ランカウイのクイーンステージ、キャメロンハイランドで総合争いが勃発。マクセブ・ドゥバサイが勝利し、ライアン・ギボンズの総合首位を守ったディメンションデータが大成功を収めた。



山間を通過していくプロトン。コントロールはディメンションデータやアンドローニ・ジョカトリが担った山間を通過していくプロトン。コントロールはディメンションデータやアンドローニ・ジョカトリが担った (c)Le Tour de Langkawi 2017


スタートの準備を整えるフィリッポ・ポッツァート(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)スタートの準備を整えるフィリッポ・ポッツァート(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ) (c)Le Tour de Langkawi 20176分差で逃げた5名のエスケープに入った住吉宏太(愛三工業レーシング)6分差で逃げた5名のエスケープに入った住吉宏太(愛三工業レーシング) (c)Danial Hakim登りで先頭グループに食らいつく中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ)登りで先頭グループに食らいつく中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ) (c)Danial Hakimライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ)がキャメロン・バイリー(オーストラリア、アイソウェイスポーツ・スイスウェルネス)を下し、キャリア初勝利を達成ライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ)がキャメロン・バイリー(オーストラリア、アイソウェイスポーツ・スイスウェルネス)を下し、キャリア初勝利を達成 (c)CorVosステージ表彰台。キャリア初勝利をキャメロンハイランドで得たマクセブ・ドゥバサイ(エリトリア、ディメンションデータ)の笑顔が光るステージ表彰台。キャリア初勝利をキャメロンハイランドで得たマクセブ・ドゥバサイ(エリトリア、ディメンションデータ)の笑顔が光る (c)CorVosマレーシアで開催中のツール・ド・ランカウイは文字通り大会の山場、超級山岳キャメロンハイランド頂上へと至る第5ステージへと直面。序盤こそ平坦路が続くものの、残り40kmからはほぼ登りっぱなしという過酷なレイアウトが総合成績を大きく左右した。

序盤から逃げた5名の中には住吉宏太(愛三工業レーシング)が入り、メイン集団からおよそ6分のリードを得て逃げる展開に。

メイン集団のコントロールを担ったのは、アーレイ・ベルナール(コロンビア)を良い形で勝負に送り込みたいアンドローニ・ジョカトリだった。終盤に掛けて登り勾配が始まると逃げを吸収し、メイン集団内の勝負がにわかに加熱していく。

残り13.6km地点でピークを越える1級山岳リングレットでは、残り20kmを切ったタイミングでNIPPOヴィーニファンティーニのエースを担った中根英登が痛恨のパンク。ジャコモ・ベルラート(イタリア)の後輪と入れ替えて追走の末に頂上付近で合流に成功するも、消耗は抑えきることができなかった。

下り&平坦路を経て再び登りに転じ、平均勾配5%の登りを駆け上がってキャメロンハイランドに至る過程では集団の人数が徐々に絞り込まれ、終盤には疲労を溜めてしまった中根や、怪我からの復帰戦である早川朋宏(愛三工業レーシング)が粘っていたものの、脱落。総合リーダーのライアン・ギボンズ(南アフリカ)ら4名を残したディメンションデータ有利な形でゴールまでの距離を減らしていった。

すると残り1kmで、ディメンションデータの優位を崩すべくキャメロン・バイリー(オーストラリア、アイソウェイスポーツ・スイスウェルネス)がアタック。マクセブ・ドゥバサイ(エリトリア、ディメンションデータ)のみがフォローでき、後続に数秒のリードを保ったままフィニッシュライン前へと到達した。

しかし残り150mでクイーンステージ制覇への糸口を掴んだのは、「バイリーのアタックにも余裕を持って対処できた」と振り返るドゥバサイの方だった。昨年ディメンションデータに加入した25歳はそのまま先頭を譲らず、嬉しいキャリア初勝利を達成。

その4秒後にはギボンズを先頭にした集団が続き、ディメンションデータはクイーンステージでのステージ優勝と総合首位キープに成功。ベストメンバーではないにも関わらず、今大会唯一のUCIワールドチームとしてその総合力を見せつける結果となった。

「チームとして今日はこれ以上望めないほどに成功した。僕はというと登りでは常にレッドゾーンで、何度も遅れかけたけれど、マイペースで集団に追いついて総合首位を守ることができた。このまま最後までリーダーを貫きたい」とイエロージャージを守ったギボンズは語っている。

また、終盤に遅れた中根は「集団に追いつくためにかなり脚を使ってしまったため、残り2km過ぎたあたりで限界が来てしまった。素晴らしいチームメイト、スタッフに支えられて勝負させてもらえたのにも関わらず、自分のテクニック不足で最後の最後で台無しにしてしまった。まだあと4ステージあるので、気持ち切り替えて明日からもみんなで頑張ります」と悔しさをコメントしている。



パンクからの追走で脚を使い、残り2kmで脱落した中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ)が37秒遅れでフィニッシュパンクからの追走で脚を使い、残り2kmで脱落した中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ)が37秒遅れでフィニッシュ (c)Sonoko.Tanaka
中根を労うジャコモ・ベルラート(イタリア)中根を労うジャコモ・ベルラート(イタリア) (c)Sonoko.Tanaka


ツール・ド・ランカウイ2017第4ステージ結果
1位 マクセブ・ドゥバサイ(エリトリア、ディメンションデータ)           4h37’49”
2位 キャメロン・バイリー(オーストラリア、アイソウェイスポーツ・スイスウェルネス)
3位 ライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ)              +04”
4位 イェフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、ヴィノ・アスタナモーターズ)
5位 アルベルト・チェッキン(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)
6位 ベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ)
7位 クリス・ハーパー(オーストラリア、アイソウェイスポーツ・スイスウェルネス)
8位 アーレイ・ベルナール(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)
9位 ダニエル・ハラミーリョ(コロンビア、ユナイテッドヘルスケア) 
10位 ティモシー・ロー(オーストラリア、アイソウェイスポーツ・スイスウェルネス)

個人総合成績
1位 ライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ)            4h37’49”
2位 キャメロン・バイリー(オーストラリア、アイソウェイスポーツ・スイスウェルネス)  +11”
3位 アルベルト・チェッキン(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)        +15”
4位 イェフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、ヴィノ・アスタナモーターズ)       +17”
5位 クリス・ハーパー(オーストラリア、アイソウェイスポーツ・スイスウェルネス)    +21”
6位 マクセブ・ドゥバサイ(エリトリア、ディメンションデータ) 
7位 ダニエル・ハラミーリョ(コロンビア、ユナイテッドヘルスケア) 
8位 アーレイ・ベルナール(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)
9位 ティモシー・ロー(オーストラリア、アイソウェイスポーツ・スイスウェルネス)
10位 ベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ)

ポイント賞
1位 スコット・サンダーランド(オーストラリア、アイソウェイスポーツ・スイスウェルネス) 27pts
2位 トラヴィス・マケイブ(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)              26pts
3位 ライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ)               26pts

山岳賞
1位 ジョン・エブセン(デンマーク、インフィニットAISサイクリングチーム)         29pts
2位 マクセブ・ドゥバサイ(エリトリア、ディメンションデータ)              25pts
3位 キャメロン・バイリー(オーストラリア、アイソウェイスポーツ・スイスウェルネス)   20pts

チーム総合成績
1位 アイソウェイスポーツ・スイスウェルネス
2位 ディメンションデータ
3位 マンザナ・ポストボン

text:So.Isobe
photo:Sonoko.Tanaka,CorVos