コッピバルタリ最終ステージは大きく動いた。アタック合戦の末に逃げに乗った総合2位リリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)がゴール勝負を制し、遅れた首位トムス・クスインシュ(ラトビア、キャノンデール・ドラパック)に対して逆転総合優勝を成し遂げた。



リーダージャージを着用して最終日に臨んだトムス・クスインシュ(ラトビア、キャノンデール・ドラパック)リーダージャージを着用して最終日に臨んだトムス・クスインシュ(ラトビア、キャノンデール・ドラパック) photo:CorVosアップダウンの厳しい登坂コースで行われたセッティマーナ・コッピ・エ・バルタリ2017第4ステージアップダウンの厳しい登坂コースで行われたセッティマーナ・コッピ・エ・バルタリ2017第4ステージ photo:CorVos逃げ集団のスプリントを制したリリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)逃げ集団のスプリントを制したリリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー) photo:CorVosステージ表彰台ステージ表彰台 photo:CorVos4日間5レースのセッティマーナ・コッピ・エ・バルタリも最終日。厳しい上りが設定されている2つの周回コースを組み合わせた160kmのアップダウンコースで争われた。

ステージ優勝もさることながら、最大の焦点は総合首位のトムス・クスインシュ(ラトビア、キャノンデール・ドラパック)が16秒差をキープできるか。同2位のリリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)がどう動くかに注目が集まった。

レースがスタートすると、これまで不調を凌ぎながらステージをこなしてきた中根英登(NIPPOヴィーインファンティーニ)が脱落してしまう。「最初の上りに入って、踏めない&回せない。すぐに集団から遅れてしまった」と15kmでリタイアを選択。「身体がそれに対応出来るレベルでなかったのと、レースの合間のリカバリーが上手く出来なかった自分の責任。次のレースではしっかり走れる状態に整えて臨みたいと思います」と悔しさをにじませるコメントをしている。

中盤以降に抜け出したブリース・フェイユ(フランス、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト)や、昨年のジロ・デ・イタリアステージ優勝者アレクサンドル・フォリフォロフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)、レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)の逃げは終盤になって活性化したメイン集団に飲み込まれ、ここからイウリ・フィロージ(イタリア、NIPPOヴーニファンティーニ)らもアタックを繰り出したが、十分な逃げには繋がらない。

すると最後の登りをクリアした場所から、勝負を決定づける10名の逃げが誕生。イアン・ボスウェル(アメリカ、チームスカイ)やハイメ・ローソン(スペイン、カハルーラル・セグロスRGA)など総合勢も加わったこの動きにはカルメジャーヌが便乗し、肝心のクスインシュはフォローすることができなかった。

逃げる先頭10名は協調体制を組み、スクインシュが入った20名の追走グループを背にリードをじわじわと拡大していく。追走はペースを上げきることができず逃げ切りが確定、曲がりくねった市街地コースで上手く位置取ったカルメジャーヌがスプリントで先着し、スクインシュは22秒遅れてゴールに辿り着いたため逆転総合優勝が確定。ステージと総合を手中に収めた。

昨年のブエルタ・ア・エスパーニャで区間優勝している24歳のフレンチライダーは、今年既にエトワール・ド・ベッセージュ(UCI2.1)で区間優勝&総合優勝を挙げており、既に4勝目。ディレクトエネルジーにとっても今大会5ステージ中3勝+総合優勝という完全勝利の4日間となった。

敗れたクスインシュは「自分に対して残念だし、100%以上の力でサポートしてくれたチームに申し訳ない。最後の登りでは誰かにぶつけられてチェーンを落としてしまい、復帰に力を使ってしまいペースが崩れてしまった。逃げにはほんのわずか届かずに優勝を取りこぼしてしまったんだ。総合2位は開幕前だったら良い目標だけど、ギリギリ優勝に届かなかった2位はとても悔しい。気持ちの切り替えに数日間かかりそうだ」と語っている。



総合表彰台。リリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)が中央に上がる総合表彰台。リリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)が中央に上がる photo:CorVos


セッティマーナ・コッピ・エ・バルタリ2017第4ステージ結果
1位 リリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)       3h44'32"
2位 ロドルフォ・トーレス(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)
3位 フロリアン・ヴァション(フランス、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト)
4位 マッテーオ・ブザート(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)
5位 ニコラ・ガッフリーニ(イタリア、サンジェミニ・MGクヴィス)
6位 ハイメ・ローソン(スペイン、カハルーラル・セグロスRGA)
7位 キリル・ポズディヤノフ(ロシア、シナジーバク・サイクリングプロジェクト)
8位 マッティア・カッタネオ(イタリア、アンドローニ・ジョカトリ)
9位 アーレイ・ベルナール(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)
10位 イアン・ボスウェル(アメリカ、チームスカイ)

個人総合成績
1位 リリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)       13h37'51"
2位 トムス・クスインシュ(ラトビア、キャノンデール・ドラパック)         +16"
3位 ハイメ・ローソン(スペイン、カハルーラル・セグロスRGA)           +31"
4位 アーレイ・ベルナール(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)         +48"
5位 ロドルフォ・トーレス(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)         +49"
6位 イアン・ボスウェル(アメリカ、チームスカイ)                +1’04”
7位 フロリアン・ヴァション(フランス、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト)  +1'29"
8位 ロメン・シカール(フランス、ディレクトエネルジー)             +1'37"
9位 キリル・ポズディヤノフ(ロシア、シナジーバク・サイクリングプロジェクト)  +1'54"
10位 ニコラ・ガッフリーニ(イタリア、サンジェミニ・MGクヴィス)        +2'04"

ポイント賞
1位 リリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)

山岳賞
1位 ダニーロ・セラーノ(アモーレ&ヴィータ・セラSMP)

ヤングライダー賞
1位 アーレイ・ベルナール(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)

チーム総合成績
1位 フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト

text:So.Isobe
photo:CorVos