ジェイコ・ヘラルドサンツアー最終ステージで逃げた別府史之(トレック・セガフレード)が敢闘賞獲得。山頂フィニッシュでライバルたちを寄せ付けなかったクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)が総合優勝に輝いた。



イアン・ボズウェル(アメリカ、チームスカイ)を先頭に1級山岳アーサーズシートを登るイアン・ボズウェル(アメリカ、チームスカイ)を先頭に1級山岳アーサーズシートを登る photo:Jayco Herald Sun Tour


ジェイコ・ヘラルドサンツアー2016第4ステージジェイコ・ヘラルドサンツアー2016第4ステージ photo:Jayco Herald Sun Tour逃げる別府史之(トレック・セガフレード)やカレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)逃げる別府史之(トレック・セガフレード)やカレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Jayco Herald Sun Tourヴィクトリア州の州都メルボルンの南に位置するモーニントン半島を駆け巡るジェイコ・ヘラルドサンツアー最終ステージ。終盤にかけて1級山岳アーサーズシート(登坂距離3km/平均勾配8%)を含む16kmの周回コースを2周する。3回目の1級山岳アーサーズシートの頂上にフィニッシュラインが引かれた今大会のクイーンステージで別府史之(トレック・セガフレード)が逃げた。

1級山岳アーサーズシートを登るクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)1級山岳アーサーズシートを登るクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Jayco Herald Sun Tour総合で逆転を狙う立場のトレック・セガフレードを代表して逃げに乗った別府は、カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)ら3名とともに最大2分21秒のリードを築く。1回目のスプリントポイントを先頭通過したベン・ヒル(オーストラリア、アタックチームガスト)はポイント賞首位をほぼ確実なものにした。

2回目の1級山岳アーサーズシートで山岳ポイント獲得のために動くクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)2回目の1級山岳アーサーズシートで山岳ポイント獲得のために動くクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Jayco Herald Sun Tourタイム差が1分まで縮まると逃げグループから別府がアタックし、2回目のスプリントポイントを先頭通過。逃げメンバーの中でヒルだけが別府に追いつき、さらにメイン集団から飛び出したクリスティアン・メイヤー(カナダ、オリカ・グリーンエッジ)とトラヴィス・マイヤー(オーストラリア、ドラパック)が合流。こうして新たに形成された4名の逃げは最大1分11秒のリードを得たが、チームスカイを中心とする集団ペースアップによってタイム差は縮まった。

1級山岳アーサーズシートの山頂にフィニッシュするクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)1級山岳アーサーズシートの山頂にフィニッシュするクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Jayco Herald Sun Tour周回コースに入り、1回目の1級山岳アーサーズシートを前に別府ら4名は吸収。逃げきりは叶わなかったが、別府の逃げは集団内のチームメイトの力を温存させ、さらに自身の敢闘賞獲得につながっている。

敢闘賞を獲得した別府史之(トレック・セガフレード)敢闘賞を獲得した別府史之(トレック・セガフレード) photo:Jayco Herald Sun Tour1級山岳アーサーズシートの登りでレースを支配したのはチームスカイの鉄壁のアシスト体制だった。イアン・ボズウェル(アメリカ)やセバスティアン・エナオゴメス(コロンビア)が献身的にハイペースを作る展開は2回目の1級山岳アーサーズシートでも継続。頂上が近づくたびにフルームが山岳ポイント獲得のために動く。すると2回目の頂上を先頭通過したフルームにジョゼフ・クーパー(ニュージーランド、アヴァンティ)が追いつき、そのまま2名が先行を開始した。

表彰台に上がるクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)や別府史之(トレック・セガフレード)表彰台に上がるクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)や別府史之(トレック・セガフレード) photo:Jayco Herald Sun Tourクーパーとフルームの先頭デュオは、トレック・セガフレードやオリカ・グリーンエッジ、ワンプロサイクリング率いるメイン集団を振り切った状態で最後の1級山岳アーサーズシートへ。登りが始まるとフルームはクーパーを切り離し、メイン集団から15秒ほど先行したまま独走を開始した。

多くの観客を集め、ポートフィリップ湾を見下ろす山の上に向かってフルームがハイスピードヒルクライム。ダミアン・ホーゾン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)やジョナサン・クラーク(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア)の追撃は届かず、フルームがステージ優勝を飾るとともに総合優勝をつかんだ。

「ピート(ケノー)と第1ステージでワンツー勝利を飾り、最終ステージで勝利して総合優勝。総合でもワンツーで、これ以上求めるものがないほどの結果だ」と、大成功の1週間をフルームは振り返る。「力量の分からない大勢のライバルたちを相手に戦わねばならず、決してイージーなステージではなかった。登坂時間は8分たらずだったけど大いに苦しんだよ」。

フルームはツール・ド・フランスで3度目の総合優勝を狙うとともに、今シーズンはリオ五輪ロードレースにも照準を合わす。「今シーズンは狙うレースが多い。総合優勝のタイトルを手にシーズン初戦を終えることができて最高の気分だよ」。

1級山岳アーサーズシートを全て先頭通過したフルームは圧倒的なポイント差で山岳賞でもトップに輝いている。第2ステージで逃げた小石祐馬(NIPPOヴィーニファンティーニ)は最終的に山岳賞3位だった。

選手コメントはレース公式サイトより。



総合優勝を果たしたクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)総合優勝を果たしたクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Jayco Herald Sun Tour



ジェイコ・ヘラルドサンツアー2016第4ステージ結果
1位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)          2h58’44”
2位 ダミアン・ホーゾン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)    +17”
3位 ジョナサン・クラーク(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア)   +21”
4位 クリストファー・ハミルトン(オーストラリア、コーダメンサ)     +29”
5位 ロビー・ハッカー(オーストラリア、アヴァンティ)
6位 ジャック・ヘイグ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
7位 ピーター・ケノー(イギリス、チームスカイ)             +32”
8位 ジャック・ボブリッジ(オーストラリア、トレック・セガフレード)   +36”
9位 アンソニー・ジャコッポ(オーストラリア、アヴァンティ)       +41”
10位 ディオン・スミス(ニュージーランド、ワンプロサイクリング)     +43”
45位 別府史之(日本、トレック・セガフレード)             +8’54”
84位 小石祐馬(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ)         +14’20”
DNF 窪木一茂(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ)

個人総合成績
1位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)          12h53’00”
2位 ピーター・ケノー(イギリス、チームスカイ)            +29”
3位 ダミアン・ホーゾン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)   +1’01”
4位 ジャック・ボブリッジ(オーストラリア、トレック・セガフレード)  +1’04”
5位 ジャック・ヘイグ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)    +1’14”
6位 ジョナサン・クラーク(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア)  +1’15”
7位 ロビー・ハッカー(オーストラリア、アヴァンティ)         +1’20”
8位 クリストファー・ハミルトン(オーストラリア、コーダメンサ)    +1’23”
7位 アンソニー・ジャコッポ(オーストラリア、アヴァンティ)      +1’32”
10位 ディオン・スミス(ニュージーランド、ワンプロサイクリング)

ポイント賞
1位 ベン・ヒル(オーストラリア、アタックチームガスト)

山岳賞
1位 クリス・ハーパー(オーストラリア、ステートオブマター・マープ)

U23ライダー賞
1位 クリストファー・ハミルトン(オーストラリア、コーダメンサ)

チーム総合成績
1位 チームスカイ

text:Kei Tsuji
photo:Jayco Herald Sun Tour

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