世界でも有数の規模を誇る台湾の総合自転車メーカー、メリダ。オールラウンドロード「SCULTURA(スクルトゥーラ)」シリーズより、シマノ105仕様のカーボン製エントリーモデル「SCULTURA 3000」をインプレッションした。



メリダ SCULTURA 3000メリダ SCULTURA 3000 photo:Makoto.AYANO/cyclowired.jp
世界第2位の規模を誇るバイクメーカーが台湾のメリダである。有力ブランドのOEM生産を多く手掛ける中で培ってきた生産力と技術力を武器に、1988年より自社ブランドの展開を開始。1998年からは開発拠点をドイツに置き、現在ではランプレ・メリダやマルチバン・メリダといったプロのレースチームをサポート。自転車の本場であるヨーロッパでバイクブランドとしての地位を高めると同時に、今日も低価格で良質なバイクを世のサイクリストに送り出している。

現在3タイプがラインアップされるメリダのロードバイク。エアロロード「REACTO(リアクト)」、エンデュランスロード「RIDE(ライド)」とあって、軽量オールラウンドモデルに位置付けられているのが「SCULTURA(スクルトゥーラ)」である。

内部にリブを設けることで剛性を高めたダウンチューブ内部にリブを設けることで剛性を高めたダウンチューブ 下側1.5インチのテーパードヘッドチューブ下側1.5インチのテーパードヘッドチューブ フロントフォークも、ブレード内にリブを設け剛性を高めたフロントフォークも、ブレード内にリブを設け剛性を高めた


「彫刻」を意味するイタリア語を車名に冠し、初代が2006年にデビューして以来世界各国のレースで勝利に貢献してきたスクルトゥーラ。特に2012年に登場した3代目のハイエンドモデルは、メインバイクの1つとしてランプレ・メリダに選ばれ、国内では宇都宮ブリッツェンの活躍を支えてきた。

その3代目の設計をそのままに、カーボンのグレードやパーツアッセンブルを変更することで低価格を図ったのが、今回インプレッションを行う「SCULTURA 3000」である。2016モデルにおいては、カーボン製SCULTURAの末弟グレードというに位置ながら、随所にメリダが誇るテクノロジーが取り入れられている。

薄いトップチューブの上にリブを配し、シートチューブとの接合面を広げることで、ねじれ剛性を高めた薄いトップチューブの上にリブを配し、シートチューブとの接合面を広げることで、ねじれ剛性を高めた 快適性に貢献するベンド設計の薄いトップチューブ快適性に貢献するベンド設計の薄いトップチューブ

チェーンステーは後ろ半分を小径化し、ペダリング剛性と快適性を両立チェーンステーは後ろ半分を小径化し、ペダリング剛性と快適性を両立 音鳴り等のリスクが少ないスレッド式のBBを採用する音鳴り等のリスクが少ないスレッド式のBBを採用する


フレーム素材には、エポキシ樹脂にナノテクノロジー素材を取り入れた「NANO MATRIX CARBON」を採用。バルーンの変わりにシリコンを用いて内圧を掛け成型することで、フレーム内部の皺(しわ)を抑える「AWSテクノロジー」とあわせて、優れた強度を実現している。

剛性面については、ダウンチューブ内にリブを設ける「ダブルチャンバーテクノロジー」によって強化。トップチューブとシートステーの接続部にはリブを設けることで接合面積を拡大し、ねじれ剛性を向上。柔軟性を阻害せず、パワーロスになる変形のみを防止した。

メインコンポーネントにシマノ105を採用。サードパーティー製品を用いてコストダウンを図ったメインコンポーネントにシマノ105を採用。サードパーティー製品を用いてコストダウンを図った ハンドルまわりはメリダオリジナルハンドルまわりはメリダオリジナル


振動吸収性を主に担うのは、緩やかにベンドした扁平形状のトップチューブと、リア三角、そして同価格帯では珍しいカーボンシートポストだ。シートステーは横剛性を確保するために三角形断面としながらも小径とし、シートチューブとの接続部付近をベンドさせることで、縦方向の柔軟性のみを向上。チェーンステーはリアエンド側半分を小径化し、駆動剛性との両立を図っている。

緩やかにベンドしたフロントフォークは、ブレード内にリブを設けることで強化。樽のような形状の「X-TAPER」デザインや、1.5インチベアリング採用のテーパード設計により不要な変形を抑えたヘッドチューブとあわせて、ステアリングの安定感を高めている。

シートステーの根本は双胴式とされているシートステーの根本は双胴式とされている 快適性を担うリア三角快適性を担うリア三角 同価格帯では珍しいカーボンシートポストを装備同価格帯では珍しいカーボンシートポストを装備


SCULTURA 3000は、シマノ105をメインコンポーネントとした完成車で展開される。サードパーティーブランドやメリダオリジナルのパーツを多用することでコストダウンを図っている。サイズは44、47、50、52、54、56の6種類が揃う。カラーは、ランプレ・メリダのチームカラーを纏うマットブラックと、メリダのコーポレートカラーをメインとするマットブラック/グリーンの2種類を用意する。早速インプレッションに移ろう。



ー インプレッション

「ビギナーにおすすめしたい万能な1台 ロードバイク本来の鋭い反応性を楽しめる」
生駒元保(bicycle store RIDEWORKS)


よく進むと同時に振動吸収性も高く、とてもバランスの良いバイクですね。パーツアッセンブルについては、もう少しこうしたら良いのでは? という点はありますが、フレームには高いポテンシャルがあります。初めての1台に選べば、サイクルライフより楽しくスタートさせることができるでしょう。

「ビギナーにおすすめしたい万能な1台 ロードバイク本来の鋭い反応性を楽しめる」生駒元保(bicycle store RIDEWORKS)「ビギナーにおすすめしたい万能な1台 ロードバイク本来の鋭い反応性を楽しめる」生駒元保(bicycle store RIDEWORKS) トルクを掛けてぐっと踏み込んだ瞬間に、ビュッと伸びる感触は、SCULTURA 3000の最大の持ち味であり、ロードバイクの醍醐味そのもの。このバイクを手にしたビギナーの方は「ロードバイクってこんなに楽しい乗り物なんだ」と感じることでしょう。

緩斜面では伸びが良く、失速感も低いように感じます。また、ハイケイデンスでクルクルと回しながら走っても軽快で、ペダリングに対する許容度は高いですね。

ペダリング剛性は高過ぎることも低すぎることもなく、このバイクがメインユーザーとするビギナー層にもピッタリですね。休日のライドにも良いですし、レースをする方であれば、ホイールを上級モデルに交換して、軽さと剛性を補ってあげると良いでしょう。

パーツアッセンブル次第で、ロングライドからヒルクライム、ロードレースまで、どういった用途でもこなせてしまいます。

ヘッド周りの剛性も適度。ハンドリングはニュートラルでビギナーにも扱いやすく、体重をかけてあげればクッと曲がってくれます。ダンシングも癖がなく、素直にバイクを振ることができました。

総じて、完成車価格で19万円はお買い得ですね。フレームのできが良いため、まずホイールとブレーキを交換して、ポテンシャルを更に引き出してあげたいところ。ホイールについては、アルミスポークのハイエンド系アルミホイールを履かせてあげると、より反応性が上がり、フレームのキビキビ感が活きてくるでしょう。マキシス製の標準タイヤは意外にも好印象で、振動吸収性の高さがフレームにマッチしていました。

「エントリーグレードの枠に留まらないフレーム性能 学生レーサーやレース初心者に最適」
上萩泰司(カミハギサイクル)


105装備のカーボンバイクで20万円弱というプライスタグを考えると、「走りはそれなりかな?」と予想していましたが、よい意味で裏切られました。とてもよくできたバイクです。メリダは新城幸也選手が使用していることからブランドバリューが高まっているいるように感じますし、今回のテストバイクもランプレのチームカラーとあって、乗る前からモチベーションがあがりますよね。

エントリーグレードのカーボンバイクによくあるヤワな印象が感じられず、むしろパリっとしています。踏み応えがあって、シャキシャキと走ってくれました。恐らく、ダウンチューブ内側のリブ補強と、やや高めに設定されたBBハイトが効いているのでしょう。腰高感はあったものの、一方では登りでの反応性の良さに繋がっており、ダンシングを織り交ぜながらガンガンと踏み倒せます。

「エントリーグレードの枠に留まらないフレーム性能。学生レーサーやレース初心者に最適」上萩泰司(カミハギサイクル)「エントリーグレードの枠に留まらないフレーム性能。学生レーサーやレース初心者に最適」上萩泰司(カミハギサイクル)
ハンドリングはキレの良さと素直さを兼ね備えており、コントロールしやすかったですね。狙ったラインをスパっと思い通りにトレースしてくれます。ただ、路面の振動はビシビシと伝わってきます。路面の情報が正確に把握できる一方でエンデュランスロードとは全く異なる乗り味なので、ロングライド派の方なら他の選択肢を検討したほうが良いでしょう。

細部を見てみると、ケーブル類を全て内装とし、シートステーを三角形断面とし、薄手のカーボンを使用するなど、凝ってますね。多くのブランドからOEM生産を請け負っているからこそ、自社のバイクの造作には割安感を出せるのでしょう。フレーム単体で20万円と言われても、何ら不思議ではありません。エントリーグレードの枠に留まらないフレーム性能を持っており、実業団クラスのレースにも対応できますね。高校や大学の学生レーサーや、これからレースを始めてみたいという方におすすめです。

完成車価格が抑えられている分だけ、ブレーキ、タイヤ、ホイール、クランクはアップグレードしてあげたいところです。優先順位が高いのはブレーキとタイヤですね。標準では23Cのタイヤがセットされていますが、25Cに変更してあげることで快適性を高めてあげると良いでしょう。アップグレードにも十分に対応可能で、コンポーネントをULTEGRAクラスのものに換装したり、ホイールをマヴィックKSYRIUMやカンパニョーロSHAMALなどに交換することで、よりフレーム性能を引き出してあげたいですね。

メリダ SCULTURA 3000メリダ SCULTURA 3000 photo:Makoto.AYANO/cyclowired.jp
メリダ SCULTURA 3000(完成車)
フレーム素材:Scultura CF2
フォーク:Road carbon comp
メインコンポーネント:シマノ 105
ギア比:F50x34T、R11-28T
ハンドル・ステム・シートポスト:メリダ
ホイール:メリダ comp 24
タイヤ:マキシス Dolemites(700x23C)
サイズ(cm):44、47、50、52、54、56
カラー:マットブラック(チーム)、マットブラック/グリーン(ホワイト)
重 量:8.4kg
価 格:189,900円(税抜)



インプレッションライダーのプロフィール

上萩泰司(カミハギサイクル )上萩泰司(カミハギサイクル ) 上萩泰司(カミハギサイクル )

愛知県下に3店舗を展開するカミハギサイクルの代表取締役を務める。20年以上のショップ歴を持つベテラン店長だ。ロードバイクのみならず、MTBやシクロクロスなど様々な自転車の楽しみ方をエンジョイしている。中でも最近はトライアスロンに没頭しているとのことで、フランクフルトのアイアンマンレースで完走するなど、その走力は折り紙つき。ショップのテーマは"RIDE with Us"。お客さんと共に自転車を楽しむことができるお店づくりがモットー。

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カミハギサイクル

生駒元保(bicycle store RIDEWORKS)生駒元保(bicycle store RIDEWORKS) 生駒元保(bicycle store RIDEWORKS)

兵庫県芦屋市に店舗を構えるbicycle store RIDEWORKSの店長を務める。スポーツバイク歴は30年。ショップスタッフ歴は16年ほどで、2010年3月より現職に。普段はお客さんと共にトライアスロンやロングライドなどの各イベントに参加し、自転車の楽しさを伝えている。ショップとしてのモットーは「機材にもサイクリストにも愛情を持って接すること」。愛車はスペシャライズドVenge ViasやシーポCATANA、シエロのMTB、ズッロなど、マスプロ系からハンドメイドまで多岐に渡る。

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bicycle store RIDEWORKS
ウェア協力:マヴィックアソス
シューズ&ヘルメット協力:ジロ

text:CW編集部
photo:Makoto.AYANO
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