3月29日(火)、神奈川県川崎市にあるミヤタサイクル本社において、MTBクロスカントリーチーム「ミヤタ・メリダバイキングチーム」の2016シーズンチーム記者発表会が行われた。発表会の模様と、選手、監督のコメントをお伝えしよう。



2016年ミヤタ・メリダバイキングチームメンバー。左から竹内遼、小野寺健、佐藤寿美、山路篤マネージャー 2016年ミヤタ・メリダバイキングチームメンバー。左から竹内遼、小野寺健、佐藤寿美、山路篤マネージャー  photo:Satoru KATO
高谷信一郎ミヤタサイクル社長高谷信一郎ミヤタサイクル社長 photo:Satoru KATOミヤタサイクルの高谷信一郎社長(左から2番目)と記念撮影に収まるミヤタ・メリダバイキングチームミヤタサイクルの高谷信一郎社長(左から2番目)と記念撮影に収まるミヤタ・メリダバイキングチーム photo:Satoru KATO


今年初めに発表されている通り( http://www.cyclowired.jp/news/node/187880 )、ミヤタ・メリダバイキングチームは3名体制で2016年シーズンを戦う。メンバーは、昨年から引き続き所属する小野寺健に加え、3月に高校を卒業したばかりの竹内遼、4月から高校3年生になる女子ジュニア日本チャンピオンの佐藤寿美だ。今回の発表会では、新ジャージのお披露目と活動計画の発表が行われた。

発表会の冒頭ではミヤタサイクルの高谷信一郎社長が挨拶し、「将来有望な10代の選手2名を迎え、2020年の東京オリンピックに向けた飛躍を期待したい。オリンピックにただ参加するだけではなく、少なくともトップ10に入れるようになってほしい」。と3選手への期待を語った。

コナカから提供されたオフィシャルスーツを着て発表会に臨むミヤタ・メリダバイキングチームの3選手コナカから提供されたオフィシャルスーツを着て発表会に臨むミヤタ・メリダバイキングチームの3選手 photo:Satoru KATO発表会会場に展示されたガンリタ・ダールのアルカンシェルなどのジャージ発表会会場に展示されたガンリタ・ダールのアルカンシェルなどのジャージ photo:Satoru KATO続いてチームマネージャーの山路篤氏が、今年の活動方針を説明。チーム発足以来達成出来ていない、全日本選手権制覇を最大の目標とし、小野寺はエリートで、竹内はアンダー23で、佐藤は女子ジュニア3連覇とそれぞれのカテゴリーで日本一を目指す。

また、2020年の東京オリンピックを見据え、今年は4月と8月にアメリカで開催されるUCIレースに出場する予定で、ベテラン小野寺にはUCIポイントの獲得と世界トップレベルへのステージアップ、竹内と佐藤には世界大会での経験値を上げる事が期待される。

併せてスポンサー・サプライヤーなどサポート体制も発表された。紳士服店をチェーン展開する「コナカ」がチームオフィシャルスーツを提供。また、GPS位置情報サービス「ここココ」が新たにスポンサーとして加わるなど、自転車関連以外の企業のサポートが増えることはトピックだ。

使用するバイクは、小野寺と佐藤が27.5インチの「BIG.SEVEN TEAM」、竹内が29インチの「BIG.NINE TEAM」を使用。加えて、小野寺はフルサスペンションモデルの「NINETY-SIX.7 TEAM」を、コースによって使い分ける。

今年使用するミヤタ・メリダのBIG.SEVEN TEAMと今年使用するミヤタ・メリダのBIG.SEVEN TEAMと photo:Satoru KATO
小野寺 健 「全日本優勝もオリンピック出場も不可能ではない」

チーム3年目の小野寺健チーム3年目の小野寺健 photo:Satoru KATOこのチームで3年目になりますが、今年は若いギラギラした選手が入ってきた事で僕自身も刺激を受けています。彼・彼女なりのやり方があると思うので細かい事はあまり言いませんが、年長者として自分がこれまで感じてきた事を伝え、必要な時には手助けする事が出来ればと思ってます。

昨年から本格的にメンタルトレーニングに取り組んでいて、その結果が昨シーズンの最後の2戦での優勝につながりました。それまでは自分に伸びしろがあるとは考えられませんでしたし、かつてロードレースをやっていた時のような「乗れている感じ」をMTBで感じる事がありませんでした。今なら全日本で勝つ事も、世界のトップライダーとしてオリンピックに出場する事も不可能ではないと考えています。

今年はトップライダーになるためのステップとして、しっかりやっていきたいと思っています。まずは全日本選手権、そしてポイントランキング首位を目標としていきます。

竹内 遼 「アジア選手権優勝が大きな自信になった」

新加入の竹内遼は3月に高校を卒業したばかり新加入の竹内遼は3月に高校を卒業したばかり photo:Satoru KATO以前からチームマネージャーの山路さんに声をかけてもらっていたのですが、(小野寺)健さんの走りから学ぶ事も多いので、今回チーム加入を決めました。まだ合流したばかりですけれど、ずっと前から一緒にやっていたような感覚がするほど馴染んでいて、雰囲気はとても良いです。

昨年のアジア選手権で優勝できた事は大きな自信になっています。それ以来、体をうまく使って乗れているという感覚があります。昨年まで使っていた27.5インチのバイクから今年は29インチに変わり、最初は乗りこなせるか不安がありましたが、今はしっくりきています。それも体をうまく使えるようになったからだと感じています。

今年の目標は全日本選手権で勝つ事です。U23は強い先輩方も多いですが狙っていきます。その先にオリンピックを見据えていきたいと考えています。

佐藤 寿美「ジュニア最後の年、全日本3連覇が目標」

4月から高校3年生の佐藤寿美4月から高校3年生の佐藤寿美 photo:Satoru KATO今まで大人数のチームにいて、少人数のチームになったので最初は戸惑う事も色々ありました。でも(小野寺)健さんと(竹内)遼君が色々教えてくれるので楽しいチームです。

まずは全日本選手権でジュニア3連覇を目指します。来年からはエリートになるので、全日本での表彰台を狙えるようになり、東京オリンピックでトップ争いが出来るようになりたいです。目標としているのは末政実緒選手です。下りの速さに憧れています。

普段は北海道で高校に通い、大会の時だけチームに合流するようになります。5月は毎週レースですから大変ですね。高校は卒業出来る程度に頑張ります(笑)。

山路 篤チームマネージャー「この3人で2020年まで」

山路篤チームマネージャー山路篤チームマネージャー photo:Satoru KATO最初は小野寺と竹内の2人体制の予定でしたが、昨年の世界選手権とアジア選手権に出場していた佐藤と話をして、彼女の環境をなんとかしてあげたいと考えました。北海道在住なのでレースの移動だけでもハンデになってしまうし、彼女の年齢を考えれば4年後の東京オリンピックだけでなく、その次となる8年後も選手としてのキャリアがある事を考え、今から育てていこうと私の独断と覚悟の上で加入してもらいました。

竹内には3年前からラブコールをずっと送り続けていましたが、断られていました。しかし、彼自身このままではライバルに勝てないのではないかと考え、自分の環境を整えたいという事で、彼の方からチーム入りを希望してきました。とても嬉しい事ですし、彼の熱意に応えられるようにしたいと思っています。

小野寺には、今年の契約をする際に『東京オリンピックに出てくれ』とだけ言いました。それまでは契約を解除するつもりはないので、2020年までは何があっても走り続けろ、と。他の2人にも同じ事を言ってますので、この3人で2020年まで続けるつもりです。

発表会後に開催されたプレゼンテーションパーティーで談笑する小野寺と竹内発表会後に開催されたプレゼンテーションパーティーで談笑する小野寺と竹内 photo:Satoru KATO

ファンとの記念撮影に収まる小野寺、竹内、佐藤の3選手ファンとの記念撮影に収まる小野寺、竹内、佐藤の3選手 photo:Satoru KATOちなみに、この発表会当日はかなりタイトなスケジュールだったようで、午前中はスポンサー・サプライヤーへのご挨拶まわり、午後から発表会、夜にはファンクラブ会員や一般向けのパーティーに出席した後、深夜にアメリカ遠征に出発していった。アメリカには4月半ばまで滞在し、2つのUCIレースに出場する予定だ。

昨年後半から復調してきた小野寺の走りと、山路マネージャーが「覚悟」をもって迎えたという竹内、佐藤の若い2人の成長は、今シーズンのMTBクロスカントリーでの注目のポイントになるだろう。



ミヤタ・メリダバイキングチーム2016年体制

選手
小野寺健(30歳 167cm 北海道出身)
竹内 遼(18歳 168cm 長野県出身 新加入)
佐藤寿美(17歳 158cm 北海道出身 新加入)

スタッフ
山路 篤(チームマネージャー)
川原かおり(マッサー)
岩崎竜太(チーム専属カメラマン)


text&photo:Satoru KATO