ドバイツアーを締めくくる最終スプリントで勝利したマルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)がボーナスタイムによって総合優勝。病気によって冴えない2015年シーズンを送ったジャーマンスプリンターが新チームで華々しいシーズンデビューを飾った。



巨大なワニが選手たちを見つめる巨大なワニが選手たちを見つめる photo:Tim de Waele


海岸近くの平坦路を走る海岸近くの平坦路を走る photo:Tim de Waeleドバイ市内を駆け抜けるドバイツアー最終ステージはフルフラット。コース全長も137kmと短く、レースはスタートからフィニッシュまで50km/h近いハイスピードな展開となった。

逃げグループからアタックするマーク・クリスチャン(イギリス、チームウィギンズ)逃げグループからアタックするマーク・クリスチャン(イギリス、チームウィギンズ) photo:Tim de Waele逃げグループを形成したのはルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)やダニエル・テクレハイマノ(エリトリア、ディメンションデータ)を含む6名で、中間スプリントでコスタがボーナスタイムを量産する。元世界チャンピオンは総合成績を挽回したが、総合トップ10には絡めず。

スプリントを繰り広げるエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)やマルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)スプリントを繰り広げるエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)やマルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waele逃げグループとメイン集団のタイム差は広がらず、吸収目前に逃げグループから飛び出したマーク・クリスチャン(イギリス、チームウィギンズ)もスプリンターチームを振り切ることが出来ない。リオ五輪トラック団体追い抜きのイギリスチーム入りを目指すマン島出身のスピードマンも残り11kmで吸収。エティックス・クイックステップやトレック・セガフレード、BMCレーシング、ディメンションデータがトレインを組んでフィニッシュに突入した。

最終スプリントを制したマルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)最終スプリントを制したマルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waeleファビオ・サバティーニ(イタリア、エティックス・クイックステップ)のリードアウトを受けて加速を開始したキッテルに、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)やマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)らが勝負を挑む。ポイント賞ジャージを着るキッテルは先頭を譲らず、平均スピード48.131km/hの高速レースを制した。

キッテルはスプリント2勝目を飾るとともに、ステージ6位に沈んだジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード)から総合首位を奪うことに成功する。ボーナスタイムによって逆転を果たしたキッテルが総合優勝に輝き、開幕からずっとドバイツアーを追いかけていたディエゴ・マラドーナ氏らに表彰台で祝福された。

「今年、チームを移籍したことで人生の新たなチャプターが始まった。その新しいチャプターが最高の形でスタート。チームサポートは申し分なかった。自分のようなスプリンターがステージレースで総合優勝を飾るのは稀な話。ものすごく興奮しているけど、今はまだ2月上旬で、シーズンは10月まで続くから、浮かれているわけにはいかない」とキッテルはコメントしている。

ドバイツアーが終了し、2日後の2月8日には新城幸也(ランプレ・メリダ)出場のツアー・オブ・カタールが開幕する。常勝チームとして知られるエティックス・クイックステップはカタールを欠場。キッテルの次戦は2月17日開幕のヴォルタ・アン・アルガルヴェで、その後パリ〜ニース出場が予定されている。



総合優勝に輝いたマルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)総合優勝に輝いたマルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waele



ドバイツアー2016第4ステージ結果
1位 マルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ) 2h50’47”
2位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)
3位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)
4位 アンドレア・パリーニ(イタリア、スカイダイブドバイ)
5位 サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)
6位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード)
7位 ファビオ・サバティーニ(イタリア、エティックス・クイックステップ)
8位 ヤスパー・ストゥイフェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
9位 エリック・バスカ(スロバキア、ティンコフ)
10位 ヤント・バーカー(イギリス、ワンプロサイクリング)

個人総合成績
1位 マルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ) 14h46’54”
2位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード)     +04”
3位 フアンホセ・ロバト(スペイン、モビスター)            +06”
4位 シルヴァン・ディリエル(スイス、BMCレーシング)         +16”
5位 ゴルカ・イサギーレ(スペイン、モビスター)            +23”
6位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)        +25”
7位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)
8位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ)         +28”
9位 ダヴィデ・レベッリン(イタリア、CCCスプランディポルコウィチェ)
10位 ソフィアネ・ハディ(モロッコ、スカイダイブドバイ)        +29”

ポイント賞
1位 マルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)

中間スプリント賞
1位 マルチン・ビアロブロキー(ポーランド、ワンプロサイクリング)

ヤングライダー賞
1位 ソフィアネ・ハディ(モロッコ、スカイダイブドバイ)

チーム総合成績
1位 モビスター

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele

最新ニュース(全ジャンル)