女子はファン・ティン・インが元世界チャンピオンのエレン・ファンダイクを下して連覇を達成。男子ジュニアはモーリス・トゥーンが地元の重満丈をスプリントで下し優勝した。



11月13日(日)に行われた女子国際ロードレース100kmそしてジュニア国際ロードレース140kmはUCIレースではないものの、例年アジア諸国あるいはヨーロッパなどから男子チームとともに強豪が出場するレースになっている。

女子国際ロードレース100km
ファン・ティン・イン(台湾ナショナルチーム)が連覇達成

女子国際 ファン・ティン・イン(台湾ナショナルチーム)がチームTT世界チャンピオンのエレン・ファンダイク(ブールス・ドルマンス)を0.026秒差で破る女子国際 ファン・ティン・イン(台湾ナショナルチーム)がチームTT世界チャンピオンのエレン・ファンダイク(ブールス・ドルマンス)を0.026秒差で破る photo:Hideaki TAKAGI
女子国際は北端に近い国頭村「奥やんばるの里」をスタートし、与那の上りが1回の100kmのレースだ。100kmのコースに挑んだのは49名。序盤から上りで金子広美(イナーメ信濃山形)を中心にペースが上がる。与那の上りでペースを上げたのも金子。この動きで東海岸へ出るときに先頭は6人になる。メンバーはファン、エレン・ファンダイク(ブールス・ドルマンス)、金子、牧瀬翼(ASAHI MUUR ZERO)、大堀博美(yokosuka uno racing)、樫木祥子(ニールプライド南信スバル)だ。

ファンダイクは2016年世界選手権の個人TTで2位、チームTTのチャンピオンメンバーだ。2013年には個人TTで世界王者、2014年女子ロンド・ファン・フラーンデレン(ツール・ド・フランドル)優勝などを経験している世界トップクラスの選手だ。台湾のファンは昨年大会覇者で、自国のリオオリンピック代表選手。大堀は昨年の全日本選手権ロードでラスト100mまで逃げた選手。

いずれも強豪だけが残った先頭集団は6人のままで東海岸を進み、ラスト15kmからの羽地ダムへの上りへ。ここで金子がペースを上げると、ファン、ファンダイクと金子が着いていき、3人に絞られる。国道58号に出てからの「イオン坂」でファンダイクがアタックするも吸収され、3人でのスプリント勝負へ。ラスト200mから仕掛けたファンが、追い込むファンダイクを振り切って優勝。歓喜の声をあげた。

普久川ダム頂上ポイント。ファン・ティン・イン(台湾ナショナルチーム)が引く先頭集団。エレン・ファンダイク(ブールス・ドルマンス)普久川ダム頂上ポイント。ファン・ティン・イン(台湾ナショナルチーム)が引く先頭集団。エレン・ファンダイク(ブールス・ドルマンス) photo:Makoto.AYANO普久川ダム頂上ポイントを行く先頭集団。ファン・ティン・イン(台湾ナショナルチーム)、エレン・ファンダイク(ブールス・ドルマンス)、 牧瀬翼(あさひMUUR ZERO)が続く普久川ダム頂上ポイントを行く先頭集団。ファン・ティン・イン(台湾ナショナルチーム)、エレン・ファンダイク(ブールス・ドルマンス)、 牧瀬翼(あさひMUUR ZERO)が続く photo:Makoto.AYANO

世界チャンピオン経験者エレン・ファンダイク(ブールス・ドルマンス)世界チャンピオン経験者エレン・ファンダイク(ブールス・ドルマンス) photo:Makoto.AYANO女子国際表彰 ファン・ティン・イン(台湾ナショナルチーム)が大会2連覇達成女子国際表彰 ファン・ティン・イン(台湾ナショナルチーム)が大会2連覇達成 photo:Hideaki TAKAGI

女子国際ロードレース100km ファン・ティン・イン(台湾ナショナルチーム)が優勝女子国際ロードレース100km ファン・ティン・イン(台湾ナショナルチーム)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI
1位 ファン・ティン・イン(台湾ナショナルチーム)3:14
2位 エレン・ファンダイク(ブールス・ドルマンス)+0:00
3位 金子広美(イナーメ信濃山形)+0:01
4位 牧瀬翼(あさひMUUR ZERO)+0:30
5位 大堀博美(横須賀UNOレーシング)+0:31
6位 樫木祥子(ニールプライド南信スバル) +3:18
7位 中原恭恵   +7:04
8位 中井彩子(鹿屋体育大学)+7:04
9位 フェッダリン・ソムラト(タイナショナルチーム)+7:05
10位 ゼン・ケ・ジン(アクションサイクリングチーム)+7:07



ジュニア国際ロードレース140km
モーリス・トゥーン(ベイビーダンプ)が優勝

ジュニア国際ロードレース140km モーリス・トゥーン(ベイビーダンプ)が優勝ジュニア国際ロードレース140km モーリス・トゥーン(ベイビーダンプ)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI
30人が出場したジュニア国際のコースは道の駅「ゆいゆい国頭」をスタートし、与那を2回上る140km。210kmから本部半島を除いたものに等しいハードなもの。UCIレースではないが、UCIで定めるジュニアの上限距離で行われる国内最長レースだ。

1回目の与那の上りで日野竜嘉(ボンシャンス)や昨年覇者のヤン・ビン・ユー(アクションサイクリングチーム)らが先行する場面もあるが、集団は一つのままで2回目の与那上りへと入る。ここでも日野が先行し、頂上で集団は日野をとらえるが、この動きで集団は絞られる。

およそ100km地点でモーリス・トゥーン(ベイビーダンプ)がアタック。その後の慶佐次で重満丈(北中城高校)がペースを上げるとタナカン・チャイヤソンバット(タイナショナルチーム)が反応して2人で追い、115km地点でトゥーンを吸収した。この時点で後ろとは4分差が開き、3人の勝負となり羽地ダム上りへと入った。

「スプリント勝負に持ち込みたくて独走力のあるトゥーン選手の様子を見ながら」(重満)上りをこなし、国道58号に出てから重満がアタック。これでチャイヤソンバットが離れ、2人のスプリント勝負へ。これをトゥーンが制し優勝した。

普久川ダム登りで飛び出した日野竜嘉(ボンシャンス)普久川ダム登りで飛び出した日野竜嘉(ボンシャンス) photo:Makoto.AYANOジュニア国際 1回目の与那の上り、6番手のメイン集団ジュニア国際 1回目の与那の上り、6番手のメイン集団 photo:Hideaki TAKAGI

僅差で2位の重満丈(北中城高校)

「自分の得意なスプリント勝負に持ち込んで負けたのがとても悔しいです。たくさんの応援も聞こえていたので、ただただ悔しいです」と重満。1週間前の全日本選手権ロードは4位となり、このおきなわの2位が全国大会では最上位。進学希望の高校3年生だ。

ジュニア国際ロードレース140km モーリス・トゥーン(ベイビーダンプ)と重満丈(北中城高校)が競り合うジュニア国際ロードレース140km モーリス・トゥーン(ベイビーダンプ)と重満丈(北中城高校)が競り合う photo:Hideaki TAKAGIジュニア国際表彰ジュニア国際表彰 photo:Hideaki TAKAGI

1位 モーリス・トゥーン(ベイビーダンプ)3:58:41
2位 重満丈(北中城高校) +0:00
3位 タナカン・チャイヤソンバット(タイナショナルチーム) +0:42
4位 ツォウ・メング・チェ(台湾ナショナルチーム) +8:53
5位 平安山良希(北中城高校)+8:54
6位 成海大聖(普天間高校)+9:01
7位 日野泰静(松山城南高校)+10:18
8位 清水貴梨(甲府工業高校)+10:19
9位 内田宇海(初芝立命館高校)+12:34
10位 日野凌羽(松山城南高校)+12:36

photo&text:Hideaki TAKAGI
photo:Makoto AYANO