ツール・ド・とちぎ第2ステージは茂木町から那須町の102.3kmで行われ、12人の勝ち逃げ集団によるスプリント勝負を、マラルエルデネ・バトムンフ(トレンガヌ・サイクリングチーム)が制した。総合首位は2位に入ったベンジャミン・ヒル(アタッキ・チームグスト)に移った。



スタートラインに4賞ジャージが揃うスタートラインに4賞ジャージが揃う photo:Hideaki TAKAGI


那珂川を渡る集団那珂川を渡る集団 photo:Satoru.Kato15km地点、キナンサイクリングチームが前方を固めて総攻撃する15km地点、キナンサイクリングチームが前方を固めて総攻撃する photo:Hideaki TAKAGI折り返しの登りを行く集団折り返しの登りを行く集団 photo:Satoru.Katoツール・ド・とちぎ2日目は、茂木町から那須町に向けて北上するコース。栃木県東部を流れる那珂川に沿って走る前半は平坦基調。後半はKOMを含むアップダウンが続き、那須高原に登ってゴールする。

この日の天気は曇り。スタート地点の茂木町では前夜から雨が降っていたものの、朝方までには止んだ。しかし日中の気温は上がらず、那須町ではゴールした昼頃でも6℃前後の寒さ。選手も寒くて体がうまく動かなかったと漏らすほどだった。

スタート後10km付近の丘越えでキナンサイクリングチーム4人が攻撃し集団が長く引き伸ばされる。その後の下りから那珂川沿いに出る平坦区間でもキナンが攻撃を続ける。集団内では中切れが起きて30人ほどが先行する。その後もキナンがアタックを繰り返し、30km付近でさらに13人による逃げ集団が形成された。

メンバーは、宇都宮ブリッツェンから増田成幸、鈴木譲の2人、ブリヂストンアンカーサイクリングチームから鈴木龍、石橋学の2人、キナンサイクリングチームからジャイ・クロフォード、マルコス・ガルシア、山本元喜の3人、マトリックスパワータグからホセ・ビセンテ、アイラン・フェルナンデスの2人、アタッキ・チームグストからベンジャミン・ヒルとティモシー・ガイの2人、トレンガヌサイクリングチームのマラルエデルネ・バトムンフ、そして明治大学の野本空。

リーダージャージのサルバドール・グアルディオラ擁するチーム右京勢は誰も送り込めず、メイン集団を牽引するが、逃げ集団との差は約1分まで開く。この時点で、バーチャルリーダーは6秒差で総合3位のヒルに移った。



26km地点、集団は全部で3分割され、前方の13人が逃げ切ることに26km地点、集団は全部で3分割され、前方の13人が逃げ切ることに photo:Hideaki TAKAGI
30km地点、逃げには大学生の野本空(明治大学)も入る30km地点、逃げには大学生の野本空(明治大学)も入る photo:Hideaki TAKAGI40km地点、メイン集団はリーダージャージのサルバドール・グアルディオラ(チーム右京)自ら先頭を引く40km地点、メイン集団はリーダージャージのサルバドール・グアルディオラ(チーム右京)自ら先頭を引く photo:Hideaki TAKAGI




62km地点KOMはベンジャミン・ヒル(アタッキ・チームグスト)が先頭62km地点KOMはベンジャミン・ヒル(アタッキ・チームグスト)が先頭 photo:Hideaki TAKAGI63km地点下り区間で落車したベンジャミン・ヒル(アタッキ・チームグスト)はすぐに集団復帰63km地点下り区間で落車したベンジャミン・ヒル(アタッキ・チームグスト)はすぐに集団復帰 photo:Hideaki TAKAGI77km地点、2015年全日本選手権ロードのコースを通る77km地点、2015年全日本選手権ロードのコースを通る photo:Hideaki TAKAGIラスト4km、マルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)がアタックラスト4km、マルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)がアタック photo:Hideaki TAKAGIマラルエルデネ・バトムンフ(トレンガヌサイクリングチーム 写真左)が前に出るマラルエルデネ・バトムンフ(トレンガヌサイクリングチーム 写真左)が前に出る photo:Satoru.Katoマラルエルデネ・バトムンフ(トレンガヌサイクリングチーム)が第2ステージ優勝マラルエルデネ・バトムンフ(トレンガヌサイクリングチーム)が第2ステージ優勝 photo:Satoru.Kato最初のHSをヒルが先頭通過。続くKOMではヒルとバトムンフとの争いになり、ヒルが先頭通過する。その後の下りでヒルはコースアウトするが再乗車復帰する。さらに終盤、2015年全日本選手権のスタート・ゴール地点に設定されたふたつ目のHSもヒルが先頭通過。これでヒルは繰り下がりで着用していたポイント賞ジャージを自分のものとし、ボーナスタイム6秒を獲得して集団とのタイム差抜きでも首位に並んだ。

残り10kmを過ぎ、メイン集団との差は1分以上。逃げ集団13人での勝負が濃厚になる。3人を揃えるキナンサイクリングチームが波状攻撃をしかけるも、ヒルをアシストするガイが封じ込める。決定打が打ち出せないまま、勝負はスプリント勝負へ。残り150m、ヒルとクロフォードが先頭を争いながらゴールに向かってくる。残り100m、その2人の後ろから出てきたバトムンフが一気に前に出てきてゴール。2位にヒルが入り、総合首位に立った。

ステージ優勝したバトムンフは、昨年伊豆大島で行われたアジア選手権のU23タイムトライアルで優勝している。「ハードなスピードレースで優勝出来て嬉しい」と、2年連続の日本での優勝を喜ぶ。

2位のヒルは、「終盤にチームメイトがアタックを潰してくれて、残り250mからスプリントに入った。けれど残り50mくらいで疲れてしまい、抜かれてしまった。仕掛けるのが早すぎたかもしれない。」と、最後のスプリントを振り返る。総合首位に立った事については、「昨日も今日もステージ優勝を目指していたけれどうまくいかなかった。けれど、リーダージャージを獲得したので、明日は守り切りたい。この後チームで話し合う事になるだろうけど、チームメイトにハードワークをお願いする事になると思う。」と、語った。

一方、この日のレースを終始積極的に展開したキナンサイクリングチーム。クロフォードがステージ3位に入り、総合2位に浮上した。石田監督は「今日はツアーの中で一番ハードなコースでしたので、スプリンターのいない我々にとってこのステージで上位に上がる事が一番と考え、前半から攻撃に徹しました。総合2位に入れた事は良かったです。」と、この日のレースを総括。「ベンジャミン(ヒル)は強いので、逆転するには運も必要だが、総合優勝を狙い明日もチャレンジします。選手は皆うまく機能して戦えているので、心配はしていません。栃木の皆様に”キナン”を覚えていただけると嬉しいです」と、コメントした。

大学生ながら逃げに乗った野本は「最後は力負けしてしまいました」と言う。「最初はツキイチで走っていたのですが、増田選手が『ローテーションが乱れるから、足使わなくていいから前に出てくれ。そしたら俺が風よけになるから』とアドバイスしてくれました。おかげで最後までついて行けましたが、終盤にむけてペースが上がってきてキツくなってしまいまいた。学生のレースと違って皆がレースを理解しているので、展開や流れが違いますね。でも自分で思ったより走れていると思うので、最終日も積極的に行きたいです」と、前向きにこの日の感想を語った。

前日総合2位だった岡篤志(宇都宮ブリッツェン)は、メイン集団でゴール。新人賞ジャージは守ったが、総合順位は1分16秒差の6位へ後退という結果に甘んじ悔しさがにじんだ。「自分としては、今日は逃げに乗れる位置にいたので、残念だったなというところはあります。チームとしては増田選手と(鈴木)譲選手が前に入ってチーム右京が誰も入っていないという良い展開でした。譲選手がリーダーになれば良かったのだけれど、明日もあきらめずに勝負します。」と、気持ちを切り替えた。

明日は矢板市から宇都宮市までの103.5km。スタート直後にKOMが一つ設定されているが、その後は平坦基調。平坦とは言っても、丘越えのような短距離のアップダウンが連続する区間もあり、今日のように集団が分裂して逃げが決まるような展開が起きる可能性もある。総合上位4人のタイム差は20秒以内。最終日の逆転劇は見られるのだろうか?



終盤、何度もアタックしてみせた山本元喜(キナンサイクリングチーム)終盤、何度もアタックしてみせた山本元喜(キナンサイクリングチーム) photo:Satoru.Kato終盤まで逃げに乗った野本空(明治大学)フィニッシュライン直前でメイン集団にキャッチされる終盤まで逃げに乗った野本空(明治大学)フィニッシュライン直前でメイン集団にキャッチされる photo:Satoru.Kato

第2ステージ表彰 左から、2位ベンジャミン・ヒル(アタッキ・チームグスト)、1位マラルエルデネ・バトムンフ(トレンガヌサイクリングチーム)、3位ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム)第2ステージ表彰 左から、2位ベンジャミン・ヒル(アタッキ・チームグスト)、1位マラルエルデネ・バトムンフ(トレンガヌサイクリングチーム)、3位ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム) photo:Satoru.Kato
リーダージャージはベンジャミン・ヒル(アタッキ・チームグスト)へリーダージャージはベンジャミン・ヒル(アタッキ・チームグスト)へ photo:Satoru.Kato


ツール・ド・とちぎ2017第2ステージ結果
1位 マラルエルデネ・バトムンフ(トレンガヌサイクリングチーム) 2時間23分43秒
2位 ベンジャミン・ヒル(アタッキ・チームグスト) +0秒
3位 ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム)
4位 アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)
5位 大久保陣(ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム)
6位 ホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ)
7位 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン) +1秒
8位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
9位 マルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム) 
10位 山本元喜(キナンサイクリングチーム)

個人総合時間賞(第2ステージ終了時)
1位 ベンジャミン・ヒル(アタッキ・チームグスト) 4時間39分32秒
2位 ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム) +12秒
3位 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン) +18秒
4位 ホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ) +19秒
5位 サルバドール・グアルディオラ(チーム右京) +1分10秒
6位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +1分16秒
7位 鈴木龍(ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム) +1分24秒
8位 マリオ・ヴォクト(アタッキ・チームグスト)
9位 トマ・ルバ(キナンサイクリングチーム)
10位 土井雪広(マトリックスパワータグ)

ポイント賞
1位 ベンジャミン・ヒル(アタッキ・チームグスト) 51p
2位 マラルエルデネ・バトムンフ(トレンガヌサイクリングチーム) 28p
3位 ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム) 28p

山岳賞
1位 サルバドール・グアルディオラ(チーム右京) 10p
2位 ベンジャミン・ヒル(アタッキ・チームグスト) 8p
3位 ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム) 5p

text:Satoru.Kato
photo:Satoru.Kato,Hideaki.Takagi