Raphaスーパークロス野辺山2日目、UCI男子エリートはザック・マクドナルド(ストリームラインインシュランスサービス)が勝利。女子はリサ・ジェイコブズ(Rapha-FOCUS)が昨日に続き連覇を飾った。



エリート男子 ザック・マクドナルド(ストリームラインインシュランスサービス)が先頭で第1コーナーに向かうエリート男子 ザック・マクドナルド(ストリームラインインシュランスサービス)が先頭で第1コーナーに向かう photo:Kei Tsuji
エリート男子 中原や山本、横山ら日本勢が前を固めて1周目を走るエリート男子 中原や山本、横山ら日本勢が前を固めて1周目を走る photo:Kei Tsuji初日に続き、2日目も朝から素晴らしい天気で迎えた野辺山高原・滝沢牧場の特設CXコース。前夜の冷え込みに凍てついた霜柱が緩み、午前は非常にマッドなコンディションとなり、無数のリアディレイラーがもげた。しかし午後になると路面は締まりだす。

エリート男子 マクドナルドから逃げる小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロス)エリート男子 マクドナルドから逃げる小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロス) photo:Kei Tsuji最終レースのエリート男子。昨日の勝者竹之内悠(ベランクラシック・エコイ)は大事を取って出走せず。14時40分、昨日より気持ち冷たく感じる空気のなか89人の選手たちが飛び出していく。

半周を回り、フライオーバーに最初に姿を表したのは前田公平(弱虫ペダルシクロクロスチーム)。続いてザック・マクドナルド(ストリームラインインシュランスサービス)、小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロス)、横山航太(シマノレーシング)、ベン・ベルデン(WCupスタンパー)と続く。全選手が猛スピードで一列棒状で途切れること無く1周めをクリア。少しでもポジションを上げたい選手たち。テクニックのある選手はバニーホップを駆使して段差を飛び越える。

エリート男子 小坂光を追うザック・マクドナルド(ストリームラインインシュランスサービス)エリート男子 小坂光を追うザック・マクドナルド(ストリームラインインシュランスサービス) photo:Kei Tsuji2周目、悪コンディションに強い横山が先頭を切り、小坂、マクドナルド、ベルデン、山本幸平(トレックファクトリーレーシング)の4人のパックが形成されつつある。続いて4秒の間隔を開けて沢田、前田、丸山厚(BOMA RACING)と続く。

エリート男子 後続の様子を伺うザック・マクドナルド(ストリームラインインシュランスサービス)エリート男子 後続の様子を伺うザック・マクドナルド(ストリームラインインシュランスサービス) photo:Kei Tsuji3周目、横山と小坂がわずかに抜け出し先行。牧場の泥セクションを行く。マクドナルド、山本、ベルデンも落ち着いた走りで前を追う。後方からは竹内遼(WESTBERG/ProRide)と武井享介(FORZA・YONEX)、ティム・ジョンソン(Cannondale Cyclocrossworld)も前に上がってきて、前田と丸山らに合流した。

序盤15分。スピードの違いが出る舗装路区間を経て、横山、小坂、マクドナルド、山本、ベルデンの5人のパックが成立した。5人の中では小坂が積極的にスピードを上げ、先行を試みる。

単独3番手を走る山本幸平(トレックファクトリーレーシング)単独3番手を走る山本幸平(トレックファクトリーレーシング) photo:Kei Tsujiスタートから25分。小坂とマクドナルドが若干の抜け出しに成功。3人との差を開き始める。横山と山本が7秒差、ベルデンは失速気味の走りに。後方からは一定ペースで沢田時が迫る。

45分経過。マクドナルドが先頭に立ち、小坂に対して攻撃を始める。後方で様子を見続けた守りの走りから一転、パワフルな走りを披露しだした。段差を飛び越え、シケインを素早いスピードで処理し、小坂をじりじりと引き離す。続く横山と山本の2人も分解。山本がパワフルなペダリングで、テクニックに秀でた横山を引き離しにかかる。

エリート男子 観客とハイタッチでフィニッシュに向かうザック・マクドナルド(ストリームラインインシュランスサービス)エリート男子 観客とハイタッチでフィニッシュに向かうザック・マクドナルド(ストリームラインインシュランスサービス) photo:Kei Tsuji残り1周、マクドナルドはさらに加速し、小坂に対して11秒差をつけて逃げる。それまでの6分30秒ラップを10秒縮める勢い。小坂はその差をもはや埋められない。

マクドナルドは勝利を確信した最終周にはシケインをバニーホップでクリアしてみせ、迎える観客たちにハイタッチ。ゴールではウィリーフィニッシュを披露した。初日のレースでは高度障害に苦しみレースを降りたマクドナルド。慎重に自分の様子をみながらも、最後には攻めに転じた走りだった。

エリート男子表彰台エリート男子表彰台 photo:Kei Tsuji「昨日よりベターだった(笑)。6回目にしてようやく勝てた。急激に気分が悪くなった昨日よりもずっと体調が良くて、標高の高さを感じることなく周りの状況をしっかり確認しながら走ることが出来た。ライバルを一気に突き放すようなアタックはできないものの、テクニカルなセクションで前に出て、少しずつギャップを広げるスマートな走りに徹したよ」とマクドナルド。

マクドナルドに離されたものの、2位の小坂は小さなガッツポーズでフィニッシュ。「ザックとはテクニックの差がでた。今日こそは本当に勝ちたかったけれど、走り自体には満足しています。昨日は高度の高さも影響したのかもしれませんが、今日はずっと良く走れました。来週の全日本が楽しみです」と満足気な表情で語った。

2日連続で3位表彰台ゲットの山本幸平。「まだCXバイクのセッティングや乗り慣れていない面があるものの、全日本でも狙って行きたい」と、本業のCXライダーたちに向けて刺激的なメッセージ。



女子エリートはリサ・ジェイコブスが圧倒の走りで連覇

エリート女子 スタートから先頭に立つリサ・ジェイコブス(Rapha-FOCUS)エリート女子 スタートから先頭に立つリサ・ジェイコブス(Rapha-FOCUS) photo:Kei Tsuji
単独2番手を走る今井美穂(CycleClub.jp)単独2番手を走る今井美穂(CycleClub.jp) photo:Kei Tsuji男子のレースに先がけ、13時30分スタートのUCI女子エリート。スタートダッシュからリサ・ジェイコブス(Rapha-FOCUS) がホールショットを譲らない。昨日よりもマッドなコンディションのコースに飛び出していく。

3番手で競り合う與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)と武田和佳(Liv)3番手で競り合う與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)と武田和佳(Liv) photo:Kei Tsuji昨日との違いは、リサの独走をただ許すものではなかったこと。今井美穂(CycleClub.jp) がリサの後方にぴったりとつけ、2周めへと向かう。豊岡英子(パナソニックレディース)、武田和佳(Liv) 、與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)と続く。

独走のままフィニッシュしたリサ・ジェイコブス(Rapha-FOCUS)独走のままフィニッシュしたリサ・ジェイコブス(Rapha-FOCUS) photo:Kei Tsujiフラット区間のスピードこそリサに敵わないまでも、マッド区間の今井の走りは力強く、リサを煽る好走だ。しかし2周めにはリサの独走が再び始まる。
3位以下も順位を入れ替えつつのデッドヒートに。昨日はミスの目立った武田だが、テクニカルセクションの好走が光る。一方、泥に手を焼くのは與那嶺。武田との3位争いが加熱する。2人に着いていた豊岡英子(パナソニックレディース)はやがて遅れだす。

埋められない差をかかえながらも、リサの視界には常に今井の姿があった。最終周に入るリサと今井のタイム差は23秒。3位争いは武田が與那嶺を若干離してファイナルラップへ。
しかし與那嶺も粘り、半周を前に再びテールツゥーノーズへ。

2位の今井美穂(CycleClub.jp)がガッツポーズでフィニッシュ2位の今井美穂(CycleClub.jp)がガッツポーズでフィニッシュ photo:Kei Tsuji大声援に迎えられるリサ。そして今井。3位争いは武田が大きく與那嶺を離してフィニッシュ。

「序盤はイージーペースで走ろうと思っていたけど、彼女が速くて最初から最後まで全く油断できなかった。引き離そうとしたものの、泥のセクションでは逆に彼女が速くて差を詰められた」と今井の走りを讃えるリサ。

「リサはとにかく速かった! 着いていこうと思ったけど、無理でした。後ろとは離れたから逃げてやろうと思って。今日はミスもなく上手く走れました。泥のコンディションが私向きで良かった。来週が楽しみになりました」と今井。レース後には仲間たちと一緒に「(全日本に勝って)ベルギーに行くぞ〜!」と大きな声を挙げた。

Raphaスーパークロス野辺山のメインイベント、UCIレース男女は今年も2日間に渡って華麗なレースをファンたちに見せてくれた。続いて来週末は信州・飯山でシクロクロス全日本選手権。その前哨戦として各選手の仕上がりが見えた。しかし誰が勝つのかは見えない。翌週に熱い走りが見られることを期待しよう。

UCIレースのトップスリーが表彰台に並ぶUCIレースのトップスリーが表彰台に並ぶ photo:Kei Tsuji



各カテゴリーの熱戦の模様は別記事でレポートします。お楽しみに。

Raphaスーパークロス野辺山2015UCIエリート男子 DAY2リザルト
1位 ザック・マクドナルド(ストリームラインインシュランスサービス)59’03”
2位 小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロス)+08”
3位 山本幸平(トレックファクトリーレーシング)+13”
4位 横山航太(シマノレーシング)+33”
5位 沢田時(ブリヂストンアンカー)+1’13”
6位 ベン・ベルデン(WCupスタンパー)+1’33”
7位 竹内遼(WESTBERG/ProRide)+1’35”
8位 ティム・ジョンソン(Cannondale Cyclocrossworld)+1’49”
9位 武井享介(FORZA・YONEX)+2’15”
10位 ジョシュ・ケリー(Chris King/ Cielo Factory Team)+2’23”

UCI 女子エリートリザルト
1位 リサ・ジェイコブス(Rapha-FOCUS) 45’08”
2位 今井美穂(CycleClub.jp)+38”
3位 武田和佳(Liv) +1’10”
4位 與那嶺恵理(サクソバンクFX証券) +1’32”
5位 豊岡英子(パナソニックレディース)+2’17”
6位 相野田静香(club grow)+5’12”
7位 須藤むつみ(Ready Go JAPAN)+6’13”
8位 川崎路子(PAXPROJECT)+6’15”
9位 橋口陽子(轍屋)+6’17”
10位 水谷有紀子(BUCYO COFFEE CLT)+6’19”

photo:kei.Tsuji
text:Makoto.AYANO

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