山口県を舞台にしたロードレースといえば11年間で33回開催を数えるきらら浜クリテリウムが有名だが、昨年からは大星山ヒルクライムと連日でJBCFレースとして開催されている。今年はさらに市民レースとして秋吉台ナイト壁クライムがその1週間後に登場した。



2011年山口国体で使用された秋吉台道路2011年山口国体で使用された秋吉台道路 photo:Hideaki TAKAGI/美祢市実行委員会10月上旬に山口県で3つのレースが行なわれた。それぞれが内容はもちろん歴史も背景も異なる大会。山口県自転車競技連盟が主管するこの3つの大会に共通するのは、2011年に行われた山口国体が契機となっていること。2005年に、6年後の国体を見据えてきらら浜サイクルミーティングが行なわれたのがそもそもの始まり。その山口国体を終えて4年後の今年、新たな大会が開催されている。

今年新たに市民レースとして行われた「秋吉台ナイト壁クライム」は山口県を代表する観光地のひとつ、秋吉台での自転車レース。当地でのレースは近年において、秋吉台道路を使った2011年山口国体ロードレースがあり、秋吉台という抜群のロケーションを誇る地での新たなレースは、当時大いに期待されたものだ。その流れを引く今年の3つの大会を、主催者である棟久明博氏からのレポートで紹介しよう。

10月3日(土)第2回JBCF大星山ヒルクライム

大星山HC E2クラスタ優勝の辻健人(町じて和歌山MKD)大星山HC E2クラスタ優勝の辻健人(町じて和歌山MKD) photo:山口県自転車競技連盟地元の平生町観光協会によって2013年に「大星山サイクルフェスタinひらお」として始まった本大会は昨年よりJBCFのレースも併催されるようになった。コースは全長8km、標高差428mと短いながら終盤に激坂が待ち受ける難コースである。大星山は周囲を瀬戸内海に囲まれ頂上からの景色は通常の山岳地帯のヒルクライムとは異なる趣である。
大星山HC E3クラスタ優勝の李 正明(VC Fukuoka)大星山HC E3クラスタ優勝の李 正明(VC Fukuoka) photo:山口県自転車競技連盟大星山HC JプロツアーのVICTOIRE広島による自転車教室も開かれた大星山HC JプロツアーのVICTOIRE広島による自転車教室も開かれた photo:山口県自転車競技連盟
10月3日(土曜日)の大会当日は晴天に恵まれ、絶好のレース日和となり熱戦が繰り広げられた。翌日には福島県でいわきクリテが開催されるためエントリーが分散してしまう傾向もあったが、大星山の後にはきらら浜クリテが続くということで、ポイントを稼ぐためダブルでエントリーした選手も多かった。E1カテゴリでは富士山や石川で勝っている米内蒼馬(TOKYO VENTOS)がヒルクライムの強さを見せつけた。

結果 

Fクラスタ
1位 中原 恭恵(チェリージャパン) 25分55秒
2位 棟近 陽子(BH ASTIFO) +53 秒
3位 枝光 美奈(VC Fukuoka) + 1分47秒

E1クラスタ
1位 米内 蒼馬(TOKYO VENTOS) 20分25秒
2位 板子 佑士(Life Ride) +12秒
3位 日野 竜嘉(松山聖陵高等学校)+23秒
4位 平野 真一 (TOKYO VENTOS) +24秒
5位 津村 翔平(TOKYO VENTOS) +28秒
6位 松木 健治 (クラブシルベスト)+28秒

E2クラスタ
1位 辻 健人(町じて和歌山MKD) 21分15秒
2位 森 智大(徳島サイクルレーシング)+20秒
3位 高野 翔太(大阪府立大学)+28秒
4位 森 正存(TEAM LUPPI)+41秒
5位 齋藤 俊輔 (Team Kermis Cross)+43秒
6位 和泉 良隆 (徳島サイクルレーシング )+55秒

E3クラスタ
1位 李 正明(VC Fukuoka) 21分28秒
2位 森本 桂太郎(松山聖陵高等学校)+16秒
3位 内田 晋平(チームヤーボー)+18秒
4位 田中 隆太(voyAge cycling team)+33秒
5位 森野 裕太(ネクストリーム・うどん棒)+36秒
6位 藤村 修平(チームヤーボー)+44秒

大星山HC E1クラスタ表彰大星山HC E1クラスタ表彰 photo:山口県自転車競技連盟大星山HC E2クラスタ表彰大星山HC E2クラスタ表彰 photo:山口県自転車競技連盟



10月4日(日)JBCFきらら浜クリテリウム2015秋

秋きらら浜 2時間エンデューロ優勝は地元出身の相本祥政(法政大)秋きらら浜 2時間エンデューロ優勝は地元出身の相本祥政(法政大) photo:山口県自転車競技連盟秋きらら浜 Fクラスタは前日に続いて中原恭恵(チェリージャパン)が優勝秋きらら浜 Fクラスタは前日に続いて中原恭恵(チェリージャパン)が優勝 photo:山口県自転車競技連盟秋きらら浜 E1クラスタ優勝は松木健治(クラブシルベスト)秋きらら浜 E1クラスタ優勝は松木健治(クラブシルベスト) photo:山口県自転車競技連盟今回で4回目を数えるJBCFきらら浜クリテ。会場となるのは山口市阿知須の山口きらら博記念公園だ。荒天に見舞われた春の大会とは打って変わって、秋の大会は穏やかかな天気に恵まれた。しかし、それでも海沿いで周囲に風を遮るものがないコース上では、強い海風が選手を苦しめる。 午前中はきらら浜サイクルミーティング10月大会として、一般の選手が参加するレースが行われ、午後にJBCFのレースが行われた。

午前中の2時間エンデューロでは、地元出身で法政大学自転車競技部所属の相本祥政と、Jプロツアーのヴィクトワール広島の選手たちを招待して行われた。招待選手たちを中心とする先頭集団は徐々に人数を減らし、最終的には4名となり、最後には相本祥政が抜け出して優勝。和歌山国体4Km速度競争7位の実力を見せつけた。相本は地元のジュニアサイクルスポーツクラブ出身で、大学卒業を機に競技から距離を置く意向であるが、節目となる地元のレースに華を添えた。

午後のE2クラスタでは、最後の周回賞を獲りに抜け出した河内一晟(ヴィクトワール広島)がそのまま独走し優勝した。E1クラスタではアタックがかかるものの、決定的な逃げとはならず周回を重ね、最後のゴールスプリントは前回大会優勝者の永山貴浩(チーム・アヴェル)を抑えて、前日の大星山でも入賞した松木健治(クラブシルベスト)が制した。

この大会の元となるきらら浜サイクルミーティングは2005年から行われており、JBCF大会が併催されて2年目、いわきクリテと同日開催にもかかわらず参加者も着実に増加している。これまでレースの少なかった西日本において貴重な大会となっているのだ。また運営面においても、シマノによるニュートラルサポートを受け、コミッセールカーとして排ガスゼロの電気自動車「テスラ モデルS」が導入されるなど、新しい試みがなされている。
秋きらら浜 地元出身 相本祥政(法政大)の引退セレモニー秋きらら浜 地元出身 相本祥政(法政大)の引退セレモニー photo:山口県自転車競技連盟秋きらら浜 E2クラスタ 独走優勝の河内一晟(VICTOIREしまなみ)秋きらら浜 E2クラスタ 独走優勝の河内一晟(VICTOIREしまなみ) photo:山口県自転車競技連盟秋きらら浜 E1クラスタ表彰秋きらら浜 E1クラスタ表彰 photo:山口県自転車競技連盟
結果

Fクラスタ 16.1km
1位 中原 恭恵(チェリージャパン)27分30秒
2位 枝光 美奈(VC Fukuoka)+7秒
3位 棟近 陽子(BH ASTIFO)+13秒

E1クラスタ 32.2km
1位 松木 健治(クラブシルベスト)46分58秒
2位 永山 貴浩(チーム・アヴェル)
3位 津村 翔平(TOKYO VENTOS)
4位 比護 任(SAUCE DEVELOPMENT) +1秒
5位 福田 透(ナカガワAS.K'デザイン)
6位 日野 泰静(チームグロシャ)

E2 クラスタ 23.0km
1位 河内 一晟(VICTOIREしまなみ)34分12秒
2位 田仲 康矢(チームGINRIN熊本)+14秒
3位 中村 誠(チーム岡山)
4位 森 正存(TEAM LUPPI)+15秒
5位 竹内 和城(ネクストリーム・うどん棒)
6位 山口 忠行(VICTOIREしまなみ)

E3-1 クラスタ 16.1km
1位 森本 玄達(SAUCE DEVELOPMENT)24分10秒
2位 三浦 正志(チームヤーボー)+4秒
3位 塩崎 隼秀(チームグロシャ)+5秒
4位 富元 久雄(Honda 栃木)+6秒
5位 岩切 弘輝(津末レーシング)
6位 井上 健志(チームGINRIN熊本)+7秒

E3-2 クラスタ 16.1km
1位 島立 孫行(Honda 栃木)27分56秒
2位 日野 凌羽(チームグロシャ)
3位 堀川 滉太(チーム岡山)
4位 築山 元樹(FREESPEED)
5位 泉 正明(Chevalier. with タカスイ)+1秒
6位 高井 一平(Life Ride)+2秒



10月11日(日)第1回秋吉台ナイト壁クライム

きらら浜クリテのクリテの翌週、10月11日に山口県美祢市の秋吉台で「秋吉台ナイト壁クライム」が開催された。この大会は地元の自転車愛好家が企画し、今年は秋吉台で開催された「ジャパンキャンピグラリー」のイベントの一つとして行われた。(主催はジャパンキャンピグラリー2015実行委員会となる)

日本最大のカルスト台地を舞台としたコースは、台地の端を登る全長2.2kmと短いものの、瞬間的には28%の斜度が現れる「壁」を登るというのがレース名の由来だ。また国内では珍しく夜間開催レースであり、コースの要所に照明と全長に渡ってLED電飾が取り付けられ、幻想的な雰囲気の中で競技が行われた。キャットアイからは賞品提供のほかレンタル用ライトも用意され、参加者をサポートしてくれた。

競技は明るいうちに行われるタイムトライアルの予選上位20名と、敗者復活戦の上位10名によって決勝が行われる形式。マスドスタートの決勝は、日もとっぷりと暮れた19時スタート。結果は予選トップの白石真悟(シマノドリンキング)が貫録を見せつけて優勝した。表彰式では少々肌寒かったが、キャンプファイアーや豪華賞品が当たる抽選会等もあり、アットホームな雰囲気の中で行われた。

結果 2.2km
1位 白石 真悟 6分21秒
2位 中村 義竜 +2秒
3位 森野 裕太 +2秒
4位 木村 寛 +11秒
5位 山下 勝人 +12秒
6位 岡本 順 +15秒

秋吉台ナイト壁クライム 選手へのおもてなし秋吉台ナイト壁クライム 選手へのおもてなし photo:山口県自転車競技連盟秋吉台ナイト壁クライム 決勝では要所に照明が灯された秋吉台ナイト壁クライム 決勝では要所に照明が灯された photo:山口県自転車競技連盟

秋吉台ナイト壁クライム 決勝優勝の白石真悟秋吉台ナイト壁クライム 決勝優勝の白石真悟 photo:山口県自転車競技連盟
3大会を主管した山口県自転車競技連盟 理事・事務局長 棟久明博氏のコメント

山口県自転車競技連盟では、自転車競技の普及・選手育成・競技力向上を一環の事業として進めており、地元での大会の開催を精力的に誘致しています。また、地域密着型クラブの運営等にも積極的に関与していきます。行政主体でのしまなみ海道でのサイクリングなど、サイクリングブームが到来している中国地方でもより多くの方に自転車競技に親しめる環境整備を模索しています。

2015年度は、11月に防府競輪場で西日本地域自転車競技オムニアム大会、2016年1月には下関市で中国シクロクロス、2月に山口市きらら浜でクリテリウム大会を予定しています。2016年度には、より多くの人に親しまれるような新たな自転車競技大会の企画を各方面と練っています。

photo&text:棟久明博/山口県自転車競技連盟
edit:高木秀彰
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の画像 ニッポン快走サイクリングコース BEST20
投稿者: 山と溪谷社
出版社: 山と渓谷社 (2012)
装丁: 単行本(ソフトカバー), 136 ページ