激坂マス・デラ・コスタの頂上フィニッシュで繰り広げられた、逃げグループとメイン集団それぞれの山岳バトル。マティアス・フランクを始めとしたステージ上位入賞者や、総合勢のコメントを紹介します。



初のグランツアーでのステージ優勝を挙げたマティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)

マティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)がレオポルド・ケーニッヒ(チェコ、チームスカイ)を抑えてフィニッシュへマティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)がレオポルド・ケーニッヒ(チェコ、チームスカイ)を抑えてフィニッシュへ photo:TDWsport/Kei Tsuji
ゴール後に座り込むマティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)ゴール後に座り込むマティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング) photo:CorVosフィニッシュラインを切った時、夢が叶ったんだと自分自身に言い聞かせた。今シーズンはツール・ド・スイスとツール・ド・フランスという2大目標をどちらもリタイヤで終えてしまい、このブエルタにはステージ優勝を挙げるという目標を持って参加したんだ。実現できて素晴らしい気分だし、信じられないような気分でもある。

今日はこんなにも想い通りにレースを展開できると思っていなかった。カタルドと一緒に残り30kmでアタックしたが、正直言ってゴールの瞬間まで逃げ切れるとは思っていなかったんだ。いつものように全力で攻め続けたけれど、追走に捕まるかもしれないと恐怖心も抱いていたよ。勝てると分かった瞬間は、夢みたいな気分だった。

追い上げ届かなかったレオポルド・ケーニッヒ(チェコ、チームスカイ)

6秒届かなかったレオポルド・ケーニッヒ(チェコ、チームスカイ)6秒届かなかったレオポルド・ケーニッヒ(チェコ、チームスカイ) photo:CorVosステージ優勝を狙って走っていたが、大失敗をしてしまった。すごく残念だ。フランクとの差はずっと10〜20秒程度と射程圏内に捉えていたので、最終盤にアタックして追い抜くつもりだったが、フランクの走りが強すぎた。ステージ優勝が目前だったのに。

ステージ前に話していたことだけれど、最後の登りは急勾配なので序盤に突っ込みすぎて失速する選手がいるだろうと思っていた。でもフランクはタレなかった!このブエルタではツイてない。第15ステージではチームとして残念な結果になったが、今日その分を取り返そうと思っていたんだ。チームは僕へのサポートをしてくれたが、それに感謝したい。

フランクと逃げたダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ)

できることは全てやった。自分のパフォーマンスには満足しているよ。マティアスと一緒にアタックした時、数人が追走から合流して、もう少しタイム差を稼げると思っていた。

追走グループを積極的に率いたロバート・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)

ステージ3位のロバート・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)ステージ3位のロバート・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ) photo:CorVosもし2か月前に「ブエルタでステージ優勝することになる」と聞いていれば嬉しく思っただろうが、ステージ1勝と2位を1回ずつ得た今の心境はとても残念だ。他選手の強さや調子が理解できていただけに、余計にそう思う。逃げグループ内では(ブラム)タンキンクが僕のために精いっぱい仕事をしてくれて、作戦通りに事は進んでいた。

逃げたカタルドとフランクはコントロール下に置いているはずだったが、フランクが強すぎた。ケーニッヒと追ったけれど、ペースが上がったり下がったりで結局逃してしまった。あの状況ではコンスタントに踏んでいくのが良かったんだ。土曜日は再びチャンスがある。過去にステージ3位になったことがあるので全力で狙っていく。

マイヨロホを堅守したナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)

マイヨロホを守ったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)マイヨロホを守ったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:CorVosコンタドールに続いてフィニッシュするナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)コンタドールに続いてフィニッシュするナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:TDWsport/Kei Tsujiこのフィニッシュ地点は数ヶ月前に下見していて、今日と同じぐらいハードになると予想できていた。距離が短く、途中は斜度があるのに対して、最後はパワーのあるライダーが有利なプロフィールで、僕自身は苦手とするところ。レース前は少しナーバスになっていた。

でも、レース中は幸い調子が良く、ライバルたちのペースに合わせることができた。36x29Tというギア比を選択したのも良かった。もしギアの歯数は1丁でも違っていたら、もっと厳しかったことだろう。

エサロ(第3ステージ)、カンペローナ(第8ステージ)、そしてマス・デラ・コスタは、それぞれ異なるペーシングが要求される。ライバルたちに差をつけることができたものの、僕にとってはカンペローナが最もハードだった。

今日はアタックするよりも、ポジションをキープすることに注力したし、今後もそうしていきたい。僕自身のフィーリングは上々で、今日もチームは素晴らしい働きをしてくれた。このまま何事もなく、ジャージをキープできるように祈るばかりだ。

マス・デラ・コスタでアタックしたアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)

積極的に攻めたアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)積極的に攻めたアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)
母国で多くのファンから声援を受けながらレースすることができ、毎日をエンジョイしている。バットデイで誰かが戦線離脱していないことについては良い状況だと感じているが、たぶん、有力候補は大きなタイム差を空けられないように互いを警戒しすぎている。

今日最後の登りを見ただけで、僕の調子を測ろうとするのは時期尚早だ。ステージを通して調子は良かった。総合争いが動かなかったからか、レースは少々平穏だった。我々は既に明日のステージと、TTにフォーカスしている。TTは全体的にフラットでテクニカルなことから、ハードな展開になりそうだ。

タイム差ゼロでまとめたクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)

タイム差無しでフィニッシュしたクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)タイム差無しでフィニッシュしたクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
休息日明けで調子を崩している選手がいないか観察していたが、総合勢は誰もが問題ないように見えた。今日は特別な作戦を使う必要はなく、タイムトライアルを見据えてタイム差を維持することが大切と捉えていた。脚自体は問題ないが、今はずっと明後日のタイムトライアルについて考えている。いつものブエルタらしく急勾配の登りが含まれていて、ペース配分に注意を払う必要がある。

BMCレーシングのヴァレリオ・ピーヴァ監督

チーム総合成績首位キープを狙うBMCレーシングがメイン集団を牽引するチーム総合成績首位キープを狙うBMCレーシングがメイン集団を牽引する photo:TDWsport/Kei Tsuji今日はブエルタの平常通り非常にタフなスタートだったし、休息日明けのステージはいつも何が起こるか分からないものだ。最終的に(シルヴァン)ディリエルが乗った大きな逃げグループが先行したが、チーム総合成績首位の我々にとっての大問題は2位のモビスターが2名を送り込んでいたことだ。

逆転されるわけにはいかないので、(ジャンピエール)ドラッカーに指示してタイム差の広がりを食い止めるようにした。それが中盤に彼と(ダルウィン)アタプマが牽引した理由だった。登りでは急勾配を得意としないサンチェスが遅れ、総合順位を一つ落としてしまったが、ブエルタにはまだ厳しいいステージが2つ残っている。

我々にとってのバッドニュースはティージェイ(ヴァンガーデレン)がリタイアしてしまったこと。スタートの時点で体調が悪く、脱落してしまった。開幕時から調子が上がっていなかったが、コンディションが回復するのに期待していたのだが。疲労と休息日が原因だと思うが、これが自転車競技であり、これから最良の結果を出せるように集中していきたい。

text:So.Isobe,Yuya.Yamamoto
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