サンルイス名物の難関山岳チェロ・エル・アマゴで総合争いが勃発。南米勢が躍進し、地元アルゼンチンのエデュアルド・セプルヴェダが並み居る強豪を抑えて優勝。総合首位に浮上した。



つづら折れが続くサンルイス名物の1級山岳チェロ・エル・アマゴつづら折れが続くサンルイス名物の1級山岳チェロ・エル・アマゴ photo:Roberto Bettini/BettiniPhoto
スタートを待つ山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)スタートを待つ山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Ilario Biondi/BettiniPhoto6位に入ったミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア、アスタナ)6位に入ったミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア、アスタナ) photo:tourdesanluis



ツール・ド・サンルイス2016第4ステージ コースプロフィールツール・ド・サンルイス2016第4ステージ コースプロフィール 山岳勝負の口火を切ったダイェル・キンタナ(コロンビア、モビスター)山岳勝負の口火を切ったダイェル・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:Roberto Bettini/BettiniPhoto5分37秒遅れに終わったヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)5分37秒遅れに終わったヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Roberto Bettini/BettiniPhoto大会名称でもあるサンルイスの街を出発し、サンルイス名物の1級山岳チェロ・エル・アマゴへと至るツール・ド・サンルイス(UCI2.1)第4ステージ。

いよいよ本格的な難関山岳が登場し、そのプロフィールは登坂距離10.5km、平均斜度7.2%というもの。残り24km地点から緩やかに高度を上げ、終盤は標高1720mの頂上まで一気に駆け上がる。この登坂では予想通り、激しい勝負が繰り広げられた。

独走するエデュアルド・セプルヴェダ(アルゼンチン、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト)独走するエデュアルド・セプルヴェダ(アルゼンチン、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト) photo:Roberto Bettini/BettiniPhotoこの日の逃げグループを形成したのは南米勢を中心とする12名。多人数の逃げは協調して巡行したものの、山岳に向けて用意を整えるメイン集団は余裕あるリードを与えない。2つの中間スプリントを通過し、チェロ・エル・アマゴの前座に用意された3級山岳に差し掛かる頃には、メイン集団の足音も大きくなっていた。

逃げ集団からの飛び出しも見られたものの、モビスターを筆頭にアスタナやエティックス・クイックステップがペースを上げる集団は、チェロ・エル・アマゴの麓で全ての逃げメンバーを飲み込む。前日に大逃げを決めた総合首位、ペーター・コーニング(オランダ、ドラパックプロサイクリング)も遅れ、メイン集団は人数を絞りながら登坂をこなしていく。

するとナイロ・キンタナの弟であるダイェル・キンタナ(コロンビア、モビスター)が残り8km地点でアタックし、勝負の口火が切られた。キンタナのペースアップにヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)が遅れ、追走したアレクシス・アセヴェド(コロンビア、ジェイミス)がキンタナに合流する。しかしゴールまで5kmを残した地点から、エデュアルド・セプルヴェダ(アルゼンチン、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト)が勝負に打って出た。

セプルヴェダはキンタナとアセヴェドを抜き去ると、そのまま独走態勢を築き上げる。風が強く吹きつける頂上付近でもペースを一切落とすこと無く、アセヴェドをおよそ1分振り切ってフィニッシュ。昨年大会で総合4位に入った24歳が、自国最大のレースで栄冠を掴んだ。

「とても風が強かったが、正しいタイミングでアタックを仕掛けることができた」と語るセプルヴェダ。2012年にFDJでプロ入りし、翌年に現チームへと加入。昨年はツール・ド・フランスでグランツアー初出場したものの、第14ステージではメカトラ後に他チームのチームカーに乗車したことで失格となっていた。



エデュアルド・セプルヴェダ(アルゼンチン、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト)がフィニッシュに飛び込むエデュアルド・セプルヴェダ(アルゼンチン、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト)がフィニッシュに飛び込む photo:Ilario Biondi/BettiniPhoto

リーダージャージを手に入れたエデュアルド・セプルヴェダ(アルゼンチン、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト)リーダージャージを手に入れたエデュアルド・セプルヴェダ(アルゼンチン、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト) photo:tourdesanluisまたこの日、1位から4位までを南米勢が独占し、ミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア、アスタナ)はステージ6位、ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ)が7位、ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)は8位と強豪勢もシーズンインを順調に滑り出し。一方ニーバリは5分37秒遅れに終わった。

翌第5ステージは、レンカからファナ・コスライへと至る168.7km。緩やかな登りフィニッシュでは再びスプリンターの共演が見られるはずだ。



ツール・ド・サンルイス2016第4ステージ結果
1位 エデュアルド・セプルヴェダ(アルゼンチン、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト)4h00’35”
2位 アレクシス・アセヴェド(コロンビア、ジェイミス)            +54”
3位 ロマン・ヴィラロボス(コスタリカ、コスタリカナショナルチーム)     +1’31”
4位 ダイェル・キンタナ(コロンビア、モビスター)
5位 イリア・コシェヴォイ(ベラルーシ、ランプレ・メリダ)          +1’41”
6位 ミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア、アスタナ)         +2’10”
7位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ)
8位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
9位 ジョナサン・ミラン(コロンビア、ストロングマン・カンパニョーロ)    +2’12”
10位 アンダーソン・マルドナルド(ウルグアイ、ウルグアイナショナルチーム) +2’14”
137位 山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)              +21’02”

個人総合成績
1位 エデュアルド・セプルヴェダ(アルゼンチン、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト)12h00’16”
2位 ダイェル・キンタナ(コロンビア、モビスター)              +03”
3位 ロドリゴ・コントレラス(コロンビア、エティックス・クイックステップ)  +38”
4位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)               +42”
5位 ミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア、アスタナ)         +51”
6位 ダニエル・モレーノ(スペイン、モビスター)               +56”
7位 ロマン・ヴィラロボス(コスタリカ、コスタリカナショナルチーム)     +1’06”
8位 アレクシス・アセヴェド(コロンビア、ジェイミス)            +1’09”
9位 イリア・コシェヴォイ(ベラルーシ、ランプレ・メリダ)          +1’22”
10位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ)              +1’37”

山岳賞
エデュアルド・セプルヴェダ(アルゼンチン、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト)

ヤングライダー賞
ロドリゴ・コントレラス(コロンビア、エティックス・クイックステップ)

チーム総合成績
モビスター

text:So.Isobe
photo:Tim de Waele