山がちなバスク地方を駆け抜けるブエルタ・アル・パイスバスコ第3ステージ。終盤、残り15kmから独走し、迫り来る集団を振り切ったダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)が総合首位に立った。



ブエルタ・アル・パイスバスコ2017第3ステージブエルタ・アル・パイスバスコ2017第3ステージ image: Vuelta al Pais Vascoバスク州の州都ビトリア=ガステイスから山岳地帯を横断し、大西洋に向かって北上する第3ステージ。6つのカテゴリー山岳を越えた先に待つのは「ビスケー湾の真珠」と呼ばれるサンセバスティアン(現地名ドノスティア)だ。

観客が詰めかけた山岳を越えていく観客が詰めかけた山岳を越えていく photo: TDWsport / KT序盤から3級山岳ウダナ(4.5km/5%)、2級山岳マンドゥビア(5.8km/6%)、1級山岳サンタアヘダ(7.6km/7%)、3級山岳アルキサ(4.2km/6.4%)、3級山岳アンダサラーテ(5.9km/6%)、3級山岳メンディソロツ(4.7km/6%)が断続的に登場するコースはクラシカ・サンセバスティアンを彷彿とさせるもので、1日の獲得標高差は2,600m程度。

粘り強く逃げ続けたアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)ら粘り強く逃げ続けたアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)ら photo: TDWsport / KT1時間に及ぶ激しいアタック合戦の末に、3級山岳ウダナの上りでアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)やエロス・カペッキ(イタリア、クイックステップフロアーズ)を含む9名の強力な逃げグループが出来上がる。モビスターとチームスカイが指揮をとるメイン集団とのタイム差は最大4分に。

山岳コースを走る新城幸也(バーレーン・メリダ)山岳コースを走る新城幸也(バーレーン・メリダ) photo: Miwa Iijima積極的に山岳ポイントを稼いだアレックス・ハウズ(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)が山岳賞トップに立つ中、レース後半にかけて縮小を続けたタイム差は残り50km地点で1分に。先頭ではヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)とデマルキが逃げを続行したが、最後の3級山岳メンディソロツを前にした残り22km地点でメイン集団に吸収された。

最後の3級山岳メンディソロツで飛び出すダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)最後の3級山岳メンディソロツで飛び出すダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ) photo: TDWsport / KT集団内ではアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)とサイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)が同時にパンク。バルベルデは無事に集団復帰を果たしたが、イェーツ(双子のアダムは2015年クラシカ・サンセバスティアン優勝者)はチームメイトのサポートも虚しくメイン集団に戻ることができなかった。パイスバスコの前哨戦GPミゲルインデュラインで勝利し、総合優勝候補の一角だったイェーツはこの日だけで1分33秒失っている。

迫り来る集団を振り切るダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)迫り来る集団を振り切るダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ) photo: TDWsport / KT平均勾配6%の3級山岳メンディソロツを25km/h前後のハイスピードで登坂を続けたメイン集団から、残り15km地点でミカエル・シュレル(フランス、アージェードゥーゼール)がアタックするとデラクルスがすかさず反応。やがてシュレルを振り切ってデラクルスが先頭で独走を開始する。この最終山岳でリーダージャージのマイケル・マシューズ(オーストラリア、チームサンウェブ)は脱落している。

独走フィニッシュを決めたダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)独走フィニッシュを決めたダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ) photo: TDWsport / KTプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)とリゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)の追走も届かず、3級山岳メンディソロツ頂上(残り13km)を18秒リードでクリアしたデラクルスが個人TTのようなエアロポジションで独走を続けた。

どんよりとした曇り空のサンセバスティアンに向かうダウンヒルで少しリードを失いながらも、残り5km地点でメイン集団に対してタイム差10秒。スプリントをしながら迫り来る集団を振り切って、デラクルスが独走のままフィニッシュラインを切った。3秒後方では、ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)がトップスピード63km/h前後の集団スプリントで先頭を取っている。

「最後の山岳で誰かがアタックすることを今朝のミーティングで決めていた。登り口から集団前方で警戒しているとシュレルがアタック。すかさず付いていき、協力してリードを広げることに成功したんだ。組織的な追走が行われると思って、もっとペースを上げるために独走に持ち込んだ。そこからフィニッシュラインまでは常に全開だったよ」。デラクルスはパリ〜ニース最終ステージに続く今シーズン2勝目。クイックステップフロアーズはシーズン23勝目だ。

デラクルスは2016年ブエルタ・ア・エスパーニャでステージ優勝を飾ってリーダージャージを着用し、総合7位に入った27歳のクライマー。ステージ優勝を飾るとともに総合首位に立ったデラクルスは「リーダージャージはボーナス。とても嬉しいけど、アラーテの山頂フィニッシュや個人タイムトライアルが残されているので最終的な総合争いは難しいと思う。自分を育ててくれたチームに恩返しするつもりで、引き続き良い成績を狙いたい」とコメントしている。

新城幸也(バーレーン・メリダ)は15分35秒遅れでサンセバスティアンにフィニッシュ。「今日は逃げに乗るべく長い間アタック合戦で動いたが、自分は乗れずアントニオ(ニーバリ)が乗った。 そのあとはぐずついた天気で、濡れている路面も多く、下りがスリッピーだったので、イザギレのポジションキープのために働いた。6つ山岳ポイントがあるうちの5つ目の頂上手前で落車で足止めを余儀なくされ、そのまま先頭集団に復帰できずその後ろの小集団でゴールを目指した」とコメント。また、翌日の第4ステージについて「明日は2015年(にも登場した)同じコースで、その時は60人のスプリントでマシューズが勝っているので、自分にもチャンスがある。最後の2級山岳を越えられるように頑張ります!」と語っている(チームユキヤ通信より)。



リーダージャージに袖を通したダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)リーダージャージに袖を通したダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ) photo: TDWsport / KT


ブエルタ・アル・パイスバスコ2017第3ステージ結果
1位 ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)        3h54'25"
2位 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)          +03"
3位 ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
5位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)
6位 ルディ・モラール(フランス、エフデジ)
7位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
8位 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)
9位 トッシュ・ヴァンデルサンド(ベルギー、ロット・ソウダル)
10位 ワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)
43位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チームサンウェブ)         +1'02”
50位 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)             +1'33"
126位 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ)                  +15'35"

個人総合成績
1位 ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)        12h14'54"
2位 ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)        +03"
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
4位 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)
5位 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)
6位 ルディ・モラール(フランス、エフデジ)
7位 トッシュ・ヴァンデルサンド(ベルギー、ロット・ソウダル)
8位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)
9位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)
10位 ルーベン・フェルナンデス(スペイン、モビスター)

ポイント賞
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チームサンウェブ)          39pts
2位 ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)       36pts
3位 マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、クイックステップフロアーズ)   30pts

山岳賞
1位 アレックス・ハウズ(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)         16pts
2位 ヨアン・バゴ(フランス、コフィディス・ソルシオンクレディ)         15pts
3位 イゴール・アントン(スペイン、ディメンションデータ)            14pts

チーム総合成績
1位 ボーラ・ハンスグローエ         36h44'51"
2位 バーレーン・メリダ
3位 チームスカイ

text:Kei Tsuji
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