標高1025mの山頂フィニッシュで繰り広げられたアブダビツアー総合優勝を決める登坂バトル。フィニッシュ手前で落車したワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ)をかわし、エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)がステージ優勝とリーダージャージを手にした。



アスタナを先頭にジャベルハフィートを登るメイン集団アスタナを先頭にジャベルハフィートを登るメイン集団 photo:Tim de Waele
逃げるスプリント賞ジャージのアレッサンドロ・バッツァーナ(イタリア、ユナイテッドヘルスケア)逃げるスプリント賞ジャージのアレッサンドロ・バッツァーナ(イタリア、ユナイテッドヘルスケア) photo:Tim de Waele内陸部のジャベルハフィートを目指す1日内陸部のジャベルハフィートを目指す1日 photo:Tim de Waele


残り8kmを切って最初に動いたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)残り8kmを切って最初に動いたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:Tim de Waele4日間の日程で開催されている第1回アブダビツアーの3日目、第3ステージには標高1025mのジャベルハフィート山頂フィニッシュが設定されている。この今大会唯一の本格山岳コースが初代チャンピオンを選び出す。

ニーバリらを振り切るエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)ニーバリらを振り切るエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Tim de Waele逃げを試みたのはスプリント賞ジャージを着るアレッサンドロ・バッツァーナ(イタリア、ユナイテッドヘルスケア)と連日アタックを繰り返しているラファ・シティウイ(チュニジア、スカイダイブドバイ)の2人。しかしメイン集団のスピードが弱まらなかったためタイム差は2分半前後を推移した。スプリントポイントを連取したバッツァーナがスプリント賞だけでなくポイント賞のトップに立っている。

ガッツポーズせずにフィニッシュするエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)ガッツポーズせずにフィニッシュするエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Tim de Waele長い平坦区間を終え、登坂距離12.1km/平均勾配6%/高低差761mのジャベルハフィートの登りが始まるとまもなく先頭2名は吸収される。人数を減らしながらアスタナを先頭に登坂を続ける精鋭集団の中から、頂上まで8kmを切ったところでアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が最初にアタックした。

落車したワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ)が地面を足で蹴ってフィニッシュ落車したワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ)が地面を足で蹴ってフィニッシュ photo:Tim de Waeleバルベルデのアタックは決まらず、続くイル・ロンバルディア覇者ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)の動きも決定打を欠く。するとカウンターアタックでエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)が飛び出し、先頭で単独登坂を開始した。

ステージ優勝を飾ったエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)ステージ優勝を飾ったエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Tim de Waeleチャベスを追撃したのはワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ)とファビオ・アル(イタリア、アスタナ)で、ニーバリやバルベルデは後方の集団に取り残される展開。先頭チャベスはポエルスから18秒、アルから21秒のリードで残り3kmを通過する。頂上が近づくにつれてタイム差は縮まり、残り1kmでついにポエルスがチャベスを捉えた。

アルの追撃は届かずそのまま先頭ではチャベスとポエルスの一騎打ちに。残り200mで一気にポエルスが仕掛けるとチャベスが脱落。そのままポエルスが独走勝利を飾ると思われた矢先、残り50mの最終コーナーに勢いよく突っ込んだポエルスがスリップダウンしてしまう。

ポエルスを上手くかわした後続のチャベスが再びリードし、胸で十字を切りながら先頭でフィニッシュ。2番手にはアルが入り、ポエルスは落胆の表情を浮かべながら3番手でフィニッシュラインを切った。

「登りの後半は勾配が緩いと知っていたので、早めにアタックして独走に持ち込んだ。すると勾配が緩んだところで案の定ポエルスが合流。そのままスプリントで先行されたけど、最終コーナーで彼が落車した。ポエルスには同情するよ。コーナーには砂が浮いていた。両手を挙げて勝利を喜ぶ気分にはならなかった。でもそれもスポーツなんだ」とチャベス。後続とのタイム差に加えてボーナスタイムを得たチャベスがステージ優勝とリーダージャージを同時に獲得した。

自身初のステージレース制覇に王手をかけたチャベス。ブエルタ・ア・エスパーニャでステージ2勝を飾ったコロンビアンクライマーは「12歳で自転車競技を始めた頃からの夢、それはツール・ド・フランスで総合優勝すること。まだツールには出場したこともないし、夢のまた夢だけど、今年は自分のキャリアにおいて重要な1年だった」と語る。2016年シーズンは1つのグランツールに的を絞り、総合成績を狙うと締めくくった。

選手コメントはレース公式リリースより。



リーダージャージに袖を通したエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)リーダージャージに袖を通したエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Tim de Waele


アブダビツアー2015第3ステージ結果
1位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)    3h28’04”
2位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)                 +12”
3位 ワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ)              +21”
4位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)           +31”
5位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、ユナイテッドヘルスケア)
6位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)+1’19”
7位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
8位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、チームスカイ)
9位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
10位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)        +1’30”

個人総合成績
1位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)   10h51’12”
2位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)                 +16”
3位 ワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ)              +27”
4位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、ユナイテッドヘルスケア)    +41”
5位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)
6位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、チームスカイ)           +1’19”
7位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
8位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
9位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)
10位 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・アルゴン18)    +1’40”

ポイント賞
アレッサンドロ・バッツァーナ(イタリア、ユナイテッドヘルスケア)

スプリント賞
アレッサンドロ・バッツァーナ(イタリア、ユナイテッドヘルスケア)

ヤングライダー賞
エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele

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