劇的なステージ優勝争いが繰り広げられたジロ・デ・イタリア第18ステージ。見事な勝利を飾ったマッテオ・トレンティンや2位に甘んじたモレーノ・モゼール、逃げた山本元喜らのコメント。



ステージ優勝を収めたマッテオ・トレンティン(イタリア、エティックス・クイックステップ)

ステージ優勝を飾ったマッテオ・トレンティン(イタリア、エティックス・クイックステップ)ステージ優勝を飾ったマッテオ・トレンティン(イタリア、エティックス・クイックステップ) photo:Kei Tsuji
プロセッコを開けるマッテオ・トレンティン(イタリア、エティックス・クイックステップ)プロセッコを開けるマッテオ・トレンティン(イタリア、エティックス・クイックステップ) photo:Kei Tsuji2級山岳パラマルティーノを登るジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)とモレーノ・モゼール(イタリア、キャノンデール)2級山岳パラマルティーノを登るジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)とモレーノ・モゼール(イタリア、キャノンデール) photo:Kei Tsuji2級山岳パラマルティーノに向かうマッテオ・トレンティン(イタリア、エティックス・クイックステップ)ら2級山岳パラマルティーノに向かうマッテオ・トレンティン(イタリア、エティックス・クイックステップ)ら photo:Kei Tsuji今日再びエティックス・クイックステップがどれだけ力を持っているか、どれだけ素晴らしいチームかを証明することができた。自分にとっては自国イタリアでの初のプロレース勝利であり、それをジロで達成できたとは信じられない気分だ。今回の勝利はいつもサポートしてくれる家族と、チームにプレゼントしたい。ここまでのジロでチームはステージ4勝を挙げ、まだフィナーレまでは何日かある。

2級山岳を出来るだけ遅れずにクリア。先頭でブランビッラが逃げていたので、力を使うことなく追走し、登りで飛び出したんだ。残り350mになって勝利のチャンスを感じ始めた。彼ら(ブランビッラとモゼール)に並ぶことなくスプリント。ブランビッラには無線を通して前を引かないように指示した。おそらくモゼールは自分の存在に気づいていなかったと思う。

ステージ2位のモレーノ・モゼール(イタリア、キャノンデール)

完璧に何が起こったのか分からなかった。ブランビッラが意図的に協調していないことには気づいていたが、背後からトレンティンが迫ってきているとは…。気づけば残り100m、マッテオはもう追いつかないところに行ってしまっていた。もの凄く落ち込んでいる。レースとはこういうものだと自分に言い聞かせているけれど、なかなか理解するのに時間が掛かりそうだ。マッテオの走りは素晴らしかった。

この日も逃げたダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)

今日のステージは本当にキツかった。ある程度は予測できていたものの、最後の登りがあれほどキツいとは。逃げグループは一日中ハイペースで走っていたし、200km以上も逃げていたことで誰もが疲れを溜め込んでいた。残り45kmで逃げグループ内でシャッフルを掛けるべくアタック。そこからはもう全開で走っていた。ジロはまだ3日間残っていて、チャンスはまだある。トリノに到達するまでできるだけハードな展開に持ち込みたい。

逃げに乗った山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)

13分02秒遅れでフィニッシュする山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)13分02秒遅れでフィニッシュする山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Kei Tsuji
逃げグループのローテーションに入る山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)逃げグループのローテーションに入る山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Kei Tsuji登りで遅れた山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)が復帰登りで遅れた山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)が復帰 photo:Kei Tsujiかなり貴重な経験を積むことが出来たステージだった。足に疲れを溜めないように気を付けて走ってはいたが、やはりダメージが蓄積していた。まだまだ実力が及ばないという事を見せつけられはしたが、良い物を見ることが出来た。いずれはこういう展開で勝負に絡めるような選手になりたい。自分が将来目指すところを見ることが出来たのでかなり嬉しかった。

判断ミスによるダメージは相当大きかったと思う。興奮状態で冷静に判断できていなかったと思う。十分に痛い思いをしたので次は失敗しない。世界トップのレースで逃げに乗れたというのはかなり大きな収穫だった。これを糧にして更に成長していきたい。

まずは明日明後日の超級山岳ステージを全力で乗り越えたい。今日のダメージで明日完走することが出来なかったとしても仕方がないとは思う。しかしどれだけ苦しくても諦めるつもりは一切ない。石に噛り付く思いで集団に食らいついて行きたい。

そこまで努力した上で完走できなければ、それは力が足りないという事だろうと思う。もっとも、今はかなり調子が良く今日も千切れてからは流して走っていたので、登りの苦しさはいつもと変わらない可能性もある。とにかく超級山岳ステージで絶対にゴールし、無事にトリノに到着することで「第1の目標」を達成したいと思う。というより、やはり完走しなければ意味が無いと思うので何としても完走できるように全力を尽くしたい。昨日のダメージが……とか言っている場合じゃない。一度完走すると決めた以上、完走しなければヘタレである。(本人ブログ「Genki一杯」より抜粋)

マリアローザのステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)

安定した走りでマリアローザを守ったステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)安定した走りでマリアローザを守ったステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ) photo:Kei Tsuji
とても長いステージだった。今日はメンバーのうち2人が平坦路で集団の先頭に立ち、登りでは特に(エンリーコ)バッタリンが強力にペースメイクを行ってくれたんだ。今日は大人数のグループが最後まで逃げ切ったけれど、スタート前からどの選手がアタックするか大体予測できていた。グランツアーの最終盤となればレースも活発になるが、今日はチーム力で集団をコントロールできた。

マリアローザは自信を僕に与えてくれるものであり、着用している全ての瞬間を楽しんでいる。イタリアのファンからもたくさんの応援をもらっているし、このまま僕が優勝しても彼らを落胆させることは無いように思う。明日と明後日はレースが大きく動くだろう。長い登りでの練習を積んできたし、その成果を発揮できるよう頑張りたい。

メイン集団先頭でフィニッシュしたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

13分24秒遅れの集団先頭はアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)13分24秒遅れの集団先頭はアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:Kei Tsujiほとんどリラックスして走ったステージだったが、長距離の上に最後はあんな勾配とは。最終盤は本当にタフだった。明日は総合ライバル勢から1秒たりとも失ってはならない一日であり、絶対に集団前方から離れてはいけないレースになる。間違いなく今年のジロを決めるステージであり、今やマリアローザは遠い存在だが、攻めの姿勢でレースに臨みたい。

今日ロットNLユンボは平坦部分で素晴らしい働きをした上、登りでもクルウィスウィクを上手く守っていた。彼自身の強力な走りは今日もほころばず、僕やニーバリ、シャベスに対して余裕を見せるほどだった。しかしまだジロは終わっておらず、僕の脚は今絶好調だ。

※各コメントはレース/チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイト/Twitter/Facebookより。

text:So.Isobe