この日も繰り広げられた二人の一騎打ち。最終周回の砂区間を前に仕掛けたマテュー・ファンデルポールが、ライバルのワウト・ファンアールトを振り切って勝利した。弱虫ペダルサイクリングチームの唐見実世子は37位完走、織田聖はDNFだった。



ライトアップされたディーゲムの高速サーキットライトアップされたディーゲムの高速サーキット photo:CorVos


レースをリードするワウト・ファンアールト(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス)を下したマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)レースをリードするワウト・ファンアールト(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス)を下したマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン) photo:CorVos終盤に2位に浮上したケヴィン・パウエルス(ベルギー、マーラックス・ナポレオンゲームス)終盤に2位に浮上したケヴィン・パウエルス(ベルギー、マーラックス・ナポレオンゲームス) photo:CorVos4位に入ったヨーロッパ王者のトーン・アールツ(ベルギー、テレネット・フィデア) 4位に入ったヨーロッパ王者のトーン・アールツ(ベルギー、テレネット・フィデア)  photo:CorVosワウト・ファンアールト(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス)を下したマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)ワウト・ファンアールト(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス)を下したマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン) photo:CorVosスーパープレスティージュ第6戦の舞台は、ベルギーの首都ブリュッセルの外郭を成す街ディーゲム。街中に設定された長い舗装路を含む平坦コースによる、シリーズ屈指の高速サーキットが特徴で、男子エリートはどっぷりと日が落ちた後にスタートするナイトレースだ。

日本からは1月1日までおよそ2週間の海外遠征をスタートさせた弱虫ペダルサイクリングチームも出場。織田聖が男子U23に、唐見実世子が女子レースに出場し、少々遅れて合流する前田公平は24日のオランダレースから世界のトップレースへと挑むこととなる。

トップ選手が勢揃いした男子エリートレースは、序盤から積極的にオランダ王者であるマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)がハイペースを刻み、ここに最大のライバルにして世界王者のワウト・ファンアールト(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス)が続く形で動き出す。

後方からは ヨーロッパ王者のトーン・アールツ(ベルギー、テレネット・フィデア)やケヴィン・パウエルス(ベルギー、マーラックス・ナポレオンゲームス)、マテューの兄であるデーヴィッド・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)らがセカンドパックを組んで追いかけるが、序盤に開いたこの差は最後まで詰まることがなかった。

互いに様子を伺いながら、時に猛烈にペースアップし、時にスピードを弱めながら緊張感あるレースを進めていく二人。アタックを繰り出す場面も見られたが決定打には至らず、勝負は最終周回に持ち込まれることになる。

後方からアールツを千切ったパウエルスが追い上げてくる中、まず先に動いたのはファンデルポールだった。「ワウトが砂区間で仕掛け違っているのは分かっていた」と相手の作戦を読みきっていたオランダ王者はそれを前に加速すると、カードを封じられたファンアールトは後手に回るのみ。そこで開いた僅かな差が勝負を分けた。

ゴールまでの踏み抜いたファンデルポールはフライオーバーでビッグジャンプを決め、最後まで追い込む世界王者を押さえ込んで勝利。「二人で走っている時はあまり調子の良さを感じていなかった。だからその分今回の勝利は格別だ」と今シーズン14勝目を飾った。



2位ワウト・ファンアールト(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス)、1位ワウト・ファンアールト(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス)を下したマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)、3位ケヴィン・パウエルス(ベルギー、マ2位ワウト・ファンアールト(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス)、1位ワウト・ファンアールト(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス)を下したマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)、3位ケヴィン・パウエルス(ベルギー、マ photo:CorVos


同一周回の37位と成績を収めた唐見実世子(弱虫ペダルサイクリング)同一周回の37位と成績を収めた唐見実世子(弱虫ペダルサイクリング) photo:弱虫ペダルサイクリングチームメカトラと落車に苦しんだ織田聖(弱虫ペダルサイクリング)メカトラと落車に苦しんだ織田聖(弱虫ペダルサイクリング) photo:弱虫ペダルサイクリングチームまた、女子レースでは今レースからシクロクロスに戻ってきたマリアンヌ・フォス(オランダ、ラボ・Liv)がサンヌ・カント(ベルギー、IkoEnertherm・コレンドン)やカタリーナ・ナッシュ(チェコ、クリフプロチーム)を下す貫禄の復帰勝利を達成。ヨーロッパレースに挑んだ唐見実世子は持ち前のスピードを活かし、初戦ながら同一周回37位という好成績を収めた。

男子U23には織田聖が出場したが、序盤に他選手の落車に巻き込まれてメカトラブルを誘発させ後退。最終周回に入ること叶わず、DNFに終わっている。レース先頭ではヨーロッパ王者であるクインティン・ヘルマンス(ベルギー、テレネット・フィデア)がヨリス・ニューウェンユース(オランダ、ラボバンクデべロップメントチーム)を下し勝利した。

織田聖コメント
レベルの高いスーパープレステージュだけにスタート前は緊張感で一杯でした。スタートでもクリートキャッチが上手くいかず、その後は焦りからかミスの連発。キャンバー区間では他選手の落車に巻き込まれ転倒してしまい、その影響からのチェーン外れで、ホイールにチェーンが噛み込んでしまったトラブル解消に手間取ってしまいました。結果としては最終周回に入る事すら叶わず、完走する事が出来ませんでしたが、自分のコンディションは悪くなかったので気持ちを入れ替えて明日からのレースに臨みます。

唐見実世子コメント
試走をしてすぐに日本のシクロクロスとは全く異なる事が分かった。スタートで遅れてしまい、タイムトライアル状態に陥ったが、コースがスピードコースのような感じだったのでラップされる事はなかった。キャンパーや泥の区間、砂もフカフカで難しかった。欧州遠征は始まったばかりなので、これからコースの難易度が上がったり、悪天候になったり大変な事が多くあると思うが、乗り切っていきたい。



スーパープレスティージュ2016-2017第6戦ディーゲム結果(エリート男子)
1位 マテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)       1h06’22”
2位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス) 
3位 ケヴィン・パウエルス(ベルギー、マーラックス・ナポレオンゲームス)       +24”
4位 トーン・アールツ(ベルギー、テレネット・フィデア)               +40”
5位 イェンス・アダムス(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス)        +1’14”
6位 デーヴィッド・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)       +1’23”
7位 ティム・メルリエ(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス)         +1’31”
8位 トム・メーウセン(ベルギー、テレネット・フィデア)               +1’37”
9位 クラース・ファントルノート(ベルギー、マーラックス・ネポレオンゲームス)    +1’41”
10位 ローレンス・スウィーク(ベルギー、エラリアルエステート)            +1”57”

女子結果
1位 マリアンヌ・フォス(オランダ、ラボ・Liv)                 43’11”
2位 サンヌ・カント(ベルギー、IkoEnertherm・コレンドン)            +18”
3位 カタリーナ・ナッシュ(チェコ、クリフプロチーム)               +34”
37位 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)                 +5’36”

U23男子結果
1位 クインティン・ヘルマンス(ベルギー、テレネット・フィデア)        52’45”
2位 ヨリス・ニューウェンユース(オランダ、ラボバンクデべロップメントチーム)  +02”
3位 エリ・イゼルビッド(ベルギー、テレネット・フィデア)            +03”
DNF 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)

text:So.Isobe
photo:CorVos,弱虫ペダルサイクリングチーム