カーボンモデルRL9の乗り味を再現すべく開発された、アンカーのロングライド向けアルミバイク「RL6」をインプレッション。PROFORMATを用いた最先端アルミバイクの実力とは?



アンカー RL6アンカー RL6 photo:MakotoAYANO/cyclowired.jp
2016年にロードバイクのレーシングラインである「RS」シリーズにRS9とRS6という新モデルを追加したアンカー。RS9を駆ったブリヂストン・アンカーの初山翔と西薗良太による全日本選手権ロードのワンツーフィニッシュは記憶にも新しいが、その開発に用いられたアンカーの最新解析技術PROFORMAT(プロフォーマット)を同社のロングライドモデルである「RL」シリーズにも投入し、2017年モデルとして新たに登場したのがカーボンモデルのRL9とアルミモデルのRL6である。

開発コンセプトを”ラグジュアリー”な乗り心地とした新たなRLシリーズ。より心地よく、より遠くへ行けるバイクとして快適性とともに重視されたのが、より前に進む推進力である。カーボンモデルであるRL9の前作RL8で評価の高かった乗り心地を活かしつつ、アンカーが推進力最大化解析技術と名付けたPROFORMATを駆使することでフレーム全体の剛性バランスを最適化し、よりパワー伝達性の高いバイクへと進化している。

シートステーは曲がりが入れられ、快適性の向上に貢献シートステーは曲がりが入れられ、快適性の向上に貢献 トップチューブからシートステーへ繋がるようなデザイントップチューブからシートステーへ繋がるようなデザイン フロントフォークは上位モデルと同様の形状で振動吸収性に優れるフロントフォークは上位モデルと同様の形状で振動吸収性に優れる


快適性と走行性能という相反する二つの性能を高次元でバランスさせることに成功したRL9。そんな造形に自由度の高いカーボンバイクならではの上質な乗り心地を、アルミでも再現するべく開発されたのが今回紹介する「RL6」である。「ロングライドにもアルミバイクを」というアンカーの新たな提案を体現した1台だ。

開発に際し、目指したのはRL9に限りなく近い乗り心地。それを実現するためにカーボンよりも成形の難しいアルミを用いながらも各チューブ形状や全体のフレームデザインをRL9に近づけ、アルミらしからぬ乗り味を獲得したという。

精度の高い溶接技術を見せる精度の高い溶接技術を見せる ヘッドチューブは少し長めに設定される事でゆったりしたジオメトリーにヘッドチューブは少し長めに設定される事でゆったりしたジオメトリーに

チェーンステーはパワー伝達性を高めるためガッチリとした造形チェーンステーはパワー伝達性を高めるためガッチリとした造形 シンプルなロゴマークが配されるダウンチューブ。シフトワイヤーは外装だシンプルなロゴマークが配されるダウンチューブ。シフトワイヤーは外装だ


RL9のフレーム形状を踏襲したトップチューブはその良い例だろう。横方向につぶしを効かせた扁平形状のチューブを、緩くカーブを描くようデザインすることで振動吸収性を高める役割を果たしている。また、フロントフォークもRL9と同形状のものを採用。全体のバランスを考慮してカーボングレードは変更されているものの、上位モデルと全く同じようにベンドしたフォークにより、フロント周りの振動吸収に貢献している。

一方、リアの快適性を高めるシートステーに注目すると、RL9ではモノコックで設計した扁平形状のチューブを採用したが、RL6では強度を確保するためチューブを太くし、かつ内側にベンドさせた形状に置き換えることで乗り味を近づけることに成功している。シートステー径が増した分、他のチューブ径や厚みにシェイプアップを図ることで、フレーム全体の重量を抑える工夫もされている。

タイヤはブリヂストンのEXTENZA RR2Xが装備されるタイヤはブリヂストンのEXTENZA RR2Xが装備される ブレーキまでシマノ製品を使い信頼性は高いブレーキまでシマノ製品を使い信頼性は高い


推進力に繋がるパワー伝達性を向上させるため、RL9ではBBに接続するダウンチューブ、シートチューブ、チェーンステーにボリュームを持たせることで剛性アップを図っていた。このRL6ではそれよりも細身のチューブ形状へ変更されたものの、ダウンチューブはヘッドチューブ付近が六角形、BB付近が四角形のような複雑なチューブ断面を採用することでねじれ剛性を高め、走行性能を向上させている。

ヘッドチューブはRL9に対しどのサイズでも10mmほど長く設計されているため、よりアップライトで楽なポジションが可能となっている。初めてロードバイクに乗るエントリー層にも配慮した設計だ。これらのフレームデザインはPROFORMATによるシミュレーションにて、各部のしなりや強度の数値をRL9に近づけていくことで決定していった。

28Cのタイヤまで入るクリアランスを確保した28Cのタイヤまで入るクリアランスを確保した サドルはノーマルなスポーツサドルをアッセンブルサドルはノーマルなスポーツサドルをアッセンブル リアブレーキケーブルはトップチューブから内蔵されるリアブレーキケーブルはトップチューブから内蔵される


標準で25Cタイヤがアッセンブルされ、タイヤクリアランスも28Cまで対応。シフトワイヤーは外装となるが、フレームはDi2にも対応しており、アウター受けは取り外すことも可能となっている。BBはメンテナンス性に配慮し、オーソドックスなねじ切りタイプが採用されている。

今回のテストバイクはコンポーネントにシマノ・105をアッセンブルし、ホイールにフルクラムRACING SPORT装備したRL6 EPSE完成車。アルミ素材で作り上げたロングライドモデルはインプレライダーの目にどのように映るのか。それではインプレッションに移ろう。



ー インプレッション

「クロモリフレームのようなしなやかな乗り心地のアルミバイク」山崎嘉貴(ブレアサイクリング)

アルミフレームながら全体的にゆったりとした乗り心地のバイクです。アンカーというブランドを昔から知っている方なら分かってもらえると思いますが、同社のクロモリフレームであるネオコットのアルミ版という印象を受けました。

「クロモリフレームのようなしなやかな乗り心地のアルミバイク」山崎嘉貴(ブレアサイクリング)「クロモリフレームのようなしなやかな乗り心地のアルミバイク」山崎嘉貴(ブレアサイクリング) 踏み心地はフレーム全体にしなり感があり、とても脚に優しい味付けになっています。衝撃吸収性に関しても、ジオメトリーが工夫されていて振動を逃がしているので快適に走ることができますね。かと言って踏み込んだ際のパワーが逃げてしまうことはなく、フレームのたわみを上手く利用して、溜めを作ってから大きくはじき出してくれます。ロングライド向けバイクですが、気持ち良く加速してくれる感覚もしっかりと残っています。

アップライトなジオメトリーのため、ロードバイク特有のフラフラ感やハンドリングのクイックさが少なく、初心者の方でも身体を預けられる安心感があります。かといってアンダーステアになりすぎるという事もなく、しっかりと安定したコーナリングが可能です。

ベンドした特徴的な形状のシートステーにより、リアバックに高い柔軟性を感じます。そのため、アルミフレームのバイクですが、少し荒れた路面を走ってもタイヤが跳ねる感じはありません。後輪の路面追従性が高いため、ダート区間を走行しても気持ち良く走ることができます。

フレーム重量を見るとやはりカーボンバイクには負けてしまうところはあります。登りでもその重さは感じてしまいますが、軽量バイクにありがちなペダリングと連動しないギクシャクした感覚はないので、無駄に疲れることもなく一定ペースで走ることができます。

下りに関しても路面追従性の高さから路面をしっかり掴んで安定して下る事ができるため、初心者の方が乗っても怖さを感じることはないでしょう。何かに特化しているというよりは全体のレンジが広く、懐が深いバイクではないでしょうか。

昔のアンカーのネオコットフレームの良さを知っているが、クロモリはちょっと古臭さがあるし、かと言って今時のカーボンバイクは性に合わないという方には非常にオススメですね。パーツを交換していく楽しみもあります。シマノ105の完成車で18万円ということですが、20万円超えのクオリティーは確実に持っていると感じますので、とてもコストパフォーマンスは良いと思いました。

「初心者に優しいジオメトリーで乗りやすさが光るバイク」遠藤健太(サイクルワークス Fin’s)

ロングライドバイクですがPROFORMAT技術のおかげで、ペダルに込めた力が直接推進力に変わるのが体感できます。ヘッドチューブが長めに出来ているため、ゆったりしたポジションを取りやすいジオメトリーとなっているのも特徴ですね。

「初心者に優しいジオメトリーで乗りやすさが光るバイク」遠藤健太(サイクルワークス Fin’s)「初心者に優しいジオメトリーで乗りやすさが光るバイク」遠藤健太(サイクルワークス Fin’s)
踏み味はアルミらしいシャキシャキ感があり、力をかけた分だけ進みます。強く踏み込んだ時の跳ね返りなどに嫌な感覚はありませんね。一方、アルミフレームということもありカーボンバイクと比べてしまうと重量が若干あるため、登りはもたつく感覚があります。ですので、平坦区間をゆっくり、のんびり走る方にはとても良いバイクだと思います。

乗り心地はアンカーの狙う通り、一般的なアルミフレームよりも高い快適性を持っています。フロントフォークは緩やかなカーブを描いており、路面からの衝撃を吸収してくれますし、シートステーも曲がりが入っており、この部分でも振動を和らげています。アルミのバイクですが、コンフォート系カーボンフレームのようなしなやかな乗り味が特長的です。同時にシートステーのベンドは路面追従性の向上にも貢献しており、推進力を路面にしっかり伝えてくれる役割も果たしていると感じました。

アンカー完成車の特長としてシマノの105採用のモデルなら、ブレーキまで全て同じコンポーネントで組み立てられるので、廉価版のブレーキ使う事もなく安心できる点もいいですね。アップグレードするなら、まずはホイール周りでしょう。軽量ホイールへ交換するだけで、登りも軽快になり幅広いシチュエーションで楽しく乗れるバイクに変わると思います。BBにねじ切り式を採用しているため、音鳴り等のトラブルが少ないのも嬉しいですね。

ジオメトリーは純国産ブランドのアンカーが作っているフレームだけあって、日本人の体型に合わせて設計されており、ポジションがしっくり来る方は多いでしょうし、非常に乗りやすいと思います。また比較的アップライトなポジションを取れるジオメトリーですので、初心者の方や年配の方など、あまり低いハンドルポジションを取りたくない人にはオススメです。身体が硬い方や柔軟性に自信がない方にも優しいポジションですね。

アンカー RL6アンカー RL6 photo:MakotoAYANO/cyclowired.jp
アンカー RL6
フレーム:PROFORMAT アルミニウム A6061
フォーク:カーボンモノコック カーボンコラム クラウンレース一体成型
サイズ:390、420、450、480、510、540mm
シートポスト径:27.2mm
BB規格:JIS
価格:
RL6 EQUIPE 180,000円(税抜)
RL6 EPSE 180,000円(税抜)
RL6 SPORT 155,000円(税抜)
RL6 EX 125,000円(税抜)
RL6フレームセット 90,000円(税抜)



インプレッションライダーのプロフィール

山崎嘉貴(ブレアサイクリング)山崎嘉貴(ブレアサイクリング) 山崎嘉貴(ブレアサイクリング)

長野県飯田市にあるブレアサイクリング店主。ブリヂストンアンカーのサテライトチームに所属したのち、渡仏。自転車競技の本場であるフランスでのレース活動経験を生かして、南信州の地で自転車の楽しさを伝えている。サイクルスポーツ誌主催の最速店長選手権の初代優勝者でもあり、走れる店長として高い認知度を誇っている。オリジナルサイクルジャージ”GRIDE”の企画販売も手掛けており、オンラインストアで全国から注文が可能だ。

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ブレアサイクリングHP

遠藤健太(サイクルワークス Fin’s)遠藤健太(サイクルワークス Fin’s) 遠藤健太(サイクルワークス Fin’s)

新潟県長岡市に店舗を構えるサイクルワークス Fin’sの店長。学生時代にBMXから始まり、MTBやロードバイクまで幅広く自転車を楽しむ、バリバリの走れる系店長。スポーツバイク歴は18年にもなり、2012年には全日本選手権ロードに出場した経験も。お店は完璧なメカニックサービスを提供するべく、クオリティの高い整備が評判だ。ショップ主催のサイクリングやレース活動に積極的で、初めての人から実業団レースで活躍したい人まで手厚いサポートを心がける。

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ウェア協力:GRIDE

text:Yuto.Murata
photo:Makoto.AYANO