逃げるマイヤー、ヴァコッチ、リンデマン、モラールを残り100mでキャッチした集団によるスプリント勝負。カタルーニャ一周第6ステージでダヴィデ・チモライ(イタリア、ランプレ・メリダ)がチームに今シーズン初勝利をもたらした。



カタルーニャ州の山岳地帯を行くカタルーニャ州の山岳地帯を行く photo:Tim de Waele


ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ2016第6ステージボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ2016第6ステージ image:Volta Ciclista a Catalunyaバルセロナ市内のサンホアンデスピから内陸部に向かい、地中海に面したビラノバ・イラ・ヘルトルにフィニッシュする197.2kmで行われたボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ第6ステージ。途中2つのカテゴリー山岳を越えるものの、ステージ争いにも総合争いにも影響しない難易度。翌日の最終日はアップダウンコースが用意されているため、この日がスプリンターにとって事実上最後のチャンスだ。

逃げグループを形成する11名逃げグループを形成する11名 photo:Tim de Waeleスタート後すぐ、10km地点に設定された最初のスプリントポイントはこの日も総合上位陣による争いに。チームメイトの総合順位を守りたいフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)がスプリントに加わったが、総合4位ダニエル・マーティン(アイルランド、エティックス・クイックステップ)の先頭通過を阻止できず。2日連続でボーナスタイム3秒を獲得したマーティンは総合3位リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)との総合タイム差を1秒にまで詰めた。

モビスターやオリカ・グリーンエッジがコントロールするメイン集団モビスターやオリカ・グリーンエッジがコントロールするメイン集団 photo:Tim de Waele前日に引き続きアタック合戦は熾烈を極め、65km地点で11名が先行を開始したところでようやくレースは落ち着きを見せる。ライダー・ヘシェダル(カナダ、トレック・セガフレード)、ローレンス・テンダム(オランダ、ジャイアント・アルペシン)、エスデバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)を含む強力な逃げを、ランプレ・メリダ率いるメイン集団が追撃する展開に。

逃げ吸収とともに始まったスプリント勝負逃げ吸収とともに始まったスプリント勝負 photo:Tim de Waele最大5分あったタイム差が2分にまで縮まったところで、フィニッシュまで45kmを残して逃げグループは分裂する。キャメロン・マイヤー(オーストラリア、ディメンションデータ)らのアタックによって逃げグループはペトル・ヴァコッチ(チェコ、エティックス・クイックステップ)、ベルトヤン・リンデマン(オランダ、ロットNLユンボ)、ルディ・モラール(フランス、コフィディス)、そしてマイヤーの4名に絞られる。スプリンターチームに対して徹底抗戦の構えを見せた。

スプリント勝利を飾ったダヴィデ・チモライ(イタリア、ランプレ・メリダ)スプリント勝利を飾ったダヴィデ・チモライ(イタリア、ランプレ・メリダ) photo:Tim de Waele集団スプリントに持ち込みたいランプレ・メリダやFDJ、オリカ・グリーンエッジ、ティンコフ、ジャイアント・アルペシン、ロット・ソウダル、そして総合リーダーを安全に走らせたいモビスターが集団先頭でハイペースを刻む。残り10kmでタイム差は15秒まで縮まったものの、先頭マイヤー、ヴァコッチ、リンデマン、モラールは諦めない。

ステージ優勝を飾ったダヴィデ・チモライ(イタリア、ランプレ・メリダ)ステージ優勝を飾ったダヴィデ・チモライ(イタリア、ランプレ・メリダ) photo:Tim de Waele8秒リードで残り2kmアーチを過ぎ、高速巡航するメイン集団を振り切ったまま残り1km。マイヤーが決死のアタックを仕掛けて独走し、出遅れたヴァコッチ、リンデマン、モラールがメイン集団を引き連れる形で追いかける。フィニッシュラインに向けてもがき続けたマイヤーだったが、残り100mでメイン集団に飲み込まれた。

逃げ吸収と同時にタイミング良くスプリントを開始したチモライが一気に先頭に立つ。逃げていたメンバーがトップ10に絡む混戦スプリントでチモライが勝利した。

「チームメイトの働きに最高の形で報いることができてとても嬉しい。逃げを捕まえることは決して簡単なことではなかった。今日は調子が良かったので、スプリント勝利を狙いたいと監督に告げ、そしてそれを達成したんだ。パリ〜ニースでは結果を残せなかったけど、そこで得たフィードバックを今日に生かせたと思う。2年連続でチームにシーズン1勝目をもたらすことができて本当に嬉しいよ」と、チモライ。2015年のトロフェオ・ライグエリアとパリ〜ニースでのステージ優勝に続く大きな勝利を手にした。

ランプレ・メリダにとってはこれが念願のシーズン初勝利。エティックス・クイックステップがシーズン19勝、チームスカイが12勝、アスタナが12勝を飾っている一方で、UCIワールドチームの中でまだ今シーズン勝利を手にしていないのは2月の交通事故で予定が狂ったジャイアント・アルペシンだけだ。

惜しくも逃げ切りを果たせなかったマイヤーは「今日はチームとして逃げを狙う作戦だった。このチャンスのために山岳ステージを乗り切ったんだ。あと僅かなところで勝利を逃したことは残念だけど、これもロードレース。チームは今大会すでに4ステージで逃げているし、これからも勝利を狙って走りたい」とコメントしている。

選手コメントは各チーム公式サイトより。



ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ2016第6ステージ結果
1位 ダヴィデ・チモライ(イタリア、ランプレ・メリダ)            4h35’13”
2位 ニキアス・アルント(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)
3位 トッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・ソウダル)
4位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
5位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)
6位 ペトル・ヴァコッチ(チェコ、エティックス・クイックステップ)
7位 アレクセイ・ツァテヴィッチ(ロシア、カチューシャ)
8位 ヨナス・ファンへネヒテン(ベルギー、IAMサイクリング)
9位 ベルトヤン・リンデマン(オランダ、ロットNLユンボ)
10位 ロレンソ・マンジン(フランス、FDJ)

個人総合成績
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)               23h07’41”
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)              +07”
3位 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)             +17”
4位 ダニエル・マーティン(アイルランド、エティックス・クイックステップ)    +18”
5位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)         +27”
6位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)              +31”
7位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)               +42”
8位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)                 +46” 
9位 ヒュー・カーシー(イギリス、カハルーラル)                +1’01”
10位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール)            +1’16”

山岳賞
1位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)

スプリント賞
1位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)

ヤングライダー賞
1位 ヒュー・カーシー(イギリス、カハルーラル)

チーム総合成績
1位 BMCレーシング

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele

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