2月19日、中東第2戦のツアー・オブ・オマーンが完結。アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)がスプリント3勝目で締めくくった。



BMCレーシングを先頭にして首都マスカットに向かうBMCレーシングを先頭にして首都マスカットに向かう photo:TDWsport / KT


逃げるイーリョ・ケイセ(ベルギー、クイックステップフロアーズ)とアイメ・デヘント(ベルギー、スポートフラーンデレン)逃げるイーリョ・ケイセ(ベルギー、クイックステップフロアーズ)とアイメ・デヘント(ベルギー、スポートフラーンデレン) photo:TDWsport / KTツアー・オブ・オマーン最終ステージは首都マスカットの海岸通にフィニッシュする130.5km。2つのKOM通過後、アップダウンのある7km周回コースを3周してフィニッシュを迎える。

総合敢闘賞ジャージを着るマーク・クリスティアン(イギリス、アクアブルースポート)がデヘントを追う総合敢闘賞ジャージを着るマーク・クリスティアン(イギリス、アクアブルースポート)がデヘントを追う photo:TDWsport / KTNIPPOヴィーニファンティーニの窪木一茂が「今日はとても強風なので気をつけて走ること。スタート後から最後まで常に風との戦いだった(チームNIPPOレポート)」と振り返るように、今大会最も風の強いコンディションの中でレースはスタート。するとイーリョ・ケイセ(ベルギー、クイックステップフロアーズ)、アイメ・デヘント(ベルギー、スポートフラーンデレン)、ベンジャミン・ジロー(フランス、デルコ・マルセイユKTM)が早速先行を開始した。

オマーン国旗がなびく周回コースを走るオマーン国旗がなびく周回コースを走る photo:TDWsport / KTレース前半はリーダージャージを擁するBMCレーシングが集団牽引を担ったものの、やがてアイルランドの新生UCIプロコンチネンタルチームであるアクアブルースポートが集団先頭へ。マーク・クリスティアン(イギリス、アクアブルースポート)の総合敢闘賞(山岳賞と中間スプリント賞の合計)ジャージを守るため、同賞上位のデヘントを追撃し始めた。

マスカットの海岸通を進むプロトンマスカットの海岸通を進むプロトン photo:TDWsport / KT最初のKOMでクリスティアンはメイン集団から飛び出したものの先頭グループには追いつけず。先頭からはやがてジローが脱落し、ケイセとともに逃げ続けたデヘントが総合敢闘賞の首位を奪っている。なお、アイメ・デヘントとロット・ソウダルのトーマス・デヘントの間に血縁関係はない。

スプリントで先頭に立つアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)スプリントで先頭に立つアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン) photo:TDWsport / KTカチューシャ・アルペシンが集団スプリントに向けて集団牽引を開始する中、先頭ではケイセが独走を開始する。トラック6日間レースのスペシャリストであり、その独走力を生かして何度も逃げ切りを果たしているケイセ。しかし最終周回突入後、残り4km地点でケイセは吸収された。

今大会3勝目を飾ったアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)今大会3勝目を飾ったアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン) photo:TDWsport / KT続いて総合6位ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)が周回コース内の登り(600m/6%)を利用してアタックし、ここにグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)がチェックに入る。10秒程度のリードを得た2人だったが、この動きも残り1kmで吸収。100名近い大集団によるスプリントが始まった。

向かい風を考慮してタイミングを遅らせたクリストフがエドゥアルド・グロス(ルーマニア、NIPPOヴィーニファンティーニ)やサーシャ・モードロ(イタリア、UAEアブダビ)を押さえ込む。安定したスプリントで今大会3度目のガッツポーズが決まった。

「風の強い1日だったのでレースをコントロールするのが難しかった。最後はマルコ・ハラーが素晴らしい働きぶりを見せてくれて、残り2kmから彼がリードして良い位置をキープ。ラスト150mは強い向かい風が吹いていたのでまるで300mぐらいの感覚だったけど、なんとか前に出て先頭をキープしたんだ。ステージ3勝目はとにかく嬉しい」と、今シーズンの勝利数を4に伸ばしたクリストフは語る。

過去に優勝をおさめているロンド・ファン・フラーンデレンやミラノ〜サンレモに向けてクリストフは上々の仕上がり。クリストフはオマーンでの手応えをヨーロッパに持ち帰る。「次はベルギーのクラシックレースだ。オンループとクールネでは優勝候補にカウントされるかも知れないけど、チームにはトニー・マルティンとバティスト・プランカールトもいる。とにかくオマーン遠征は大成功だった。ステージ3勝だけでなく、良い天候の中で距離を乗り込むことができた。登りも多く設定されていたので、登りでの追い込んだ走りがクラシックキャンペーンに良い結果をもたらすと思う(カチューシャ・アルペシン公式サイト)」。

総合リーダーのベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング)はレース中盤に落車するトラブルに見舞われたものの、タイムを失うことなく走りきった。「風が強く、プロトンの中は常にナーバスな状態だった。落車もあったし、フィニッシュラインを切るまで集中力を切らすことができなかった」と、総合優勝に輝いたヘルマンス。

「ステージ2勝を飾って総合優勝。夢のような結果で、パーフェクトな1週間だった。この時期に良い結果を出すことができればシーズンを通して好調なんだ。自分はリッチー・ポートやティージェイ・ヴァンガーデレン、グレッグ・ヴァンアーヴェルマートのようなトップライダーではないけど、この先まだまだ活躍のチャンスはあると思う。クラシックレース、特にリエージュ〜バストーニュ〜リエージュがシーズン前半の目標だ(BMCレーシング公式サイト)」と、クリストフ同様にヘルマンスも春のクラシックに目を向ける。



総合優勝に輝いたベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング)総合優勝に輝いたベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング) photo:TDWsport / KT


ツアー・オブ・オマーン2017第6ステージ結果
1位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン) 2h57’03”
2位 エドゥアルド・グロス(ルーマニア、NIPPOヴィーニファンティーニ)
3位 サーシャ・モードロ(イタリア、UAEアブダビ)
4位 バルト・ヴァンレルバーヘ(ベルギー、スポートフラーンデレン)
5位 マヌエル・ベレッティ(イタリア、ウィリエールトリエスティーナ)
6位 ラモン・シンケルダム(オランダ、サンウェブ)
7位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
8位 ラーセ・ノーマンハンセン(デンマーク、アクアブルースポート)
9位 クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、ディメンションデータ)
10位 ローイ・ヤンス(ベルギー、WBベランクラシック)

個人総合成績
1位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング)            20h56’20”
2位 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEアブダビ)                +22”
3位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)                  +35”
4位 メルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ)        +58”
5位 スガブ・グルマイ(エチオピア、バーレーン・メリダ)          +1’12”
6位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)          +1’17”
7位 マティアス・フランク(スイス、アージェードゥーゼール)        +1’19”
8位 ラクラン・モートン(オーストラリア、ディメンションデータ)      +1’21”
9位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、バーレーン・メリダ)     +1’33”
10位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ)      +1’38”

ポイント賞
1位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)  47pts
2位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング)             42pts
3位 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEアブダビ)               33pts

ヤングライダー賞
1位 メルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ)      20h57’18”
2位 ラクラン・モートン(オーストラリア、ディメンションデータ)       +23”
3位 ローレンス・デプルス(ベルギー、クイックステップフロアーズ)     +1’04”

チーム総合成績
1位 ディメンションデータ                        62h52’46”
2位 アージェードゥーゼール                        +2’12”
3位 アスタナ                               +2’20”

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele