世界一過酷な自転車レースの1つとして名をはせるパリ~ルーベ。そのゴール地点をモデル名に冠したスペシャライズドのエンデュランスタイヤが「ROUBAIX PRO」だ。23C相当のトレッド幅と25C相当のエアボリュームを合わせ持った独自の変則サイズが特徴のロングセラーモデルをインプレッションした。



世界中で最も格式あるレースの1つとして「クラシックの女王」と称されるパリ~ルーベ。約50kmに及ぶ石畳セクションを含む過酷なコースを舞台とすることから「A Sunday in Hell」とも呼ばれる、このレースのゴール地点の名を冠したスペシャライズドのロードタイヤが「ROUBAIX PRO」だ。豊富なバリエーションを誇る同社のタイヤラインアップの中でも、長くラインアップされてきたロングセラーモデルである。

スペシャライズド ROUBAIX PRO(23/25mm)スペシャライズド ROUBAIX PRO(23/25mm)
その最大の特徴は「23/25mm」という独自の変則サイズにある。これは、トレッド幅を23C相当とした一方で、サイドウォールに高さを持たせ、25C相当のエアボリュームを実現したというもの。ロードタイヤならではの軽快感を確保しつつ、ショック吸収性を高めることに成功した。

コンパウンドには上位グレードのピュアレーシングモデル「S-WORKS TURBO」と同じくGRIPTON(グリプトン)を採用する。センタートレッドはなめらかなスリック仕様とすることで転がり性能を向上。一方のサイドは、格子状に切り込みを入れたパターンとすることでトレッドの変形を促し、タイヤの変形挙動を掴みやすくしている。

サイドのみに格子状のパーターンを入れることで、転がりとコーナリング性能を両立サイドのみに格子状のパーターンを入れることで、転がりとコーナリング性能を両立 共通の設計意図ながら、S-WORKS TURBOと造りを変えることで性能を最大限に高めている共通の設計意図ながら、S-WORKS TURBOと造りを変えることで性能を最大限に高めている

実測重量は257g実測重量は257g 7Barを充填した際の実測幅は25.7mm(リム内幅は16.1mm)7Barを充填した際の実測幅は25.7mm(リム内幅は16.1mm)


ケーシングには繊維密度120TPIの「Endurant」を採用。これにS-WORKS TURBOにも採用される強化ベルト「BlackBelt」を重ねることで、耐パンク性を追求。パリ~ルーベに登場する石畳のような障害物にも屈しないタフネスさも「ROUBAIX PRO」の大きな特徴となっている。

重量はカタログ値の260gに対して実測が257gと、精度が高いことを伺わせる。スペシャライズドがプロデュースするロヴァールのRapide CLX40ホイール(リム内幅16.1mm)に装着し、7Barを充填した際の実測幅は25.7mmであった。早速インプレッションに移ろう。



ーインプレッション

「堅実さとスムーズな転がりが特長 高い耐パンク性を求める方におすすめ」
若生正剛(なるしまフレンド)


乗り心地は比較的硬めですが、気に留めるほどの不快感はありません。同じタイミングでインプレッションしたS-WORKS TUROBOの24Cと比較すれば硬めという程度です。ですが、もし素性を知らされずにテストしていれば、そういう味付けのレーシングタイヤという評価になったことでしょう。

「堅実さとスムーズな転がりが特長 高い耐パンク性を求める方におすすめ」若生正剛(なるしまフレンド)「堅実さとスムーズな転がりが特長 高い耐パンク性を求める方におすすめ」若生正剛(なるしまフレンド) 表面のコンパウンド付近は確かに硬いのですが、対称的に中のほうが柔軟性であることによって、バランスが取れているのではと考えられます。強いて言えば、やや粗い路面でのコーナリング中に凹凸を拾ってしまうのが気にはなりましたが、各社のハイエンドタイヤと比較しても軽快感に欠けるということはありません。ハイエンドタイヤに比べれば重いものの、踏み出しの鈍さはなく、スムーズに転がってくれます。

コーナリング時の挙動は至ってニュートラルで、気になるようなクセはありません。チューブラーのようには大きく変形せず、断面形状を保ったまま表面のトレッドを食いつかせてグリップを稼ぐイメージです。硬く変形しにくいとは言っても滑る感じがなく、倒してたらそのままスムーズに曲がっていってくれます。コーナーが連続する様なシーンでもキビキビと進行方向を変えることができますし、思った通りに突っ張ってくれました。

コンパウンドの柔らかいレーシングタイヤですと、カットに至らずとも砂利などの異物が刺さったりすることは少なくありませんが、ROUBAIX PROの場合にはそういった心配は無用でしょう。あえて今回のインプレッションでは、タイヤが傷ついてしまいそうな轍を走ってみましたが、目に見えるような大きな傷はできませんでした。これであれば安心して走りに集中することができますね。

23/25mmという独自の変則サイズについては、この設計だからこそ性能バランスをうまくまとめることができたのではないかと思います。恐らく、エアボリュームを下げてしまうと硬さが際立ってしまいますし、反対に上げてしまうとクロスバイク用タイヤのような鈍重な乗り味になってしまうのではないでしょうか。

スペシャライズド ROUBAIX PROをインプレッションスペシャライズド ROUBAIX PROをインプレッション
総じてトレーニング用や通勤通学用として耐パンク性の高いタイヤが欲しい方、国内ではあまり見かけませんが極端に荒れた舗装路や石畳を走られると言う方にオススメです。レースであれば路面が滑らかなサーキットでのエンデューロが良さそうですね。

スペシャライズド ROUBAIX PRO
コンパウンド:GRIPTON
ケーシング:Endurant 120TPI
耐パンクベルト:BlackBelt
ビード:フォルダブル
サイズ:700×23/25mm
実測幅:25.7mm(7Bar/リム内幅16.1mm)
実測重量:257g
価 格:5,800円(税込)



インプレッションライダーのプロフィール

若生正剛(なるしまフレンド)若生正剛(なるしまフレンド) 若生正剛(なるしまフレンド)

高校卒業後からなるしまフレンドに籍を置き、今年で8年目を迎えた立川店勤務のメカニック。仕事の傍らロードレースに打ち込み、国内トップカテゴリーのJPTにも在籍した経験を持つ。ツール・ド・おきなわ国際レースやツール・ド・熊野、ツール・ド・北海道といった国内UCIレースを走った。脚質はパンチャータイプ。スタッフとしてお客さんのイメージ通りの自転車を形にすることがモットー。愛車はスペシャライズド S-WORKS TARMAC。

なるしまフレンド立川店 / CWレコメンドショップ


photo:So.Isobe
text:Yuya.Yamamoto
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