ストラーデ・ビアンケのような未舗装路区間が登場したパリ~ニース第1ステージ。横風と未舗装路によって絞られた50名程の先頭集団によるスプリントを制したのはアルノー・デマール(フランス、FDJ)。北のクラシックも得意とする地元スプリンターがシーズン2勝目を飾った。



雪の中を走るメイン集団雪の中を走るメイン集団 photo:CorVos


雪の中を走るトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)ら4名の先頭集団雪の中を走るトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)ら4名の先頭集団 photo:CorVos吹きさらし区間でペースを上げるエティックス・クイックステップ吹きさらし区間でペースを上げるエティックス・クイックステップ photo:CorVos未舗装の登り区間を行くメイン集団未舗装の登り区間を行くメイン集団 photo:CorVosメイン集団内で未舗装路をこなすアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)メイン集団内で未舗装路をこなすアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ) photo:CorVos未舗装路区間でペースを上げるチームスカイ未舗装路区間でペースを上げるチームスカイ photo:CorVos「太陽へのレース」ことパリ~ニース2日目は今大会初めてのロードステージ。コンデ=シュル=ヴェグルから南下し、ヴァンドームに設けられた周回コースを2周する195kmで争われた。

コースプロファイルとしては平坦基調であるものの、ヴァンドームの周回コースにはストラーデ・ビアンケやトロブロ・レオンの様な砂利道区間が2つ登場する。ともに距離こそ長くはないものの、それぞれの間隔が短く、ゴールに近い方の区間は登りと、クラシックハンターが展開を動かすには充分なプロファイルだ。

スタート前には雪が降り、ライダーたちも冬用ウェアを着こむなど、冷え込んだ中をスタートすると、すぐに4名の逃げが決まる。先頭に入ったのはフランスチャンピオンのスティーブン・トルネ(フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト)、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)、ペリグ・ケムヌール(フランス、ディレクトエネルジー)、ティエリー・ウポン(フランス、デルコ・マルセイユ・プロヴェンス・KTM)。対するメイン集団はマイヨジョーヌのマイケル・マシューズ(オーストラリア)を擁するオリカ・グリーンエッジと、エティックス・クイックステップが牽引役を担った。

先頭4名をコントロール下に置きながら順調に距離を減らしていくメイン集団だったが、残り40kmを前にした吹きさらし区間で、チームスカイとエティックス・クイックステップがペースアップを開始。横風を利用してメイン集団を50名程に絞り込むことに成功する。アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)やルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)らが遅れを喫すこととなった。

ヴァンドームの周回コースへと入ったメイン集団はなおもペースを緩めず、逃げていた4名を次々に飲み込んでいく。そして、雨でゆるくなった未舗装路区間の泥がライダー達を汚していくなか、残り18km地点でメイン集団を飛び出したのはピエールリュック・ペリコン(フランス、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト)。トロブロ・レオンでは2014年に4位、2015年に5位という未舗装路レースの巧者は、後続に対して一時15秒ほどのタイム差を稼いだものの、残り9kmで吸収となる。

未舗装路区間でのパンクなどで人数の減ったメイン集団は、最後の未舗装路区間でペースが上がって一列棒状に。すると今度は、残り2km地点でエドワード・テウンス(ベルギー、トレック・セガフレード)がアタック。オンループ・ヘッドニュースブラッドとクールネ~ブリュッセル~クールネを共に8位で終えているベルギーの新鋭が鋭い飛び出しを魅せるも、残り200mでメイン集団に捉えられてしまう。

どのチームもトレインを組めない混沌とした状況の中で始まったゴール前スプリントで、先頭に立ったのベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)。一旦は後続に自転車1台ほどの差をつけたスウィフトだったが、更にそこから伸びてきたのがアルノー・デマール(フランス、FDJ)。僅差でスウィフトを交わしたデマールが、シーズン2勝目を飾った。



混沌とした集団スプリントを制したのはアルノー・デマール(フランス、FDJ)混沌とした集団スプリントを制したのはアルノー・デマール(フランス、FDJ) photo:CorVos


ステージ優勝を飾ったアルノー・デマール(フランス、FDJ)ステージ優勝を飾ったアルノー・デマール(フランス、FDJ) photo:CorVosマイヨジョーヌをキープしたマイケル・マシューズ(オーストラリア)マイヨジョーヌをキープしたマイケル・マシューズ(オーストラリア) photo:CorVos久々となるビッグレースでの勝利についてデマールは「とても嬉しいよ。本当に待ち望んでいた勝利だ。チームは僕のために良く働いてくれたし、この勝利でチームメイトみんなが笑顔になってくれた。昨シーズンは苦難の1年だったけど、今日の勝利で、まだ大きなレースで勝つことができるという自信を取り戻すことができたね。」と喜びを語った。

そして、戦術については「今日は1日を通してとてもハードで、レース中に吹雪かれたこともあった。最後のスプリントはかなり挑戦的なもので、1人で挑まなくてはならなかったし、ラインが極めて限られていた。いつもと状況が違っていて、後方からスプリントを開始。ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)をマークし、彼を追い抜いた勢いでスウィフトを下すことができたんだ。」という。

また、噂されるブアニとの仲については「ブアニとの仲については色々と言われるけど、フランス人スプリンターとして特別にライバル視しているということは断じてない。あらゆるスプリンターに勝てたことが嬉しんだ。」とコメントした。

マイヨジョーヌは5位でフィニッシュしたマシューズがキープし、総合成績に大きな変動はなし。ポイント賞はマシューズ、山岳賞はヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)がトップに立っている。日本から出場の別府史之(トレック・セガフレード)はテウンスやフランク・シュレック(ルクセンブルク)のアシストに徹し、104位でフィニッシュしている。

コメントは大会公式サイトより。



パリ~ニース2016第1ステージ結果
1位 アルノー・デマール(フランス、FDJ)
2位 ベン・スイフト(イギリス、チームスカイ)
3位 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)
4位 アドリアン・プティ(フランス、ディレクトエネルジー)
5位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
6位 トム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
7位 セプ・ファンマルク(オランダ、ロットNLユンボ)
8位 サイモン・ゲシュケ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)
9位 ヨナス・ファンへネヒテン(ベルギー、IAMサイクリング)
10位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
4h29'53"











個人総合成績
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
2位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
3位 パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、キャノンデール)
4位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)
5位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
6位 リエーベ・ヴェストラ(オランダ、アスタナ
7位 ドリス・デヴェナインス(ベルギー、IAMサイクリング)
8位 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)
9位 アルノー・デマール(フランス、FDJ)
10位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ)
4h37'30"
+03"
+04"
+08"

+09"
+10"
+12"
+14"
+15"


ポイント賞
マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)

山岳賞
ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)

チーム総合成績
モヴィスター

text:Yuya.Yamamoto
photo:CorVos

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