4月24日から5月1日までの8日間にわたってツアー・オブ・ターキー(UCI2.HC)が開催され、NIPPOヴィーニファンティーニの窪木・小石・石橋が出場。トルコ最大のステージレースの注目ポイントをチェックしておきましょう。



ツアー・オブ・ターキー2016ツアー・オブ・ターキー2016 image:www.tourofturkey.orgツアー・オブ・ターキー2016 第2ステージツアー・オブ・ターキー2016 第2ステージ image:www.tourofturkey.orgボスポラス橋を通過ボスポラス橋を通過 photo:Kei Tsuji正式名称「プレジデンシャル・サイクリング・ツアー・オブ・ターキー」は2008年からHC(超級)レースとして開催されているトルコ最大のステージレース。そのレースオーガナイズの良さには定評があり、毎年多くのUCIプロチームと強豪選手が出場していることが特徴だ。

将来的にはUCIワールドツアーカレンダー入りを目指しているというツアー・オブ・ターキーだが、今年の1月にイスタンブールの旧市街で、3月には首都アンカラで発生した自爆テロ事件が暗い影を落としていることもまた事実。大会規模に変化は無いものの、今年は開催時期が1日重なった第2回ツアー・オブ・クロアチアにチームが流れたことも合わせ、UCIワールドチームの参加数は昨年から4減の2チーム(ロット・ソウダル、ランプレ・メリダ)、当初参加予定だったユナイテッドヘルスケアも出場を取りやめるなど、トーンダウンは否めない。

さて、日本においてトルコは中東アジアに分類されがちだが、自国がヨーロッパの一部であると自負しているトルコ政府はEU(欧州連合)への加盟を目指しており、ツアー・オブ・ターキーはUCIアジアツアーではなくUCIヨーロッパツアーに組み込まれている。

開催52回目を迎える今年は、地域の回り順が例年と大きく異なっている。昨年まではトルコ南部のリゾート都市アランヤから開幕していたが、今年は「ヨーロッパとアジアを結ぶレース」という大会のテーマを象徴するボアズィチ大橋(ボスポラス海峡)を含む首都イスタンブールでのオープニングステージを終えると、選手たちは空路で内陸のカッパドキアへ。ここから7日間をかけて地中海沿いにセルチュクの街まで旅路を続ける。大会を通した走行距離は1265.7kmだ。

総合を争う上で重要となるのが、山頂フィニッシュが用意されている第2、第6ステージ。特に第6ステージに登場するゴグベリ峠は標高1850mで、ラスト3kmは10%超の勾配が続く。この難関山岳で総合優勝者が選び出されるだろう。



ツアー・オブ・ターキー2016ステージリスト
4月24日(日)第1ステージ イスタンブール〜イスタンブール 129.2km 平坦
4月25日(月)第2ステージ カッパドキア〜カッパドキア 154.1km 山頂フィニッシュ
4月26日(火)第3ステージ アクサレイ〜コンヤ 158.9km 平坦
4月27日(水)第4ステージ セイディシェヒル〜アランヤ 187km クラシカル
4月28日(木)第5ステージ クムルカ〜ケメル 189.3km 平坦
4月29日(金)第6ステージ デニズリ〜エルマリ 116.9km 山頂フィニッシュ
4月30日(土)第7ステージ フェトヒイェ〜マルマリス 128.6km クラシカル
5月1日(日)第8ステージ マルマリス〜セルチュク 201.7km クラシカル



昨年総合優勝したクリスチャン・デュラセック(クロアチア、ランプレ・メリダ)昨年総合優勝したクリスチャン・デュラセック(クロアチア、ランプレ・メリダ) photo:Kei Tsujiダヴィデ・レベッリン(イタリア、CCCスプランディポルコウィチェ)ダヴィデ・レベッリン(イタリア、CCCスプランディポルコウィチェ) photo:Kei Tsujiアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) photo:Makoto Ayanoツアー・オブ・ターキーに用意される特別賞ジャージは4つ。総合リーダーには大会のイメージカラーであるターコイズブルーのリーダージャージが与えられる。山岳賞がレッドジャージで、ポイント賞がグリーンジャージ。ツアー・オブ・ターキー独自の賞として、中間スプリントにあたる「プレミアムゲート(トルコの歴史や自然を象徴する場所に置かれる)」の通過成績トップの選手にはホワイトジャージが与えられる。

前述したランプレ・メリダとロット・ソウダルに加え、プロコンチネンタルチームはカハルーラルを筆頭に、NIPPOヴィーニファンティーニ、CCCスプランディポルコウィチェ、デルコ・マルセイユ・プロヴァンスKTM、ファンビック・ソウルサイクル、サウスイースト・ベネズエラ、チームロス、ヴェルヴァ・アクティブジェットという8チームに、地元のトルクケセルスポーツらを加えた計16チームが8日間の日程に挑む。

注目は大会のイメージキャラクターにもなっているアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)だろう。過去ステージ10勝を挙げているグライペルには、グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド)、アダム・ハンセン(オーストラリア)という鉄壁の布陣が付く。

昨年グライペルと争ったマーク・カヴェンディッシュは不参加だが、サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)やマルコ・ザノッティ(イタリア、パークホテル・ファルケンブルク)らがスプリント戦線に加わるはずだ。

総合勢では、昨年の優勝者であるクリスチャン・デュラセック(クロアチア、ランプレ・メリダ)が連覇を目指して出場する。昨年のクイーンステージを制した44歳ダヴィデ・レベッリン(イタリア、CCCスプランディポルコウィチェ)も健在で、同じくベテランのシルヴェスタ・シュミット(ポーランド)がアシストを務める。ダヴィ・アローヨ(スペイン、カハルーラル)や、昨年チーム右京に所属していたパブロ・ウルタスン(スペイン、ファンビック・ソウルサイクル)らの走りにも注目だ。

また、NIPPOヴィーニファンティーニからは窪木一茂・小石祐馬・石橋学という3名の日本人選手が出場する。チームはダニエーレ・コッリ(イタリア)&エドワード・グロース(ルーマニア)のスプリンター2名を中心に戦うことになるだろう。

text:So.Isobe