橋本英也(鹿屋体育大学)が4km個人追抜きで3年前に自身が出した記録を4秒縮める4分26秒763の日本新記録を樹立。全日本選手権オムニアムの1日目は橋本が首位で2日目へ。

トラック競技の全日本自転車競技選手権大会オムニアムとマスターズが、11月21日(土)から2日間の日程で伊豆市伊豆ベロドローム(250m)で行なわれている。他種目の全日本選手権は4月に行なわれているが、オムニアムとそれに合わせてマスターズがこの11月に行なわれるものだ。

男子オムニアム 4km個人追抜 1位 橋本英也(鹿屋体育大学)4分26秒763 日本新記録男子オムニアム 4km個人追抜 1位 橋本英也(鹿屋体育大学)4分26秒763 日本新記録 photo:Hideaki TAKAGI
オリンピック種目のオムニアム

女子オムニアム スクラッチ 梶原悠未(筑波大付属坂戸高校)が1位女子オムニアム スクラッチ 梶原悠未(筑波大付属坂戸高校)が1位 photo:Hideaki TAKAGI男子オムニアム スクラッチ 原田裕成(鹿屋体育大学)が1位男子オムニアム スクラッチ 原田裕成(鹿屋体育大学)が1位 photo:Hideaki TAKAGIオムニアムはオリンピックや世界選などで行なわれる種目だが、とくにオリンピックで中距離選手にとってはこのオムニアムしかない。オムニアムとはスクラッチ、個人追抜き、エリミネイション、1kmTT(女子は500m)、フライングラップ(250m)そしてポイントレースの6種目合計のポイントで競われるもので女子も同数競技となっている。各種目1位は40点で以下2点刻みだが、最終種目のポイントレースのみそのレースで得られたポイントが加算され、通常はそのポイントレースの比重が高い。
女子オムニアム 3km個人追抜 1位 梶原悠未(筑波大付属坂戸高校)3分46秒682女子オムニアム 3km個人追抜 1位 梶原悠未(筑波大付属坂戸高校)3分46秒682 photo:Hideaki TAKAGI男子オムニアム 4km個人追抜 日本新記録を出した橋本英也(鹿屋体育大学)と恩師の山崎監督(岐南工高、朝日大学)男子オムニアム 4km個人追抜 日本新記録を出した橋本英也(鹿屋体育大学)と恩師の山崎監督(岐南工高、朝日大学) photo:Hideaki TAKAGI女子オムニアム エリミネイション 梶原悠未(筑波大付属坂戸高校)が1位で3種目ともに1位女子オムニアム エリミネイション 梶原悠未(筑波大付属坂戸高校)が1位で3種目ともに1位 photo:Hideaki TAKAGI男子オムニアム エリミネイション 窪木一茂(チーム右京)が1位男子オムニアム エリミネイション 窪木一茂(チーム右京)が1位 photo:Hideaki TAKAGI
種目後半になるにつれ上位陣が互いにマークと攻撃をする姿が見られ、ゲーム性の高い種目だ。昨年大会は窪木一茂(チーム右京)と塚越さくら(鹿屋体育大学院)が優勝。今年は特に女子ジュニア最終年度の梶原悠未(筑波大付属坂戸高校)、鈴木奈央(日本競輪学校)、橋本優弥(岐阜商業高校)、古山稀絵(昭和第一学園高校)のジュニア世界選団抜きの4人が参加しているのがトピックだ。

4km個人追抜で橋本英也(鹿屋体育大学)が4分26秒763の日本新記録

男子では4km個人追抜で橋本英也(鹿屋体育大学)が4分26秒763の日本新記録を樹立して1位に。今までの記録は3年前に橋本が全日本選手権で出した4分30秒441。この3年間誰にも破られることなく今回、自身で記録を更新した。またこれは6種目競技のオムニアムの途中で出されたことにも意義がある。3年前は単一種目での記録だった。橋本は今年に入ってから左鎖骨の同じ部位を3度骨折していたがブランクを感じさせない見事な復活劇に。

「今日はタイムを出すことが目標でした」橋本英也(鹿屋体育大学)

この3年半は長かったです。今まで記録を破ることはできていませんでしたが1年に1秒縮めてきている感覚はあり、ようやく自分の目標にしていた水準に来ました。窪木さん、近谷さんそして原田と強い選手がいて高いレベルでの競争ができていると思います。今日の使用ギヤは56×15で、これは毎分115~120回転をイメージしています。数値はまだ見ていませんが470Wくらいでしょう。1日目の今日は個抜きでタイムを出すことが目標で他種目はリスクのない走りをすることでイメージどおりに走れています。

男子は上位陣が拮抗

個人追抜きでは近谷涼(マトリックスパワータグ)も4分30秒087の日本新記録を打ち立てている。3種目終了時点では橋本が2位の窪木と原田に4点、近谷に8点差をつけている。前年覇者の窪木とは、短距離系は従来窪木が強く、ポイントレースは2人とも得意で点差は無いに等しい。本日のエリミネイションで見せた窪木のセンスは極めて高い。2日目は高いレベルのレースが見られそうだ。

梶原悠未(筑波大付属坂戸高校)が3種目ともに1位で首位に

高校3年の梶原が3種目とも1位と圧倒した。スクラッチでは終盤に抜け出した上野みなみ(鹿屋体育大学院)との対決を制し、個人追抜きでは加瀬加奈子の持つ3分42秒145の「日本記録が目標だった」という走りで1位、エリミネイションも上野を下して1位と力と技の両方で首位に立っている。

その梶原はオムニアムを走るのはじつは2戦目という。1戦目はジュニア世界選手権だ。「世界選手権での反省点をクリアすることが課題でした。ポイントレースは得意なので今は短距離系を重点的に強化しています。今日はイメージした走りが出来たと思います」と語る。女子は梶原が3種目とも1位で首位だが、上野、塚越など上位陣が最終のポイントレースまで熾烈な争いを繰り広げる。

同時に行なわれた全日本選手権マスターズの写真もフォトギャラリー

結果

オムニアム
女子
スクラッチ 10km
1位 梶原悠未(筑波大付属坂戸高校)
2位 上野みなみ(鹿屋体育大学院)
3位 鈴木奈央(日本競輪学校)

個人追抜 3km
1位 梶原悠未(筑波大付属坂戸高校)3分46秒682 
2位 塚越さくら(鹿屋体育大学院)3分48秒628
3位 上野みなみ(鹿屋体育大学院)3分49秒992 

エリミネイション
1位 梶原悠未(筑波大付属坂戸高校)
2位 上野みなみ(鹿屋体育大学院)
3位 塚越さくら(鹿屋体育大学院)

1日目3種目終了時点途中順位
1位 梶原悠未(筑波大付属坂戸高校)120点
2位 上野みなみ(鹿屋体育大学院)112点
3位 塚越さくら(鹿屋体育大学院)106点

男子
スクラッチ 15km
1位 原田裕成(鹿屋体育大学)
2位 近谷涼(マトリックスパワータグ)
3位 池邊聖(慶應義塾大学)

個人追抜き 4km
1位 橋本英也(鹿屋体育大学)4分26秒763 日本新記録
2位 近谷涼(マトリックスパワータグ)4分30秒087 日本新記録
3位 窪木一茂(チーム右京)4分32秒153 

エリミネイション
1位 窪木一茂(チーム右京)
2位 橋本英也(鹿屋体育大学)
3位 原田裕成(鹿屋体育大学)

1日目3種目終了時点途中順位
1位 橋本英也(鹿屋体育大学)110点
2位 窪木一茂(チーム右京)106点
3位 原田裕成(鹿屋体育大学)106点
4位 近谷涼(マトリックスパワータグ)102点
5位 小林泰正(日本体育大学)88点
6位 一丸尚伍(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)80点


マスターズ
スプリント
40-49歳 1位 水澤耕一(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)
50-59歳 1位 山本哲也(伊豆CSC SMBros.)
60歳以上 1位 羽鳥浩(湘南愛輪会)
女子 1位 濱田真子(湘南愛輪会)

個人パーシュート
女子 2km 1位 小沼美由紀(Ready Go JAPAN)2分43秒682
男子60歳以上 2km 1位 下麦博正(北九州メディアドームCSC)3分13秒206
男子50-59歳 2km 1位 安東秀倫(チーム岡山)2分31秒173
男子40-49歳 3km 1位 羽田野隆彦(スーパーKアスリートラボ)3分43秒555
男子35-39歳 2km 1位 金井慎次(静岡ガス・電力販売始めます)3分58秒463

photo&text:高木秀彰