超高級リゾートホテルの「アトランティス・ザ・パーム」にフィニッシュするドバイツアー第2ステージでエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)が2年連続勝利。落車の影響で勝負に絡めなかったキッテルからヴィヴィアーニは総合リードを奪った。



砂漠の中を走るプロトン砂漠の中を走るプロトン photo:Tim de Waele
逃げるクーン・デコルト(オランダ、ジャイアント・アルペシン)ら4名逃げるクーン・デコルト(オランダ、ジャイアント・アルペシン)ら4名 photo:Tim de Waeleブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームウィギンズ)ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームウィギンズ) photo:Tim de Waele


フランシスコ・マンセボ(スペイン、スカイダイブドバイ)ら4名がエスケープフランシスコ・マンセボ(スペイン、スカイダイブドバイ)ら4名がエスケープ photo:Tim de Waeleドバイツアー2日目は、ドバイ市内を複雑に走ってからペルシャ湾に浮かぶ人工島パーム・ジュメイラを目指す183km。世界一高いビル「ブルジュ・ハリファ」を含む高層ビル群を抜け、パーム・ジュメイラの先端にある5つ星ホテル「アトランティス・ザ・パーム」にフィニッシュする。

ドバイ中心部を目指す逃げグループドバイ中心部を目指す逃げグループ photo:Tim de WaeleレースはポーランドTTチャンピオンのマルチン・ビアロブロキー(ポーランド、ワンプロサイクリング)がスタートからアタックして先行。ここにクーン・デコルト(オランダ、ジャイアント・アルペシン)、フランシスコ・マンセボ(スペイン、スカイダイブドバイ)、シルヴァン・ディリエル(スイス、BMCレーシング)が加わって4名の逃げが決まる。

メイン集団をコントロールするエティックス・クイックステップメイン集団をコントロールするエティックス・クイックステップ photo:Tim de Waele協力して真っ平らな幹線道路を進む逃げグループ。2015年ロード世界選手権タイムトライアル9位のビアロブロキーが3つの中間スプリントポイントを連取し、スプリント賞トップに躍り出る。力のある4名による逃げだったが、エティックス・クイックステップ率いるメイン集団は着実に間合いを詰めた。

集団スプリントを制したエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)集団スプリントを制したエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ) photo:Tim de Waeleやがて残り15kmでマンセボがアタックして独走開始。2004年と2005年のブエルタ・ア・エスパーニャで総合3位に入っている39歳のマンセボが健闘したものの、結局は残り12kmで吸収される。メイン集団はドバイの街中を抜けて、人工島パーム・ジュメイラに差し掛かった。

「アトランティス・ザ・パーム」前で勝利したエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)「アトランティス・ザ・パーム」前で勝利したエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ) photo:Tim de Waeleワンプロサイクリングやエティックス・クイックステップ、アスタナ、ディメンションデータが先頭で列車を走らせ、残り2kmでアワーレコードホルダーのブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームウィギンズ)も集団先頭へ。しかし、人工島の先端に向かう海中トンネルを抜け、残り1kmアーチを前にしたタイミングで集団前方に落車が発生する。この落車によって状況はガラリと変わり、20名ほどの選手が先行する形でスプリントが始まった。

それまで主導権を握っていたエティックス・クイックステップやディメンションデータの姿はなく、ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ)にリードアウトされたミカル・コラー(スロバキア、ティンコフ)が好位置からスプリントを開始。その横にベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)が並び、さらにその後ろからヴィヴィアーニがハイケイデンスで加速する。スリップストリームに入ったサーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)を寄せ付けず、ヴィヴィアーニが先着した。

アンドリュー・フェンとベン・スウィフトに発射されたヴィヴィアーニが今シーズン初勝利。「完璧なリードアウトは、先頭でのスプリントと勝利を意味する。昨日は後方に沈んでしまったので、ポジションを上げるためにスプリントして、それからまたスプリントして8位。今日は勝利に必要な要素がすべて揃っていた」と語る。

ヴィヴィアーニは2015年大会の第2ステージでも勝利しており、「アトランティス・ザ・パーム」前で2年連続のステージ優勝。ボーナスタイムによってリーダージャージも獲得したヴィヴィアーニは、最終的な総合争いに向けて意気込みを語る。「明日はドバイツアーの総合争いが決するステージだ。昨年はコースを下見していなかったので、残り10kmで集団から脱落してしまった。今年はツール・ド・サンルイスを走った後なので調子が良いし、短い急坂のスプリントを上手くこなして総合優勝を目指したい」(レース公式サイトより)

落車の影響でスプリントのチャンスとリーダージャージを失ったキッテルは「落車でばらけたリードアウトトレインを立て直すことは不可能だった。昨日は成功したものの、今日はハードワークが無駄になった。チームメイトたちがファンタスティックな走りをしてくれていただけに残念だ」と悔やむ(エティックス・クイックステップ公式サイトより)

ドバイツアー第2ステージを終えて総合争いは僅差のまま。最大勾配17%の登りスプリントが設定された第3ステージで総合成績は動く。






ドバイツアー2016第2ステージ結果
1位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)        4h07’39”
2位 サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)
3位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード)
4位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)
5位 トーマス・ヴァイクス(リトアニア、アルナスル・ドバイ)
6位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
7位 ミカル・コラー(スロバキア、ティンコフ)
8位 グジェゴシュ・ステプニャク(ポーランド、CCCスプランディポルコウィチェ)
9位 クリス・オピー(イギリス、ワンプロサイクリング)
10位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)

個人総合成績
1位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)        7h42’50”
2位 マルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)
3位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード)      +02”
4位 サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)          +04”
5位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)
6位 ソフィアネ・ハディ(モロッコ、スカイダイブドバイ)         +09”
7位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)          +10”
8位 トーマス・ヴァイクス(リトアニア、アルナスル・ドバイ)
9位 ミカル・コラー(スロバキア、ティンコフ)
10位 クリス・オピー(イギリス、ワンプロサイクリング)

ポイント賞
1位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)

中間スプリント賞
1位 マルチン・ビアロブロキー(ポーランド、ワンプロサイクリング)

ヤングライダー賞
1位 ソフィアネ・ハディ(モロッコ、スカイダイブドバイ)

チーム総合成績
1位 ティンコフ

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele

最新ニュース(全ジャンル)