2級山岳エル・ビベロを乗り切った集団によるスプリント。勝利したイェンス・ケウケレールや勝負に絡んだマキシム・ブエ、そしてハードな一日を振り返る総合上位陣のコメントを紹介します。



ステージ初優勝を飾ったイェンス・ケウケレール(ベルギー、オリカ・バイクエクスチェンジ)

シャンパンを振り回すイェンス・ケウケレール(ベルギー、オリカ・バイクエクスチェンジ)シャンパンを振り回すイェンス・ケウケレール(ベルギー、オリカ・バイクエクスチェンジ) photo:TDWsport/Kei Tsuji
揺りかごポーズを見せるイェンス・ケウケレール(ベルギー、オリカ・バイクエクスチェンジ)揺りかごポーズを見せるイェンス・ケウケレール(ベルギー、オリカ・バイクエクスチェンジ) photo:TDWsport/Kei Tsuji選手全員が苦しんでいる日に自分だけ調子が良かったわけじゃない。でもなんとか最後の2級山岳を乗り越えて勝負に残ることができた。今日はもし最後まで集団に残っているならスプリントで勝利を狙えと監督に言われていたんだ。こんなチャンスを与えてくれたチームに感謝している。総合争いに絡んでいるチームが同時にスプリントを狙うのは簡単なことじゃない。

早めにスプリントを仕掛けたのは、前を塞がれてスプリントできないような状況だけは避けたかったから。4週間前に父親になったばかりで、今日はガールフレンドと息子が会場に来ていた。だからこの勝利は特別。フィニッシュラインを切ってまず最初に彼らのことが頭に浮かんだよ。

チャベスらと喜ぶイェンス・ケウケレール(ベルギー、オリカ・バイクエクスチェンジ)チャベスらと喜ぶイェンス・ケウケレール(ベルギー、オリカ・バイクエクスチェンジ) photo:TDWsport/Kei Tsuji
ステージ2位に入ったマキシム・ブエ(フランス、エティックス・クイックステップ)

登りで絞られた42名の集団で繰り広げられたスプリント勝負登りで絞られた42名の集団で繰り広げられたスプリント勝負 photo:TDWsport/Kei Tsuji勝利を逃した苦い気持ちと勝負に絡むことができたという満足の気持ちが同居している。今日はアスタナがハードな展開を作り出したけど、集団スプリントのチャンスがあると思っていたので集団に食らいついた。

残り250mから全力でスプリント。でも今日はイェンスに軍配が上がった。昨年の第12ステージではフィニッシュ手前の落車に巻き込まれてチャンスを失い、その1年後の第12ステージで2位。もちろん表彰台の頂点に登りたかったけど、UCIワールドツアーレースのトップスリーは悪くない結果。調子が良いのでこの先のステージでも良い成績を狙えると思う。

ステージ3位に終わったファビオ・フェリーネ(イタリア、トレック・セガフレード)

何も言葉が出てこない。苦しみ続けた末に、あと少しのところで勝利を逃してしまった。前を塞がれてスプリント開始が遅れてしまったんだ。残り50mでスプリントに勢いがついて2人を抜いたものの、先頭には届かなかった。

残り300m時点では最高の位置につけていた。でも、ステージ優勝者(ケウケレール)の番手につけていたチャベスを右側から抜こうと思った瞬間に前を塞がれた。感触は良かったのに動けなかった。スプリントとはこういうものだ。

今日トレック・セガフレードはメンバー全員でレース序盤のアタックに挑戦。チームの信頼を得て勝負に挑んでいる。彼らの働きになんとか応えるためにもフィニッシュラインまで踏み抜いた。今日は(セガフレード社のCEO)ザネッティ氏が会場に来ていたので、チームとして勝利が必要だった。

総合リードを守ったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)

2級山岳エル・ビベロを登るナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)2級山岳エル・ビベロを登るナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:TDWsport/Kei Tsuji(チームスカイの逃げは)全く問題ではなかった。イマノル(エルビーティ)とローリー(スザーランド)という強力な2人が集団先頭でコントロールしてくれていたし、山岳区間ではステージ優勝を狙う他チームの協力もあった。だから落ち着いて状況をコントロールできていた。

とはいえ平穏な1日とは言えなかった。ブエルタに平穏な日なんて存在しない。総合で少しタイムを失った選手は積極的に逃げに乗ろうとするし、チームが警戒心を解かずに追走するシーンが多い。今日は逃げ切りを許しても問題なかったけど、他のチームがそれを許さなかった。

2級山岳でアタックを仕掛けたアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)

下りに向けての位置取りも兼ねてアタックしたけど、もちろんライバルたちはすぐに反応してきた。今日も序盤から高速で、平坦区間が存在しないようなコースだった。決して簡単なステージではなかったし、蓄積した疲労がこれからのステージの戦いに響くかもしれない。どの選手も疲れた状態で今週末の戦いや最終週に挑むことになるだろう。

逃げに乗って敢闘賞を獲得したダビ・ロペスガルシア(スペイン、チームスカイ)

逃げグループを牽引するピーター・ケノー(イギリス、チームスカイ)逃げグループを牽引するピーター・ケノー(イギリス、チームスカイ) photo:TDWsport/Kei Tsuji今日はモビスターに仕事をさせるためにピーター(ケノー)と一緒に逃げに乗った。結果的に7名での逃げになったけど、もう少し多くの選手が合流していれば逃げ切りも可能だったと思う。

逃げ吸収のために集団牽引したガティス・スムクリス(ラトビア、アスタナ)

ステージ優勝を狙うため、2級山岳でセレクションをかけたかった。でも登りの勾配が緩く、距離も短かったのでそこまで集団にダメージを与えることができなかった。コンディションが良く、勝利に向かって走っているルイスレオン・サンチェスをサポートするためにチーム全体が一丸となって走った。

text&photo:Kei Tsuji in Bilbao, Spain