだが、今回のパリ~ルーベではシーズン序盤から投入されているカモフラージュペイントの新型と思われるR5をメンバー全員が駆った。
メインコンポーネントはデュラエース9070系Di2を、クランクにはローターの2INPOWERを使用。チェーンリングは楕円のQ-LINGSを使う選手もいながら、ボアッソンハーゲンは真円のnoQを使用した。KMCのゴールドチェーンやフィジークのサドル、リザードスキンズのバーテープ、エンヴィのホイールとステム、ハンドルといった組み合わせは従来通りである。
パヴェ対策として、タイヤはコンチネンタルのプロ供給用であるコンペティションPROLTDの28cをチョイス。タックスのボトルケージ裏には滑り止めのためにグリップテープが貼られる細工も施された。ゼッケンプレートの角を無くすかのように端が切り落とされていた点も特徴的。
バーレーン・メリダ【メリダ REACTO、SCULTURA Disc】
バーレーン・メリダからはエースナンバーをつけたスプリンター、ニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア)とイヴァン・ガルシア(スペイン)のバイクをピックアップ。ボニファツィオは、各社、各チームがパリ~ルーベ用のバイクを投入する中、エアロロードの「REACTO」をチョイスしている。ガルシアのバイクは昨年のクラシックレースで登場したSCULTURA Discだ。
パリ~ルーベ用のカスタムは、北の地獄お馴染みのエリート Ciussi Gelボトルケージのみ。ガルシアのSCULTURA Discも、ボトルケージ以外に目立つような石畳対策は見受けられない。
コンポーネントはシマノ DURA-ACEを基本としているが、SRMパワーメーターを使用する都合上でのチェーンリングのみ前作の9000系を採用。ボニファツィオのバイクにはシマノ製ではなく新型のSRM製カーボンクランクがアッセンブルされる。ちなみにボニファツィオのチェーンリングにはアウター53T、インナー44MF/46MGと書かれている。
ガルシアもSRMパワーメーター用ディスプレイを装着しているが、クランクセットはなぜかシマノ純正のDURA-ACE 9000系(パワーメーターなし)。インナーチェーンリングには削り出しの供給専用と思われるビッグギアが装着された。
バーレーン・メリダはFSAのハンドルとステムを使用し、ボニファツィオの手元はOS 99-CSI
カーボンステムとENERGYアルミハンドルという構成。ガルシアはFSAのラインアップにはないアルミ製ステムを装着していた。どちらもサドルはグリップ力と振動吸収性を高めたプロロゴ NAGO CPCを使用。中にはグリッパーCPCを採用しないサドルを使用する選手も。足回りはフルクラム SPEED
40TとコンチネンタルのPRO LIMITEDの組合せだ。
アスタナ【アルゴン18 GALLIUM】
アスタナのエースナンバーを背負ったマッティ・ブレシェル(デンマーク)のバイクは、アルゴン18のミドルグレードであるGALLIUM。通常レースではハイエンドのGALIUM PROを使用しているが、快適性を狙った上での選択だと思われる。
シーズン初頭のプレゼンテーションやツアー・ダウンアンダーではヴィジョン製ホイールを使用していたものの、現在は昨年までと同様にコリマへと戻っている模様(他レースではロゴを消したカンパニョーロBORA ULTRAを用いた選手も存在した)。リム幅26mmとワイドな47mmWSを用い、ロゴを塗りつぶしたFMB製タイヤ(28c)を運用していた。
未だにFSAのセミワイヤレスコンポーネント「KフォースWE」への切り替えは行われておらず、FSAのKフォースライトクランク&チェーンリング(パワー2マックスのパワーメーター搭載)と9070系デュラエースDi2のミックス。タイヤクリアランスを確保するために、BMCレーシングと同じくシマノのエントリーグレードと思われるキャリパーをセットしていた。バーテープは2重巻きだ。
コフィディス・ソルシオンクレディ【オルベア ORCA OMR】
スペイン・バスクの老舗ブランド、オルベアを使用するのコフィディス。パヴェ用のレースバイクはラインアップに存在せず、オールラウンドな軽量バイクであるORCA OMRがクラシックレースでも用いられる。
基本となるコンポーネントは9070系のDURA-ACE Di2だが、スポンサードを受けるFSAのクランクとブレーキをミックスしているのが特徴。ヴィジョンのメトロンホイールに一般には流通していないケンダの「SC」とラベルの貼られたチューブラータイヤを組み合わせている。
目立ったパヴェ対策は施されておらず、ボトルケージに滑り止めのシールを貼っているのと、大きめのインナーリングを使っている点ぐらい。他は通常のレースを走るのとほぼ変わらない仕様だ。
text:CW編集部
photo:Makoto.AYANO
クイックステップフロアーズ【スペシャライズド S-WORKS ROUBAIX】
このパリ〜ルーべを現役引退レースに選んだトム・ボーネン(ベルギー)。2月中旬頃から輝かしいキャリアを表した純白×ゴールドのスペシャルバイクを使用しており、今回のパリ〜ルーべには自身も開発に深く携わった新型S-WORKS ROUBAIXを持ち込んだ。
通常ROUBAIXはディスクブレーキ専用モデルだが、ニュートラルサポート側のディスクブレーキサポート体制が整いきっていないことからスペシャライズドは急遽、ダイレクトマウント方式を採用したキャリパーブレーキタイプの特別モデルを投入。トップチューブもホリゾンタルに近いジオメトリーとなっており、まさにプロ供給専用たる仕様となっている。またシートステー剛性を向上させるためか、リアブレーキキャリパー部分にはカーボン製のブレーキブースターが装着されていたことも話題を呼んだ。
ヘッドチューブの上部に搭載されたサスペンション機構「フューチャーショック」のためハンドル位置が上がってしまうが、長いマイナス17度ステムを用いてクリア。またシートポストは「コブルコブラー」構造を用いたCG-Rポストではなく、FSA製の一般的な製品に置き換えられた。
タイヤはスペシャライズド製のパリ〜ルーべ用新型「Hell of the North」で、タイヤ幅は28c。スペシャルカラーのロヴァールCLX50ホイールに組み合わせており、他に30cタイヤも準備されていたようだ。
コンポーネントは9070系デュラエースDi2(チェーンリングの歯数は53-44T)で、カセットはなぜかアルテグラグレード。これまでのパリ〜ルーべ4勝やボーネンのSNSアカウントを記したセラミックスピード製のディレイラープーリーが使用され、スペシャル感をより一層高めていた。チームメイトも同仕様のROUBAIXを駆ったが、ボーネンのバイクはスペシャライズドのスタッフが個別に輸送して現地入りさせるなど、特別なケア体制をとっていた模様。
ディメンションデータ【サーヴェロ R5】
ディメンションデータからはエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)のバイクをピックアップ。普段のレースでは選手の好みに合わせてエアロロードのS5とオールラウンドロードのR5を使い分ける同チームだが、今回のパリ~ルーベではシーズン序盤から投入されているカモフラージュペイントの新型と思われるR5をメンバー全員が駆った。
メインコンポーネントはデュラエース9070系Di2を、クランクにはローターの2INPOWERを使用。チェーンリングは楕円のQ-LINGSを使う選手もいながら、ボアッソンハーゲンは真円のnoQを使用した。KMCのゴールドチェーンやフィジークのサドル、リザードスキンズのバーテープ、エンヴィのホイールとステム、ハンドルといった組み合わせは従来通りである。
パヴェ対策として、タイヤはコンチネンタルのプロ供給用であるコンペティションPROLTDの28cをチョイス。タックスのボトルケージ裏には滑り止めのためにグリップテープが貼られる細工も施された。ゼッケンプレートの角を無くすかのように端が切り落とされていた点も特徴的。
バーレーン・メリダ【メリダ REACTO、SCULTURA Disc】
バーレーン・メリダからはエースナンバーをつけたスプリンター、ニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア)とイヴァン・ガルシア(スペイン)のバイクをピックアップ。ボニファツィオは、各社、各チームがパリ~ルーベ用のバイクを投入する中、エアロロードの「REACTO」をチョイスしている。ガルシアのバイクは昨年のクラシックレースで登場したSCULTURA Discだ。
パリ~ルーベ用のカスタムは、北の地獄お馴染みのエリート Ciussi Gelボトルケージのみ。ガルシアのSCULTURA Discも、ボトルケージ以外に目立つような石畳対策は見受けられない。
コンポーネントはシマノ DURA-ACEを基本としているが、SRMパワーメーターを使用する都合上でのチェーンリングのみ前作の9000系を採用。ボニファツィオのバイクにはシマノ製ではなく新型のSRM製カーボンクランクがアッセンブルされる。ちなみにボニファツィオのチェーンリングにはアウター53T、インナー44MF/46MGと書かれている。
ガルシアもSRMパワーメーター用ディスプレイを装着しているが、クランクセットはなぜかシマノ純正のDURA-ACE 9000系(パワーメーターなし)。インナーチェーンリングには削り出しの供給専用と思われるビッグギアが装着された。
バーレーン・メリダはFSAのハンドルとステムを使用し、ボニファツィオの手元はOS 99-CSI
カーボンステムとENERGYアルミハンドルという構成。ガルシアはFSAのラインアップにはないアルミ製ステムを装着していた。どちらもサドルはグリップ力と振動吸収性を高めたプロロゴ NAGO CPCを使用。中にはグリッパーCPCを採用しないサドルを使用する選手も。足回りはフルクラム SPEED
40TとコンチネンタルのPRO LIMITEDの組合せだ。
アスタナ【アルゴン18 GALLIUM】
アスタナのエースナンバーを背負ったマッティ・ブレシェル(デンマーク)のバイクは、アルゴン18のミドルグレードであるGALLIUM。通常レースではハイエンドのGALIUM PROを使用しているが、快適性を狙った上での選択だと思われる。
シーズン初頭のプレゼンテーションやツアー・ダウンアンダーではヴィジョン製ホイールを使用していたものの、現在は昨年までと同様にコリマへと戻っている模様(他レースではロゴを消したカンパニョーロBORA ULTRAを用いた選手も存在した)。リム幅26mmとワイドな47mmWSを用い、ロゴを塗りつぶしたFMB製タイヤ(28c)を運用していた。
未だにFSAのセミワイヤレスコンポーネント「KフォースWE」への切り替えは行われておらず、FSAのKフォースライトクランク&チェーンリング(パワー2マックスのパワーメーター搭載)と9070系デュラエースDi2のミックス。タイヤクリアランスを確保するために、BMCレーシングと同じくシマノのエントリーグレードと思われるキャリパーをセットしていた。バーテープは2重巻きだ。
コフィディス・ソルシオンクレディ【オルベア ORCA OMR】
スペイン・バスクの老舗ブランド、オルベアを使用するのコフィディス。パヴェ用のレースバイクはラインアップに存在せず、オールラウンドな軽量バイクであるORCA OMRがクラシックレースでも用いられる。
基本となるコンポーネントは9070系のDURA-ACE Di2だが、スポンサードを受けるFSAのクランクとブレーキをミックスしているのが特徴。ヴィジョンのメトロンホイールに一般には流通していないケンダの「SC」とラベルの貼られたチューブラータイヤを組み合わせている。
目立ったパヴェ対策は施されておらず、ボトルケージに滑り止めのシールを貼っているのと、大きめのインナーリングを使っている点ぐらい。他は通常のレースを走るのとほぼ変わらない仕様だ。
text:CW編集部
photo:Makoto.AYANO
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