大集団スプリントに持ち込まれたブエルタ・アル・パイスバスコ第2ステージ。この日のために大きなチェーンリングを用意したミヒャエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・スコット)が、70km/h近いスピードで巡航する集団の先頭を取った。



丘のアップダウンが続くバスク州南部を走る丘のアップダウンが続くバスク州南部を走る photo:TDWsport / KT


ブエルタ・アル・パイスバスコ2017第2ステージブエルタ・アル・パイスバスコ2017第2ステージ image: Vuelta al País Vasco逃げるルイスアンヘル・マテ(スペイン、コフィディス)とファブリシオ・フェラーリ(ウルグアイ、カハルーラル・セグロスRGA)逃げるルイスアンヘル・マテ(スペイン、コフィディス)とファブリシオ・フェラーリ(ウルグアイ、カハルーラル・セグロスRGA) photo:TDWsport / KTバスク一周第2ステージはパンプローナ近郊のイルーニャから一路南下し、お隣ラ・リオハ州至近に位置するエルシエゴまでの173.4km。登場するカテゴリー山岳は2級山岳エチャウリ(6.6km/平均6%)と3級山岳アルデコ(4.1km/平均7%)の2つだけだが、山がちな内陸部を走るコースは起伏に富んでいる。1日の獲得標高差は2,700mで、残り6km地点にカテゴリーが付けられていない丘上都市ラグアルディアの上り(1.0km/平均6%)が登場するアップダウンコースだ。

横風を警戒してペースアップするメイン集団横風を警戒してペースアップするメイン集団 photo:TDWsport / KTレースの大部分はルイスアンヘル・マテ(スペイン、コフィディス)とファブリシオ・フェラーリ(ウルグアイ、カハルーラル・セグロスRGA)の二人旅。逃げを見送ったメイン集団は4分後方に位置し、この地域特有の横風に警戒しながら進んでいく。

クイックステップフロアーズがメイン集団のペースを上げるクイックステップフロアーズがメイン集団のペースを上げる photo:TDWsport / KTレース後半に入るとクイックステップフロアーズがメイン集団を先導し、残り25km地点で逃げグループを1分差の射程圏内に。スピードの上がったメイン集団は残り16km地点で逃げを飲み込み、そこからオリカ・スコットやボーラ・ハンスグローエがペースを作った。

テクニカルなフィニッシュを攻略したミヒャエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・スコット)テクニカルなフィニッシュを攻略したミヒャエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・スコット) photo:TDWsport / KT残り6km地点のラグアルディアの上りを猛スピードで駆け上がったメイン集団。ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)のSTRAVAログによると、集団は平均6%の上りを平均42.6km/hというスピードでクリアしている。

アルデンヌ・クラシックに向けて調子の良さを示したミヒャエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・スコット)アルデンヌ・クラシックに向けて調子の良さを示したミヒャエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・スコット) photo:TDWsport / KTフィニッシュラインに至る緩やかな下り区間をメイン集団は常時70km/h前後のスピードで突き進み、ロットNLユンボやサンウェブを先頭に残り1kmアーチを切る。

リーダージャージを守ったマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)リーダージャージを守ったマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) photo:TDWsport / KTすると下りを利用してショーン・ドゥビー(ベルギー、ロット・ソウダル)がロングスパート。ドゥビーに反応した選手が数名飛び出した形でスプリントが始まった。

右に左に曲がるテクニカルなフィニッシュ前でドゥビーをかわし、先頭に立ったのはオリカ・スコットのアルバジーニ。マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、クイックステップフロアーズ)の追撃は僅かに届かず、リードを守ったアルバジーニが先頭でフィニッシュラインを切った。

「今日はメンバー全員が普段使わない大きなチェーンリングを用意してレースに挑んだ。その機材セレクトが吉と出たよ」と、今シーズン初勝利を飾ったアルバジーニは語る。オリカ・スコットとしては今シーズン15勝目だ(21勝のクイックステップフロアーズと17勝のBMCレーシングに次いで3位)。

「残り25kmの段階で自分がエースとしてスプリントすることが決定。あらかじめ衛星写真でフィニッシュのレイアウトをチェックしていたので、(コーナーが連続する)残り300〜400mを切ってからポジションを上げるのは不可能だと分かっていた。だから残り1kmを切ってからアタックした選手(ドゥビー)に反応し、そのままのポジションでスプリントしたんだ」。

得意とする「アルデンヌ・クラシック」に向けて好調ぶりを示したアルバジーニ。36歳のベテランは過去にラ・フレーシュ・ワロンヌで合計7回トップ10入り(2012年2位が最高位)しており、2016年リエージュ〜バストーニュ〜リエージュで2位に入っている。

前日のステージ17位の新城幸也(バーレーン・メリダ)はこの日もスプリントに加わった。「今日は横風注意で、集団の中では常に位置取り争いでストレスフルの1日でした。最後のスプリントは70km/hを超えるスピードの中でのスプリントで、良い位置を確保することが難しかった」と語り、ステージ18位でレースを終えている。「明日から3日間山岳コースが続きますが、 コンディションは良いので、たくさん追い込んできます」(チームユキヤ通信より)。



ブエルタ・アル・パイスバスコ2017第2ステージ結果
1位 ミヒャエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・スコット)           4h35’22”
2位 マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、クイックステップフロアーズ)
3位 ショーン・ドゥビー(ベルギー、ロット・ソウダル)
4位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チームサンウェブ)        
5位 パウル・マルテンス(ドイツ、ロットNLユンボ)
6位 マテイ・モホリッチ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)
7位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
8位 ルディ・モラール(フランス、エフデジ)
9位 マヌエーレ・モーリ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
10位 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)
18位 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ)

個人総合成績
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チームサンウェブ)        8h20’29”
2位 マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、クイックステップフロアーズ)
3位 ショーン・ドゥビー(ベルギー、ロット・ソウダル)
4位 ミヒャエル・シュヴァルツマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
5位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
6位 ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)
7位 マテイ・モホリッチ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)
8位 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)
9位 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)
10位 アントニー・ルー(フランス、エフデジ)
12位 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ)

ポイント賞
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チームサンウェブ)          39pts
2位 ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)       30pts
3位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・スコット)           28pts

山岳賞
1位 ヨアン・バゴ(フランス、コフィディス・ソルシオンクレディ)         15pts
2位 イゴール・アントン(スペイン、ディメンションデータ)            14pts
3位 ルイスアンヘル・マテ(スペイン、コフィディス)              9pts

チーム総合成績
1位 ボーラ・ハンスグローエ         25h01'27"
2位 サンウェブ
3位 ロットNLユンボ

text:Kei Tsuji
photo:TDWsport