3月13日(日)、明治神宮外苑大学クリテリウムが東京都心の明治神宮外苑で開催された。今年で10回目となる通称「神宮クリテリウム」をレポートする。



神宮クリテリウム名物銀杏並木の折り返し神宮クリテリウム名物銀杏並木の折り返し photo:Hideaki.Takagi
レースをご観覧なさる三笠宮家の彬子(あきこ)さま。左はJCF会長の橋本聖子参議院議員レースをご観覧なさる三笠宮家の彬子(あきこ)さま。左はJCF会長の橋本聖子参議院議員 photo:Hideaki.Takagi男子グループ1 スタート男子グループ1 スタート photo:Satoru.Kato


2007年、日本学生自転車競技連盟の創立70周年記念として開催された神宮クリテリウム。開催継続の声に応えて2008年以降も毎年開催され続け、今では東京都心で行われるクリテリウムとして定着した大会となった。また、全日本学生ロードレース・カップシリーズ全14戦の最終戦でもある。

男子グループ1 序盤からアタックが繰り返される男子グループ1 序盤からアタックが繰り返される photo:Hideaki.Takagi男子グループ1 リーダージャージの小林和希(明治大学)はメイン集団内でレースを進める男子グループ1 リーダージャージの小林和希(明治大学)はメイン集団内でレースを進める photo:Satoru.Kato会場は「学生スポーツのメッカ」とも言われる明治神宮外苑に設定された1周1.5km。コース沿いには、神宮球場や秩父宮ラグビー場などがある他、2020年東京オリンピックのメイン会場となる国立競技場が立替中。折り返しのある銀杏並木の通りは、テレビ番組などの撮影によく使われる場所だ。

男子グループ1 メイン集団から前を追う岡本隼(日本大学)男子グループ1 メイン集団から前を追う岡本隼(日本大学) photo:Satoru.Kato男子グループ1 最終周回に入る4人の逃げ集団男子グループ1 最終周回に入る4人の逃げ集団 photo:Satoru.Kato大会の数日前には春の陽気になった東京都心だが、この日は朝から曇り。幸いにも雨が落ちてくる事は無かったものの、女子や男子グループ1のレースが始まる午後になっても気温が上がらない冬の1日となった。

男子グループ1 日大の岡本隼が優勝

男子の最上位カテゴリーであるクラス1は、20周30km。オランダのアムステルダム大学の3人を含む61名が出走した。前年優勝の橋本英也(鹿屋体育大学)は、トラック世界選手権での負傷により残念ながら欠場となった。

スタート直後からアタックがかかるものの、後続を引き離すほどの逃げが発生しないまま前半は経過。残り10周を切って後半に入ったところで、森口寛己(日本大学)、渡邉雄太(駒澤大学)、ショーズ・ハントフラーフ(アムステルダム大学)の3人が抜け出し、後続に約10秒差をつけて先行する。残り6周、メイン集団から岡本隼(日本大学)がブリッジをかけて合流し、先頭集団は4人に。岡本を見送ってしまったメイン集団はやや牽制するような状態となり、追走の足並みが乱れる。結局先行する4人をメイン集団は捕まえることができず、逃げ切りを許す事になる。

逃げ切りが確定した4人はスプリント勝負へ。最後は岡本とハントフラーフの勝負となったが、岡本が距離を残して勝利を確信し、左腕を上げてゴール。3位に森口が入り、日本大学が大学対抗でも優勝を決めた。

「レース中盤に一度飛び出してみたけれど決まらなくて、その後森口が飛び出した逃げが決まった。その逃げを活性化させようと思い、追いつかれてもいいから全て出し切るつもりで逃げに合流した。最後は確実に勝てる残り150mから100m付近で仕掛けた」。とレースを振り返る岡本。4月から3年生になる今年の目標は「全日本選手権ロードを目指します」と語った。

一方、シリーズリーダーの小林和希(明治大学)はメイン集団でゴール。シリーズ総合優勝を確定させた。

男子グループ1 数mを残して勝利を確信した岡本隼(日本大学)が左腕を挙げる男子グループ1 数mを残して勝利を確信した岡本隼(日本大学)が左腕を挙げる photo:Satoru.Kato
男子グループ1 表彰男子グループ1 表彰 photo:Hideaki.Takagi男子グループ1 大学対抗で優勝した日本大学男子グループ1 大学対抗で優勝した日本大学 photo:Satoru.Kato


「8月の白馬(第6戦白馬クリテリウムラウンド)の2日目からリーダージャージを着て、その後4連勝したあたりからシリーズ総合優勝を意識し始めた。11月の行田のレース(第9戦浮城のまち行田ラウンド)で勝てたあたりでいけると思った」。と、1年を振り返る。4月から4年になる小林は、「シリーズ連覇は難しいと思うが、今回シリーズ2位に入った後輩の野本のアシストを出来るようにしたい」と語った。

女子 高校生の岡本二菜が僅差のスプリント勝負を制する

女子 伊藤真生(日本体育大学)が先行して6周目に入る女子 伊藤真生(日本体育大学)が先行して6周目に入る photo:Satoru.Kato女子 日本体育大学勢が集団先頭に集まって最終周回へ女子 日本体育大学勢が集団先頭に集まって最終周回へ photo:Satoru.Kato

女子 岡本二菜(スミタエイダイパールイズミラバネロ)が僅差のスプリント勝負を制する女子 岡本二菜(スミタエイダイパールイズミラバネロ)が僅差のスプリント勝負を制する photo:Satoru.Kato
女子は、8周12kmのレースに18名が出走。レース中盤から日本体育大学勢が集団の前方に位置取ってペースを上げる。レース終盤までに先頭集団に残ったのは、インカレチャンピオンの樫木祥子(駒澤大学)、学生個人TT優勝の江藤里佳子(鹿屋体育大学)、女子ロードポイントランキング1位の齋藤望(日本体育大学)、高校3年生の岡本二菜(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)ら7名。

最後はスプリント勝負となり、先行する岡本に齋藤が並びかけてゴールライン上でのハンドルの投げ合いへ。直後に岡本が大きく右腕を振り上げた。

「出来るだけ前にいるようにして、最後はスプリントで勝負するつもりだった。ちょっとギリギリだったけど勝てて良かった」。と喜ぶ。岡本は4月から日本体育大学へ進学する事が決まっている。「今よりもレベルアップをしつつ、得意なスプリントを極めていきたい」と抱負を語った。

女子 表彰女子 表彰 photo:Hideaki.Takagi男子グループ1 シリーズ優勝した小林和希(明治大学)男子グループ1 シリーズ優勝した小林和希(明治大学) photo:Hideaki.Takagi

マスターズタイムトライアル表彰マスターズタイムトライアル表彰 photo:Satoru.Katoマスターズクリテリウム表彰マスターズクリテリウム表彰 photo:Satoru.Kato




結果
男子グループ1 

1位 岡本 隼(日本大学) 43分05秒
2位 ショーズ・ハントフラーフ(アムステルダム大学) +0秒
3位 森口寛己(日本大学)
4位 渡邉雄太(駒澤大学)
5位 塩田航平(早稲田大学) +10秒
6位 小林泰正(日本体育大学) 

大学対抗
1位 日本大学
2位 アムステルダム大学
3位 早稲田大学

2015年度全日本学生ロードレースカップ・シリーズ最終ランキング
1位 小林和希(明治大学) 248p
2位 野本 空(明治大学) 163p
3位 孫崎大樹(早稲田大学) 152p

女子(8周12km)
1位 岡本二菜(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ) 19分43秒
2位 齋藤 望(日本体育大学) +0秒
3位 江藤里佳子(鹿屋体育大学)
4位 中村妃智         +2秒
5位 中井彩子(鹿屋体育大学) 
6位 谷 伊央里(日本体育大学)

男子グループ2A(8周12km)
1位 岡部祐太(日本体育大学) 17分35秒
2位 沼口竜馬(日本大学) +0秒
3位 佐々木眞也(日本大学)

男子グループ2B(8周12km)
1位 青野将大(法政大学) 17分21秒
2位 山下祥平(日本体育大学) +2秒
3位 緑川裕也(日本大学)

男子グループ3A(6周9km)
1位 高原渓人(朝日大学) 13分48秒
2位 小川恵司(大阪産業大学) +0秒
3位 冨嶋奎太(同志社大学)

男子グループ3B(6周9km)
1位 川上俊太(東海大学) 13分44秒
2位 吉川 澄(朝日大学) +0秒
3位 後藤 悠(早稲田大学)

マスターズ(8周12km)
1位 小畑 郁(なるしまフレンド) 17分51秒
2位 山崎 潤(Team Logisty Jack) +0秒
3位 梅野優哉(ケイドサイクリングクラブ)

マスターズタイムトライアル(1km)
1位 山本健一 1分31秒77
2位 小林清仁 1分31秒83
3位 伊藤晋一 1分32秒88

text:Satoru.Kato
photo:Satoru.Kato,Hideaki.Takagi

Amazon.co.jp

東京六大学SONGS

コロムビアミュージックエンタテインメント