勝負を決めたのは、オランダ王者の登りアタック。度重なる落車から這い上がってきた世界王者を突き放し、ファンデルポールが前日のDVV第5戦に続く一騎打ちを制した。



激坂をクリアしていくマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)激坂をクリアしていくマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン) photo:CorVos度重なる落車から追い上げたワウト・ファンアールト(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス度重なる落車から追い上げたワウト・ファンアールト(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス photo:CorVosもつれるように最終周回へと入るワウト・ファンアールト(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス)とマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)もつれるように最終周回へと入るワウト・ファンアールト(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス)とマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン) photo:CorVos前日のDVVフェルゼクリンゲン・トロフェー第5戦から場所を移し、シクロクロスワールドカップ第6戦がベルギーのワロン地域にある都市ナミュールで開催された。

スタート地点となったのは数々のロードレースで使用されているナミュール城塞に向かう石畳の登り。丘の上に位置する城塞を縫うように走るコースレイアウトが特徴で、UCIワールドカップの中では高低差が大きい部類に入り、断続的にアップダウンが続く。途中には複数ラインを持つタイヤを取られやすい名物の下りキャンバーや、テクニカルなハイスピードコーナーが選手のスキルを試す。

64名が一丸となってダッシュ。トム・メーウセン(ベルギー、テレネット・フィデア)やアメリカ大陸王者のスティーブン・ハイド(アメリカ、キャノンデールp/bシクロクロスワールド.com)が好スタートを切り、マテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)、ワウト・ファンアールト(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス)らも先頭付近に位置取ってレースが動き出した。

すると1周目のキャンバーで、ラインを外したファンアールトが落車。先頭を行くファンデルポールとの差をおよそ1周で挽回したものの、今度は2周目の同じキャンバーで激しく前転してしまう。これによってファンデルポールが独走態勢となったが、後方からプッシュを続ける世界王者はあまり時間を要さず合流に成功した。

淡々とペースを刻む2人にはメーウセンが追いつき、先頭は3人。このまま進行するかと思われたが、コーナーの立ち上がりで膨らんだファンアールトがネットに引っかかり、ハンドルを大きく曲げてしまう。後方のグループに吸収されたファンアールトだったが、ここから怒涛の追い上げで再び復活。代わってメーウセンは力尽き、ややペースを落とした先頭2人にはケヴィン・パウエルス(ベルギー、マーラックス・ネポレオンゲームス)が追いついた。

しかしパウエルスの合流も、結果的に二人にとっては蚊帳の外だった。互いに様子を伺う中で決定的な動きは生まれず、最終周回までは嵐の前の静けさが続く。そして勝負所に向けてまず仕掛けたのはファンアールトだった。登りでアタックしたものの、「最終周回のために温存していた」と言うファンデルポールも反応し、コーナーのイン側を奪い合う熾烈な勝負が幕開けた。



紙吹雪の中フィニッシュするマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)紙吹雪の中フィニッシュするマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン) photo:CorVos


険しい表情でゴールするワウト・ファンアールト(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス)険しい表情でゴールするワウト・ファンアールト(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス) photo:CorVos2位ワウト・ファンアールト(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス)、1位マテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)、3位ケヴィン・パウエルス(ベルギー、マーラックス・ナポレオンゲームス)2位ワウト・ファンアールト(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス)、1位マテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)、3位ケヴィン・パウエルス(ベルギー、マーラックス・ナポレオンゲームス) photo:CorVos次なるキャンバーで下側のラインを選んだファンデルポールが先行し、次なる担ぎ区間でランを得意とするファンアールトの封じ込めに成功。そして登りで猛加速すると、「もう限界だった」というファンアールトは頂上付近で足をつくミスを犯してしまう。

3段攻撃を成功させたファンデルポールはそのままファンアールトを16秒引き離し、2連戦2連勝を成功させた。

「今日は絶好調ではなく、力的にはファンアールトの方がずっと強かった。何度も追いつかれてキツかったけれど、結局ミスが響いたんだと思う。あのまま攻撃されていたら力尽きてしまったと思う。」と語るファンデルポール。昨年に続くW杯ナミュール2連勝だ。

一方で力を見せながらも2位に終わったファンアールトは「2度目にキャンバーで落車した時はひどい気分だった。2日連続で最終周回の勝負に負けるなんて何も楽しくない」とコメント。しかしワールドカップの総合首位はキープしたままだ。次なるUCIシクロクロスワールドカップは12月26日ににゾルダーで開催される。






UCIシクロクロスワールドカップ2016-2017第6戦結果
1位 マテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)        1h05’31”
2位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス)      +16”
3位 ケヴィン・パウエルス(ベルギー、マーラックス・ネポレオンゲームス)       +27”
4位 トム・メーウセン(ベルギー、テレネット・フィデア)               +1’08”
5位 ローレンス・スウィーク(ベルギー、エラ・サーカス)               +1’22”
6位 コルヌ・ファンケッセル(オランダ、テレネット・フィデア)            +1’32”
7位 トーン・アールツ(ベルギー、テレネット・フィデア)               +1’37”
8位 マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、マーラックス・ネポレオンゲームス)  +1’48”
9位 マルセル・マイセン(ドイツ、ステイラーツ・ヴェローナ)             +2’33”
10位 クラース・ファントルノート(ベルギー、マーラックス・ネポレオンゲームス)    +2’44”

text:So.Isobe
photo:CorVos