2016/04/07(木) - 14:29
断続的なアップダウンコースで逃げを捕まえた瞬間にアタック。得意のロングスパートを成功させたスティーブ・クミングス(イギリス、ディメンションデータ)がブエルタ・アル・パイスバスコ第3ステージで集団を振り切り、タイム差なしの逃げ切り勝利を飾った。
バスク州の州都ビトリア=ガステイスから大西洋に向かって北上し、サンセバスティアンの街をかすめてレサカにフィニッシュする193kmで行われたバスク一周第3ステージ。フランス国境近くの山岳地帯を走る終盤は起伏に富んでおり、残り40kmを切ってから立て続けに2つの2級山岳と3級山岳をクリアする。最後の3級山岳ピエダ(登坂距離2.1km/平均勾配8.8%)はフィニッシュの9km手前だ。
ステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング)やビエル・カドリ(フランス、AG2Rラモンディアール)を含む5名の逃げが序盤から先行したが、チームスカイ率いるメイン集団は気を緩めることなく追走。終盤のアップダウン区間に差し掛かったところでタイム差は急激に縮まっていく。
先頭でデニフルとサム・オーメン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)の2人が逃げ続ける中、メイン集団からはミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)がカウンターアタック。この動きにダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス)、ローレンス・デプルス(ベルギー、エティックス・クイックステップ)、ダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ)が反応した。
こうして新たに形成された逃げグループは先頭デニフルとオーメンを吸収。さらに遅れてアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)とピエール・ロラン(フランス、キャノンデール)も合流する。チームスカイを先頭に猛追するメイン集団から約20秒のリードで先頭グループは最後の3級山岳ピエダを駆け上がった。
先頭では登坂力に秀でたナバーロが独走に持ち込み、3級山岳ピエダを単独で通過してフィニッシュへと急ぐ。一方のメイン集団では、総合争いを見据えたティボー・ピノ(フランス、FDJ)やサムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)がアタックを仕掛けたが決まらない。
やがて先頭ナバーロには再びロランやイェーツ、カタルド、デプルスが追いついて残り2km。しかしそのすぐ後ろにはメイン集団が迫っていた。
残り1kmアーチを前に逃げが吸収されると、間髪入れずにクミングスがアタックする。約50名に絞られたメイン集団を積極的にリードするチームは現れず、牽制の隙をついてクミングスが一気に距離を広げる。トラックレースで磨いたスピードを遺憾なく発揮し、高速巡航に入ったクミングスが集団を振り切った。
スプリントで集団先頭をとったサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)とタイム差なしの独走勝利。2015年のツール・ド・フランス第14ステージや今年のティレーノ〜アドリアティコ第4ステージで成功させた独走劇をクミングスはバスクで再現して見せた。
「最高の気分だ。まだ4月なのに、すでに逃げ切りで2勝目。このパイスバスコではステージ優勝したいと常々言っていた。懐疑的な声もあったけど、何とか目標を達成することができてよかったよ。キュベカ基金のために再び表彰台に立つことができてよかったし、チームにとって最高の1日になった」とクミングスは語る。今季UCIワールドチームに仲間入りしたディメンションデータはシーズン9勝目。
リーダージャージはミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)が変わらずキープ。翌日の第4ステージも細かな起伏が詰め込まれたアップダウンコースであり、ポイント賞ジャージを獲得したゲランスが得意とするような小集団スプリントに持ち込まれる可能性が高い。
選手コメントは各チーム公式サイトより。
ブエルタ・アル・パイスバスコ2016第3ステージ結果
1位 スティーブ・クミングス(イギリス、ディメンションデータ) 5h01’57”
2位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
3位 ファビオ・フェリーネ(イタリア、トレック・セガフレード)
4位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)
5位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)
6位 サイモン・クラーク(オーストラリア、キャノンデール)
7位 トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ソウダル)
8位 ペーリョ・ビルバオ(スペイン、カハルーラル)
9位 セルゲイ・チェルネツキ(ロシア、カチューシャ)
10位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)
個人総合成績
1位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) 13h39’35”
2位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ) +01”
3位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ) +05”
4位 サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング) +09”
5位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ) +11”
6位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ) +13”
7位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ) +15”
8位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
9位 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)
10位 セバスティアン・ライヘンバッハ(スイス、FDJ)
ポイント賞
1位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
山岳賞
1位 ステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング)
スプリント賞
1位 ステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング)
チーム総合成績
1位 チームスカイ
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
バスク州の州都ビトリア=ガステイスから大西洋に向かって北上し、サンセバスティアンの街をかすめてレサカにフィニッシュする193kmで行われたバスク一周第3ステージ。フランス国境近くの山岳地帯を走る終盤は起伏に富んでおり、残り40kmを切ってから立て続けに2つの2級山岳と3級山岳をクリアする。最後の3級山岳ピエダ(登坂距離2.1km/平均勾配8.8%)はフィニッシュの9km手前だ。
ステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング)やビエル・カドリ(フランス、AG2Rラモンディアール)を含む5名の逃げが序盤から先行したが、チームスカイ率いるメイン集団は気を緩めることなく追走。終盤のアップダウン区間に差し掛かったところでタイム差は急激に縮まっていく。
先頭でデニフルとサム・オーメン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)の2人が逃げ続ける中、メイン集団からはミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)がカウンターアタック。この動きにダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス)、ローレンス・デプルス(ベルギー、エティックス・クイックステップ)、ダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ)が反応した。
こうして新たに形成された逃げグループは先頭デニフルとオーメンを吸収。さらに遅れてアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)とピエール・ロラン(フランス、キャノンデール)も合流する。チームスカイを先頭に猛追するメイン集団から約20秒のリードで先頭グループは最後の3級山岳ピエダを駆け上がった。
先頭では登坂力に秀でたナバーロが独走に持ち込み、3級山岳ピエダを単独で通過してフィニッシュへと急ぐ。一方のメイン集団では、総合争いを見据えたティボー・ピノ(フランス、FDJ)やサムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)がアタックを仕掛けたが決まらない。
やがて先頭ナバーロには再びロランやイェーツ、カタルド、デプルスが追いついて残り2km。しかしそのすぐ後ろにはメイン集団が迫っていた。
残り1kmアーチを前に逃げが吸収されると、間髪入れずにクミングスがアタックする。約50名に絞られたメイン集団を積極的にリードするチームは現れず、牽制の隙をついてクミングスが一気に距離を広げる。トラックレースで磨いたスピードを遺憾なく発揮し、高速巡航に入ったクミングスが集団を振り切った。
スプリントで集団先頭をとったサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)とタイム差なしの独走勝利。2015年のツール・ド・フランス第14ステージや今年のティレーノ〜アドリアティコ第4ステージで成功させた独走劇をクミングスはバスクで再現して見せた。
「最高の気分だ。まだ4月なのに、すでに逃げ切りで2勝目。このパイスバスコではステージ優勝したいと常々言っていた。懐疑的な声もあったけど、何とか目標を達成することができてよかったよ。キュベカ基金のために再び表彰台に立つことができてよかったし、チームにとって最高の1日になった」とクミングスは語る。今季UCIワールドチームに仲間入りしたディメンションデータはシーズン9勝目。
リーダージャージはミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)が変わらずキープ。翌日の第4ステージも細かな起伏が詰め込まれたアップダウンコースであり、ポイント賞ジャージを獲得したゲランスが得意とするような小集団スプリントに持ち込まれる可能性が高い。
選手コメントは各チーム公式サイトより。
ブエルタ・アル・パイスバスコ2016第3ステージ結果
1位 スティーブ・クミングス(イギリス、ディメンションデータ) 5h01’57”
2位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
3位 ファビオ・フェリーネ(イタリア、トレック・セガフレード)
4位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)
5位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)
6位 サイモン・クラーク(オーストラリア、キャノンデール)
7位 トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ソウダル)
8位 ペーリョ・ビルバオ(スペイン、カハルーラル)
9位 セルゲイ・チェルネツキ(ロシア、カチューシャ)
10位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)
個人総合成績
1位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) 13h39’35”
2位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ) +01”
3位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ) +05”
4位 サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング) +09”
5位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ) +11”
6位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ) +13”
7位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ) +15”
8位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
9位 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)
10位 セバスティアン・ライヘンバッハ(スイス、FDJ)
ポイント賞
1位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
山岳賞
1位 ステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング)
スプリント賞
1位 ステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング)
チーム総合成績
1位 チームスカイ
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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