多くのプロチームをサポートするオランダのサイクルアクセサリーブランド、タックス。タブレット/スマートフォン用アプリケーションと連動するホームトレーナー「Smart」シリーズより、末弟モデル「Satori Smart」をインプレッションした。



タックス Satrori Smartタックス Satrori Smart
最大負荷950Wながら、静寂性に優れるフライホイール最大負荷950Wながら、静寂性に優れるフライホイール 縦530mmx横675mmというワイドなベース寸法で、使用時の安定感を確保縦530mmx横675mmというワイドなベース寸法で、使用時の安定感を確保


専用のタブレット/スマートフォン用アプリケーションと連動させることで、より充実したトレーニングを可能としたホームトレーナーがタックス「Smart」シリーズ。今回インプレッションを行う「Satori Smart」は、同シリーズの末弟モデルである。ベースとなったのは同社の定番トレーナーである「Satori」だ。まずは本体から説明していこう。

負荷ユニットにはマグネット式を採用する。電源を必要としないことからどこでも使用可能で、最大負荷は950Wとなっている。ハンドルバーに取り付けるコントローラーにより、10段階で負荷を調整することができる。

ホイールの固定部を見るホイールの固定部を見る 負荷調整はハンドルに取り付けるレバーで行う。調整自体は10段階で行うことができる負荷調整はハンドルに取り付けるレバーで行う。調整自体は10段階で行うことができる

電子デバイスとペアリングして使用する際は、電池が必要となる電子デバイスとペアリングして使用する際は、電池が必要となる 折りたたんだ状態はコンパクトだ折りたたんだ状態はコンパクトだ


金属製のフレームは、縦530mmx横675mmというワイドな寸法で使用時の安定感を確保。未使用時には675mmx565mmとコンパクトに折りたたむことができるため、保管もしやすいだろう。重量は4.9kgと持ち運びも苦にならない程度に抑えられている。対応するタイヤサイズは26~29インチと700C。バイクの取付部は、標準でクイックレリーズに対応し、別売のアクスルナットを使用すればピストバイクでも使用可能となる。

さて、それではこの「Smart」版の特徴である、電子デバイスとSatori Smartの連携について説明していこう。対応する電子デバイスはiOSもしくはAndroidを搭載したタブレット/スマートフォン、スピード/ケイデンス/ハートレート/パワーの各センサーだ。通信規格については、いずれのデバイスもANT+もしくはBluetoothに対応している必要がある。

Tacx Cycling appのトップページTacx Cycling appのトップページ
Satori Smartと連携するには、タブレットの場合はTacx Cycling appを、スマートフォンの場合はTacx Training appをインストールする。アプリ内で使用されるデータのうち、スピード、ケイデンス、パワーの3項目は負荷ユニットの測定値を用いることもできる(ケイデンスは仮想値となる)。

Satori Smartの場合、タブレット用のTacx Cycling appではSlope、Films、Workoutという3つのモードが、スマートフォン用のTacx Training appではSlopeモードが利用可能だ。下記に各モードを説明しよう。

Slope:速度(km/h)、出力(W)、ケイデンス(rpm)、仕事量(kJ)の4項目の現在値及び平均値、移動距離、時間をモニタリングすることができる。速度、出力、ケイデンスはグラフでも表示。傾斜を設定する項目があるものの、上位グレードのように自動的に負荷を制御することはできない。
Films:ツール・ド・フランスをはじめとした有名レースで実際に使用されるコースをムービーと共にバーチャルで走れるモード。ペダリングすることで動画が再生されるが、負荷の変更は自ら行う必要がある。無料で配信されているムービーは現在は2種類のみで、それ以外は有償となっている(1ムービーあたり600MB~1GBで1,100円)。
Workout:配信されているプログラムにそってトレーニングを行うモード。



ー 編集部インプレッション

負荷装置に設けられたボタンを押して、電子デバイスとペアリングする負荷装置に設けられたボタンを押して、電子デバイスとペアリングする タブレットの固定は、タックスから発売されている純正ブラケットが便利タブレットの固定は、タックスから発売されている純正ブラケットが便利 Satoriといえば、タックス定番のローラー台の1つとしてプロも使用してきたモデルだ。タックスのラインアップには多機能モデルが多いが、今もなおレース現場での使用率は高く、アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)もウォーミングアップやクールダウンに利用している。それだけに隙のない製品であることは間違いなさそうだが、改めてその使用感をチェックしていく。

まずは組み立てから。昨今増えつつあるダイレクトドライブ式とは比べ物にならないほど軽く、持ち運びは全く苦ではなく、組み立てはラクラク。今回のインプレッションではタイヤの空気圧を8Barまで充填し、リアのクイックレリーズを専用品に交換してから、バイクをSatori Smartにセットした。

実際に漕いでみての音は、タイヤドライブ式としては静かといえるだろう。実際の音は下の動画で確かめてもらうとして、負荷装置からのウィーという音が目立つが、むしろ変速音の方が大きいほど。インプレッション時に自分の周りでデスクワークをしていた同僚を邪魔するほどでは無く、振動が発生することもなかった。負荷や回転数を上げていっても、音の大きさはあまり変化しない印象だ。

負荷の変化はタックスが謳う通りに直線的。実走感が高いとはいえないが狙った負荷を維持しやすく、パワートレーニングには持ってこいといえるだろう。高出力側の負荷は最大950Wとメーカーから公表されているが、実際に使用した印象では低出力側の最低負荷は抑えられており、回復走やLSDなど低負荷のトレーニングにも対応してくれるだろう。

Satrori SmartをインプレッションしたSatrori Smartをインプレッションした
フレームの安定感は、今回インプレッションした限りでは全く問題なかった。動画を見ると、高負荷ペダリング時にフレームが左右に変形しているのが分かるが、実際に乗っている時は、全く不安を感じなかった。むしろ、力が逃げてくれるため、フレームへの負荷が少ないといえるだろう。

ここからはタブレット用アプリTacx Cycling appとの連携について。タブレットとのペアリングはとてもスムーズで、負荷ユニットに設けられたボタンを押して、赤く光らせれば、すぐにタブレットと繋がってくれる。

Tacx Cycling appを使用するメリットは、高価なパワーメーターがなくとも、パワートレーニングを行うことができるという点だろう。負荷の正確性については、パワーメーターを持ちあわせていないため検証できなかったが、アプリ上の表示はペダリングにあわせてリニアに変化してくれる。これはスピードやケイデンスも同様だ。

まだまだ寒い日が続くなかで、天候が悪く外を走れないため、屋内トレーニングを充実させたいと考えている方は少なくないだろう。また、パワートレーニングに興味はあれど、パワーメーターはいずれも高価で手をこまねいているという方も、まだまだいるはず。そういったサイクリストにSatori Smartはオススメだ。
(インプレッション by 編集部・山本)




タックス Satori Smart
通信規格:ANT+、Bluetooth Smart
対応ソフトウェア:Tacx Cycling App、Tacx Trainer Software
対応デバイス:タブレット、スマートフォン、PC(オプション)
負荷ユニット:マグネット式
負荷調節:10段階
下り坂再現:無し
最大出力(10秒):950W
電 源:単3乾電池x2(通信用)
重 量:9.5kg
価 格:49,000円(税抜)