ツアー・オブ・ジャパン6日目は最大の山場となる富士山ステージが行われ、チーム右京のオスカル・プジョルが優勝。個人総合順位でも首位に立った。

2位にマルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)、3位は昨年優勝のミルサマ・ボルセイェディゴラコール(タブリーズ・シャハルダリ)。日本勢では、西薗良太(ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム)の17位が最上位だった。



TOJキッズもこれからスタートTOJキッズもこれからスタート photo:Hideaki.Takagi4賞ジャージが並ぶ4賞ジャージが並ぶ photo:Hideaki.Takagi


日本の最高峰・富士山を舞台とする第6ステージ。UCIレースとしては異例の11.4kmという短距離のレースだが、平均斜度10%、最大斜度22%、標高差1200mを登り続けるヒルクライムステージだ。毎年このステージで総合優勝の行方が見えてくる事から、総合優勝を狙うチームや選手は絶えずこの日のステージを意識してきている。

天気は時折雲が流れてくるがおおむね晴れ。標高差同様にスタート地点とゴール地点で気温差があり、ゴールでは涼しいと言うよりも寒いと言った方が良いほどだ。

セレモニーランは登り区間セレモニーランは登り区間 photo:Hideaki.Takagi
2km地点は集団で進む2km地点は集団で進む photo:Hideaki.Takagi7km地点、ガデル・ミズバニ(タブリーズシャハルダリ)がハイペースで引く7km地点、ガデル・ミズバニ(タブリーズシャハルダリ)がハイペースで引く photo:Hideaki.Takagi


レースは午前10時にスタート。序盤の勾配が緩い区間は、山岳賞ジャージのラヒーム・エマミ擁するピシュガマン・サイクリングチームが集団をコントロール。集団は大きなままコース中盤にさしかかる。

残り5kmを過ぎたところで、エマミと昨年の富士山ステージ勝者ミルサマ・ポルセイェディゴラコール(タブリーズ・シャハルダリ)、ガーデル・ミズバニ・イラナグ(タブリーズ・シャハルダリ)、オスカル・プジョル(チーム右京)らが先行。これを追ってマルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)、ダニエル・ホワイトハウス(トレンガヌ・サイクリングチーム)などが追いついてきて先頭集団が形成される。

7km地点でオスカル・プジョル(チーム右京)が抜け出す7km地点でオスカル・プジョル(チーム右京)が抜け出す photo:Hideaki.Takagi独走を開始したオスカル・プジョル(チーム右京)独走を開始したオスカル・プジョル(チーム右京) photo:Hideaki.Takagi

9km地点の追走はマルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)が引く9km地点の追走はマルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)が引く photo:Hideaki.Takagi38分48秒 歴代2位のタイムで優勝のオスカル・プジョル(チーム右京)38分48秒 歴代2位のタイムで優勝のオスカル・プジョル(チーム右京) photo:Hideaki.Takagi


イラン勢がペースを作って登っていくが、残り4㎞付近で牽制が入ったようにペースダウン。その隙にプジョルが単独で先行する。ポルセイエディゴラコール、マルコス・ガルシアが追うが、差は30秒、40秒と開いていく。

ゴール前の右カーブを曲がって単独で姿を現したプジョルは、何度も右こぶしを振り上げながらゴール。歴代2位の記録となる38分48秒でふじあざみラインを駆け上がった。

単独でゴール前に現れたオスカル・プジョル(チーム右京)単独でゴール前に現れたオスカル・プジョル(チーム右京) photo:Satoru.Kato
プジョルはレース後の記者会見で、「富士山ステージはイランの選手が強いと聞いていたので、彼等の動きを注視していた。自分が飛び出す予定ではなかったが、残り4㎞のあたりでスピードが緩んだと感じたところで前に出た。今まではアシストをすることが多かったけれど、今日は自分のレースをしたかったし、日本で一番高い山の富士山で勝ちたかった」と、語った。

約1分遅れで2位に入ったマルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)約1分遅れで2位に入ったマルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム) photo:Satoru.Kato西園良太(ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム)が日本人最上位の17位西園良太(ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム)が日本人最上位の17位 photo:Satoru.Kato

マルコス・ガルシアと共に追走したミルサマ・ポルセイエディゴラコール(タブリーズ・シャハルダリ)が3位マルコス・ガルシアと共に追走したミルサマ・ポルセイエディゴラコール(タブリーズ・シャハルダリ)が3位 photo:Satoru.Kato増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が西薗に続いて18位増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が西薗に続いて18位 photo:Satoru.Kato


プジョルと共に会見に臨んだチーム右京の片山監督は「今朝、オスカルが総合上位のゼッケン番号を教えてほしいと言ってきた。ビックプレゼントをすると言っていたけれど、本気だとは思わなかった。感謝している。」と、まさかの優勝に戸惑いつつも喜びを語った。

明日の伊豆ステージで総合優勝争いは実質的に決まる。2位以下との差が1分以上あるとは言え、チーム右京はすでに2人がレースを去っているので4人で戦わねばならない。イラン勢だけでなく、最後の逆転を狙うチームや選手が攻撃を仕掛けてくる事が予想され、最後まで目が離せない。

片山右京監督と共に記者会見に臨むオスカル・プジョル(チーム右京)片山右京監督と共に記者会見に臨むオスカル・プジョル(チーム右京) photo:Satoru.Kato4位に入ったダニエル・ホワイトハウス(トレンガヌ・サイクリングチーム)が新人賞4位に入ったダニエル・ホワイトハウス(トレンガヌ・サイクリングチーム)が新人賞 photo:Satoru.Kato




第6ステージ 富士山(11.4㎞)結果
1位 オスカル・プジョル(チーム右京) 38分48秒 17.6km/h
2位 マルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム) +56秒
3位 ミルサマ・ポルセイエディゴラコール(タブリーズ・シャハルダリ) +1分10秒
4位 ダニエル・ホワイトハウス(トレンガヌ・サイクリングチーム) +1分14秒
5位 ラヒーム・エマミ(ピシュガマン・サイクリングチーム) +1分18秒
6位 ガーデル・ミズバニ・イラナグ(タブリーズ・シャハルダリ) 1分32秒
7位 アントニオ・ニバリ(NIPPOヴィーニファンティーニ) +2分14秒
8位 キャメロン・バイリー(アタッキ・チームグスト) +2分15秒
9位 ベンジャミン・プラデス(チーム右京) +2分19秒
10位 アミール・コラドゥーズバグ(ピシュガマン・サイクリングチーム) +2分19秒

個人総合順位 第6ステージ終了時点
1位 オスカル・プジョル(チーム右京) 13時間37分41秒
2位 マルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム) +1分05秒
3位 ミルサマ・ポルセイエディゴラコール(タブリーズ・シャハルダリ) +1分14秒
4位 ダニエル・ホワイトハウス(トレンガヌ・サイクリングチーム) +1分23秒
5位 ラヒーム・エマミ(ピシュガマン・サイクリングチーム) +1分24秒
6位 ガーデル・ミズバニ・イラナグ(タブリーズ・シャハルダリ) +1分43秒
7位 キャメロン・バイリー(アタッキ・チームグスト) +2分16秒
8位 アントニオ・ニバリ(NIPPOヴィーニファンティーニ) +2分23秒
9位 アミール・コラドゥーズバグ(ピシュガマン・サイクリングチーム) +2分27秒
10位 ベンジャミン・プラデス(チーム右京) +2分28秒

個人総合ポイント順位
1位 アンソニー・ジャコッポ(アヴァンティ・アイソウェイスポーツ) 67p
2位 ピエールパオロ・デネグリ(NIPPOヴィーニファンティーニ) 66p
3位 ダニエルアレクサンデル・ハラミリョ(ユナイテッドヘルスケア) 45p

山岳賞総合順位
1位 ラヒーム・エマミ(ピシュガマン・サイクリングチーム) 20p
2位 オスカル・プジョル(チーム右京) 15p
3位 メヘディ・ソフラビ(タブリーズ・シャハルダリ) 13p

チーム総合順位
1位 タブリーズ・シャハルダリ 40時間58分04秒
2位 ピシュガマン・サイクリングチーム +24秒
3位 キナンサイクリングチーム +4分25秒

photo&text:Satoru.Kato
photo:Hideaki.Takagi