強風が吹いたツアー・オブ・カタール第1ステージは序盤から先行した21名がそのまま逃げ切る展開に。精彩を欠くクリストフの後ろから飛び出したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)が今シーズン初勝利を飾った。



砂漠の中を進む先頭集団砂漠の中を進む先頭集団 photo:Tim de Waele
ツアー・オブ・カタール2016第1ステージツアー・オブ・カタール2016第1ステージ photo:Tour of Qatarレース序盤からハイペースな展開で、エシュロンが形成されるレース序盤からハイペースな展開で、エシュロンが形成される photo:Tim de Waele


カタール初日に挑む新城幸也(ランプレ・メリダ)カタール初日に挑む新城幸也(ランプレ・メリダ) photo:Tim de Waele2月8日、王者エティックス・クイックステップがいない第15回ツアー・オブ・カタールが開幕した。UCIワールドチームが8チーム揃う中東第2戦には新城幸也(ランプレ・メリダ)も出場。1年間に2件目のドーピング違反を出したカチューシャの処分は保留のままで、ツアー・オブ・カタールの出場にはGOサインが出た。

先頭集団を積極的に引くBMCレーシング先頭集団を積極的に引くBMCレーシング photo:Tim de Waeleカタール半島を西から東に横断する第1ステージは(この日に限らず)真っ平ら。強風によってスタート直後からハイスピードな展開となり、エシュロンを伴う1時間におよぶアタック合戦の末に21名が先行を開始した。

先頭集団のローテーションに入るマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)先頭集団のローテーションに入るマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ) photo:Tim de WaeleBMCレーシングが4名(ファンアフェルマート、クインツィアート、シェアー、オス)、カチューシャが4名(クリストフ、クズネツォフ、ビストロム、モルコフ)、ディメンションデータが3名(カヴェンディッシュ、ボアッソン、ファラー)、ボーラ・アルゴン18が3名(ベネット、デンプスター、ゼーリッヒ)を揃えたこの先頭集団は、後続の第2集団に対して1分前後のリードを得た。

スプリント勝利を飾ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)スプリント勝利を飾ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ) photo:Tim de Waele1つ目の中間スプリントではアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)がカヴェンディッシュに先着。しかし2つ目の中間スプリントでクリストフは動かず、カヴェンディッシュが先頭通過する。一方の第2集団では落車が多発し、マテイ・モホリッチ(スロベニア、ランプレ・メリダ)が肘の骨折でリタイアしている。最終的に35名に絞られた第2集団が先頭に追いつくことはなかった。

1分30秒リードで残り3kmを切った先頭集団(脱落者が出て16名)では、スプリント勝負に向けての戦いが始まる。4名を揃えたカチューシャが先頭に陣取って残り1kmを切り、ヴィチェスラフ・クズネツォフ(ロシア、カチューシャ)が残り200mでクリストフを発射。しかし同時に腰を上げたカヴェンディッシュのスプリントが伸びた。

サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)の追い上げは届かず、先頭を突き進んだカヴェンディッシュが両手を挙げる。序盤から常にハイスピードを刻んだ第1ステージの平均スピードは51.867km/hだった。

カヴェンディッシュは直前のドバイツアーで第1ステージ2位、第4ステージ3位。新チームで初勝利を飾った"マン島の超特急"は「カチューシャが最も多くの人数を集めていたので、最後はクリストフの番手をとった。脇には必要な場合に備えてエドヴァルドという形。残り200mでクリストフの後ろからスプリントを開始して、緩い右コーナーのイン側を突いた。その時点で誰も追いつけないことは分かっていた。チームの戦力を実感したし、シーズン初勝利を飾ることができてとても嬉しい」とコメントする。

「チームのロジャー・ハモンド監督はおそらく世界で最もカタールでの戦い方を心得ている監督だ。昨晩のミーティング通り、今日はスタートから集団分裂に気を払っていた。集団先頭で危険な動きが生まれた時、チームメイトのトムソンとレグイグイが強力に牽引してそこまで連れて行ってくれた。結果はディメンションデータが3名を送り込むことに成功し、自分がステージ優勝、エドヴァルド(ボアッソン)が総合を狙うことに。結果的にエドヴァルドも安全に上位でフィニッシュできて良かった」。

第2集団が1分43秒遅れでフィニッシュしたため、ツアー・オブ・カタールの総合争いの行方は実質的にこの日のステージ上位16名に絞られた。翌日の第2ステージは終盤にかけてUCIロード世界選手権の周回コースを走る135km。第3ステージの11km個人タイムトライアルが総合争いの大きなポイントになりそうだ。

選手コメントはディメンションデータ公式サイトより。



リーダージャージを獲得したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)リーダージャージを獲得したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ) photo:Tim de Waele


ツアー・オブ・カタール2016第1ステージ結果
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)      3h28’46”
2位 サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)
3位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)
4位 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・アルゴン18)
5位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
6位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)
7位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
8位 マヌエル・クインツィアート(イタリア、BMCレーシング)
9位 アルノー・ジェラール(フランス、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト)
10位 ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、ジャイアント・アルペシン)
105位 新城幸也(日本、ランプレ・メリダ)                  +11’53”

個人総合成績
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)      3h28’46”
2位 サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)              +08”
3位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)              +11”
4位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)           +12”
5位 ヴィチェスラフ・クズネツォフ(ロシア、カチューシャ)            +13”
6位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)         +14”
7位 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・アルゴン18)             +15”
8位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)
9位 マヌエル・クインツィアート(イタリア、BMCレーシング)
10位 アルノー・ジェラール(フランス、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト)

ポイント賞
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)

ヤングライダー賞
1位 ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、ジャイアント・アルペシン)

チーム総合成績
1位 BMCレーシング

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele