2日間にわたってのべ1万人を動員する日本最大規模のロードレースイベント、シマノ鈴鹿ロードレース。まさしく夏のロードレースのお祭りを締めくくるのは、国内外から集まったトップ選手たちが競い合う国際レース。5.8kmコースを10周する58.1kmのハイスピードな争いだ。



国内外から集った強者たちが競い合ったシマノ鈴鹿国際ロード国内外から集った強者たちが競い合ったシマノ鈴鹿国際ロード photo:Gakuto.Fujiwara


ホストチームのシマノレーシングが入場ホストチームのシマノレーシングが入場 photo:Naoki.Yasuokaリオ帰りの内間康平もファンサービス精神旺盛だリオ帰りの内間康平もファンサービス精神旺盛だ photo:Naoki.Yasuoka今年も鈴鹿サーキットに強豪チームが集まった。ホストチームであるシマノレーシングをはじめ、国内からは宇都宮ブリッツェンやチーム右京、キナンサイクリングチーム、愛三工業レーシング、ブリヂストン・アンカー、マトリックス・パワータグといったプロチームが集結。

一方、海外招待チームとしてUCIワールドチームのジャイアント・アルペシン、BMCレーシングの育成組織であるBMCディヴェロップメント、そしてオランダ籍のSEGチームが参加した。

UCIレースやJプロツアーではないものの、コースや出走チームはそれらに勝るとも劣らない華やかな国際レース。普段鉾を交えることのない、海外チームと戦うことができる貴重な機会であり、そして多くの観客が集まることもあって、国内チームにとっても重要な位置づけのレースとなっている。

プロチームの面々に加え、脚に覚えのあるホビーライダー達も加わった150名たちが、一斉にスタート。長く続くこととなるアタック合戦の口火を切ったのは阿曽光佑(キナンサイクリングチーム)。スタートと同時にアタックした阿曽を追って、序盤から集団はハイペースを刻む。



スタートを待つ選手たちスタートを待つ選手たち photo:Gakuto.Fujiwaraファーストアタックは阿曽光佑(キナンサイクリング)ファーストアタックは阿曽光佑(キナンサイクリング) photo:Naoki.Yasuoka

2周目 中根英登(愛三工業レーシング)のアタックに集団から10名程度が追い付き、逃げ集団を形成2周目 中根英登(愛三工業レーシング)のアタックに集団から10名程度が追い付き、逃げ集団を形成 photo:Naoki.Yasuoka昨年の全日本TT王者である中村龍太郎(イナーメ信濃山形)が逃げを試みる昨年の全日本TT王者である中村龍太郎(イナーメ信濃山形)が逃げを試みる photo:Naoki.Yasuoka

全日本チャンピオンジャージに身を包む初山翔(ブリヂストンアンカー)全日本チャンピオンジャージに身を包む初山翔(ブリヂストンアンカー) photo:Naoki.Yasuoka6周目 内間康平(ブリヂストンアンカー)が単独でアタック6周目 内間康平(ブリヂストンアンカー)が単独でアタック photo:Naoki.Yasuoka




多くの声援を受けながらシケインへと向かって登る内間康平(ブリヂストンアンカー)多くの声援を受けながらシケインへと向かって登る内間康平(ブリヂストンアンカー) photo:Naoki.Yasuoka7周目で抜け出したマーティン・トゥスフェルト(ジャイアント・アルペシン) 後方では中島がブリッジを仕掛ける7周目で抜け出したマーティン・トゥスフェルト(ジャイアント・アルペシン) 後方では中島がブリッジを仕掛ける photo:Naoki.Yasuoka例年の展開であれば、序盤に逃げが形成されることで一旦ペースが落ち着くが今年はなかなか逃げが決まらない。2周目には中根英登(愛三工業レーシング)のアタックをきっかけに、各チームからバランスよく選手が入った10名程度の逃げが形成されるも、ほどなく吸収。

その後も全日本チャンピオンジャージに身を包んだ初山翔(ブリヂストンアンカー)を含む逃げや、リオ五輪帰りの内間康平(ブリヂストンアンカー)の単独逃げなど、積極的なアタックがいくつも生まれるがどれも決定打とはならず。

逃げが容認されたのはレースも終盤に差し掛かった7周目。単独で集団から抜け出したマーティン・トゥスフェルト(ジャイアント・アルペシン)へ中島康晴(愛三工業レーシング)が合流。30秒前後のタイムギャップを稼ぐことに成功した。

強めに引くのはトゥスフェルト。「タイムトライアルが得意で、長く逃げ続けるような展開が好きだね」と語り、前日のチームTTでも助っ人に入ったシマノレーシングの選手を千切るほどのTT能力を見せつけたトゥスフェルトのペースに中島は耐えきれず、最終周回で脱落。トゥスフェルトが独走へと持ち込んだ。



TTスタイルで逃げる中島康晴(愛三工業レーシング)TTスタイルで逃げる中島康晴(愛三工業レーシング) photo:Naoki.Yasuoka集団に30秒の差をつけることに成功した2人集団に30秒の差をつけることに成功した2人 photo:Naoki.Yasuoka

最終周 マーティン・トゥスフェルト(ジャイアント・アルペシン)が粘り強く逃げるも背後に集団が迫る最終周 マーティン・トゥスフェルト(ジャイアント・アルペシン)が粘り強く逃げるも背後に集団が迫る photo:Naoki.Yasuoka


混戦となったスプリント 中央から畑中勇介とジョン・アベラストゥリが加速していく混戦となったスプリント 中央から畑中勇介とジョン・アベラストゥリが加速していく photo:Gakuto.Fujiwara残り50m、畑中の後ろからジョン・アベラストゥリが迫る残り50m、畑中の後ろからジョン・アベラストゥリが迫る photo:Gakuto.Fujiwara一方、後方のメイン集団では大久保陣でのスプリント勝負を目論む宇都宮ブリッツェンが中心となりペースアップ。粘り強く逃げるトゥスフェルトだが、メイン集団ラスト1kmの下り区間でメイン集団に吸収された。

上り基調のホームストレートで伸びたのはディフェンディングチャンピオンの畑中勇介とジョン・アベラストゥリのチーム右京コンビ。真っ先にスプリントを開始した大久保の番手に付けていた畑中、そしてその後ろから更なる加速力を見せたアベラストゥリがほぼ同時にフィニッシュラインを割った。

ガッツポーズを決めてフィニッシュした畑中だが、先着したのはアベラストゥリ。「雨が降るかもと思っていたのに、結果的にはとても暑い1日でモチベーションを切らさないように気をつけていた。スプリントはラスト1kmがとても長く感じたし、畑中がとてもいい動きをしていたから勝負はかなりハードになった」とレースを振り返る。

一方、連覇を逃した畑中だが、「チーム右京としてはエースを決めずに動いていたので、僕でも勝てると思っていましたが、チームメイトが強すぎました。」とチームメイトの勝利を祝福した。



第33回シマノ鈴鹿ロードレース国際ロード 表彰式第33回シマノ鈴鹿ロードレース国際ロード 表彰式 photo:Naoki.Yasuoka


第33回シマノ鈴鹿ロードレース 国際ロード結果
1位 ジョン・アベラストゥリ(チーム右京)     1:15'24"10
2位 畑中勇介(チーム右京)
3位 バス・ティエテーマ(BMCデベロップメント)
4位 吉田隼人(マトリックスパワータグ)
5位 大久保陣(宇都宮ブリッツェン)
6位 小森亮平(愛三工業レーシング)
7位 鈴木龍(ブリヂストンアンカー)
8位 サム・ドッブス(BMCデベロップメント)
9位 野中竜馬(キナンサイクリング)
10位 水谷翔(シマノレーシング)

text:Naoki.Yasuoka
photo:Masanao.Tomita,Naoki.Yasuoka,Gakuto.fujiwara

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