リーダージャージとヤングライダー賞ジャージを有するエティックス・クイックステップがレースを支配。スティバルの逃げ切り勝利に続いて、フェルナンド・ガビリア(コロンビア、エティックス・クイックステップ)が登りスプリントで勝利した。



小春日和のイタリア半島を走る小春日和のイタリア半島を走る photo:Tim de Waele


ティレーノ〜アドリアティコ2016第3ステージティレーノ〜アドリアティコ2016第3ステージ image:RCSSport急勾配の登りやタイムトライアルが多く設定されているティレーノ〜アドリアティコにおいて第3ステージは数少ないスプリンターのためにデザインされたレイアウト。とは言っても残り500mで勾配7%の登りが登場するなど、単純な平坦コースではない。

逃げグループを形成するジョルジョ・チェッキネル(イタリア、アンドローニジョカトリ)ら逃げグループを形成するジョルジョ・チェッキネル(イタリア、アンドローニジョカトリ)ら photo:Tim de Waeleスプリンターチーム相手に逃げの戦法をとったのはジョルジョ・チェッキネル(イタリア、アンドローニジョカトリ)やダヴィデ・ヴィッレッラ(イタリア、キャノンデール)ら5名。序盤10km地点で形成された逃げグループをエティックス・クイックステップ率いるメイン集団が追いかける展開に。

メイン集団の先頭を固めるエティックス・クイックステップメイン集団の先頭を固めるエティックス・クイックステップ photo:Tim de Waeleエティックス・クイックステップは総合リーダーチームであるだけでなく、ガビリアでの勝利も同時に狙うスプリンターチームでもある。ここにカレイブ・ユアン(オーストラリア)擁するオリカ・グリーンエッジが加勢し、4分で推移したタイム差は教科書通りの縮小を見せた。

逃げグループの中ではヴィッレッラが111km地点のカテゴリー山岳スカンサノを先頭通過して5ポイント獲得。山岳賞トップのスティバルとポイントで並んだものの規定により首位は奪えず。その後は危険回避のためにモビスターやアスタナといった総合系チームも集団先頭に姿を見せたためタイム差の縮小は加速した。

残り15km地点でタイム差は1分を割り込み、フィニッシュまでの距離と比例して逃げグループとの距離も縮まる。チームスカイ、ティンコフ、エティックス・クイックステップ、オリカ・グリーンエッジの集団牽引によって逃げグループは残り1.5km地点で吸収。

トラック世界選手権を終えたばかりのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)が脱落する中、フィニッシュまでの登りをスプリンターたちが駆け抜ける。縦に長く伸びた集団の先頭では世界チャンピオンのためにアダム・ブライス(イギリス、ティンコフ)がリードアウトを見せ、残り150mの最終コーナーを抜けた。



楽しそうなリーダージャージのゼネク・スティバル(チェコ)とトニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)楽しそうなリーダージャージのゼネク・スティバル(チェコ)とトニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waele


オリカ・グリーンエッジが集団コントロールに参加オリカ・グリーンエッジが集団コントロールに参加 photo:Tim de Waeleしかしタイミングを待ったペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)は埋もれてしまい、被せるように外側から加速したガビリアが先頭に出る。コンパクトなフォーム&ハイケイデンスでユアンが並んだものの、一人だけブラケットを握って登り緩斜面をもがき続けたガビリアが先着した。

登りスプリントで先頭に立つフェルナンド・ガビリア(コロンビア、エティックス・クイックステップ)登りスプリントで先頭に立つフェルナンド・ガビリア(コロンビア、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waele直前のトラック世界選手権で2年連続オムニアム制覇を果たしたガビリアが今シーズン3勝目。1994年生まれの21歳は2015年からスタジエールとしてエティックス・クイックステップに加わり、ツアー・オブ・ブリテンでステージ優勝を飾るなど早速そのスピードを披露していた。

スプリント勝利を飾ったフェルナンド・ガビリア(コロンビア、エティックス・クイックステップ)スプリント勝利を飾ったフェルナンド・ガビリア(コロンビア、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waeleガビリアは「複雑なスプリントだった。どのチームも疲れた状態で、エティックス・クイックステップが先頭に出るタイミングも早すぎたけど、上手く勝利につなげることが出来た。このUCIワールドツアー初勝利に向けてハードなトレーニングを積んできたし、別に勝利には驚いていない」とUCIワールドツアーレースでの初勝利を振り返る。

ステージ優勝を飾ったフェルナンド・ガビリア(コロンビア、エティックス・クイックステップ)ステージ優勝を飾ったフェルナンド・ガビリア(コロンビア、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waele「トラック世界選手権オムニアムで優勝したけど、普段はロードレースに特化したトレーニングを行っているんだ。だからカヴェンディッシュよりもロードレースに早く順応出来ている。カヴェンディッシュはほとんどの時間をマンチェスターのヴェロドロームでイギリストラックチームと過ごしてきたけど、自分は世界選手権の前に3日間ヴェロドロームで走っただけなんだ」と、次世代コロンビアンスプリンターは語る。

リーダージャージを守ったチームメイトのスティバルも「彼は才能に溢れた選手であり、そのスピードはずば抜けている。トラック世界選手権を走って、すぐにロードレースのスプリントで勝つなんて。スペイン語しか話さないし、物静かで、一見自信がないようだけど、バイクに乗ると豹変する。これから数多くの勝利を掴むだろう。登りのこなし方も心得ているし、ミラノ〜サンレモでも要注意人物になるのは間違いない」と、ガビリアの強さを証言している。

サガンはステージ4位に終わったものの、連日の上位フィニッシュによってポイント賞トップに。「この安定性は調子が良い証拠。終盤に丘があるコースでは必ず勝負に絡むことが出来る。そして平坦ステージでも勝負に絡むことが出来る。今日は最後の最後で前をふさがれてチャンスを失ったけど、このレースここまでの走りには満足している」とサガンは語っている。

選手コメントはチーム公式サイトより。



ティレーノ〜アドリアティコ2016第3ステージ結果
1位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、エティックス・クイックステップ)4h17’28”
2位 カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
3位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)
4位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)
5位 リー・ハワード(オーストラリア、IAMサイクリング)
6位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード)
7位 ジーコ・ワイテンス(ベルギー、ジャイアント・アルペシン)
8位 サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)
9位 モレノ・ホフランド(オランダ、ロットNLユンボ)
10位 ニキアス・アルント(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)

個人総合成績
1位 ゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)    9h51’18”
2位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)            +09”
3位 ダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)
4位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
5位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
6位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ) +11”
7位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)
8位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)               +14”
9位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)                    +18”
10位 セバスティアン・ライヘンバッハ(スイス、FDJ)

ポイント賞
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)

山岳賞
1位 ゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)

ヤングライダー賞
1位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)

チーム総合成績
1位 BMCレーシング

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele