最大勾配が27%に達する「ソルマーノの壁」が登場する第109回イル・ロンバルディアが10月4日に北イタリアで開催される。ニーバリやバルベルデ、マーティン、ジルベール、クヴィアトコウスキーらが優勝候補に挙がる「落ち葉のクラシック」の見どころをチェックしておこう。



ロンバルディア地方北部の山岳地帯を行くロンバルディア地方北部の山岳地帯を行く photo:Tim de Waele


最大勾配27%の「ソルマーノの壁」が復活

イル・ロンバルディア2015イル・ロンバルディア2015 image:RCS SPORT今年で開催109回目を迎えるイル・ロンバルディア(ジロ・ディ・ロンバルディア)。第1回大会が開催されたのは1905年のこと。ミラノ〜サンレモ(1907年〜)、ロンド・ファン・フラーンデレン(1913年〜)、パリ〜ルーベ(1896年〜)、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ(1892年〜)と並んで「モニュメント」と称される伝統の一戦だ。秋に開催されることから「落ち葉のクラシック(クラッシカ・デッレ・フォリエ・モルテ)」と呼び親しまれている。

マドンナ・デル・ギザッロ教会を通過するマドンナ・デル・ギザッロ教会を通過する photo:Cor Vosレースの舞台となるのはレース名の通りイタリア北部のロンバルディア州。2015年はベルガモをスタートし、山岳地帯を抜けてコモでフィニッシュを迎える245kmコースが用意された。

霧立ちこめるソルマーノの壁(ムーロ・ディ・ソルマーノ)霧立ちこめるソルマーノの壁(ムーロ・ディ・ソルマーノ) photo:Press Ciclismo RCSレースが活性化するのは181.1km地点で登場する名物マドンナ・デル・ギザッロの登りから。サイクリストの聖地として知られるギザッロ教会に向かって、コモ湖畔から8.6kmかけて標高差532mを駆け上がる。平均勾配6.2%/最大勾配14%の登りを終えると、休む間もなく最注目の「ソルマーノの壁(ムーロ・ディ・ソルマーノ)」が登場する。

2012年に50年ぶりに復活し、2014年一旦コースから外れた「壁」が再び選手たちの前に立ちはだかる。登坂距離1.92kmで高低差304mを駆け上がる登りの平均勾配は何と15.8%。道は細く、中腹のヘアピンコーナーの部分は最大勾配が27%に達する。「ソルマーノの壁」通過後のテクニカルなダウンヒルも要注意だ。

コモ湖沿いの平坦路を走った後、残り17km地点でチヴィリオ(登坂距離4.2km/平均勾配9.7%)、残り5km地点でサンフェルモ・デッラ・バッターリア(登坂距離1.9km/平均勾配7.8%)をクリア。例年よりも難易度の高い登りが組み合わされていると言える。

これらの登りでアタックが繰り返され、数名もしくは単独の選手がコモにフィニッシュすることになるだろう。



イル・ロンバルディア2015イル・ロンバルディア2015 image:RCS SPORT


ニーバリ、バルベルデ、マーティンらがシーズン終盤のタイトルを狙う

ヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)ヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Tim de Waele18あるUCIワールドチームにワイルドカードを獲得した8つのUCIプロコンチネンタルチームを加えた25チーム。優勝候補の筆頭はブエルタ・ア・エスパーニャを不甲斐ない形でリタイアしたヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)だろう。ブエルタ覇者ファビオ・アルは欠場するが、ミケル・ランダやミケーレ・スカルポーニ、ディエゴ・ローザらが強力にニーバリをバックアップ。意外にもニーバリにはロンバルディアの優勝どころか表彰台の経験がない。

アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:Kei Tsujiロード世界選手権で5位に入ったアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)は2013年から2年連続2位。シーズンを通して好調を維持するバルベルデは初優勝なるか。2009年と2010年大会の覇者フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)は3勝目を狙う。

2014年大会を制したダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)2014年大会を制したダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ) photo:Tim de Waeleディフェンディングチャンピオンのダニエル・マーティン(アイルランド、キャノンデール・ガーミン)はブエルタでの落車リタイアから復活。同チームで走る最後のレースで連覇を狙う。一方、2012年と2013年大会の覇者ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)はトレーニング中に標識と接触し、膝を負傷したため直前で出場をキャンセルしている。

元世界チャンピオンのミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)やルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)も優勝争いに絡んでくるだろう。過去に3度優勝しているダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)のチームメイトとして山本元喜も出場予定だ。

ブエルタで総合表彰台に登ったラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)や、イェーツ兄弟とともに出場するサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、バウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング)、セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)らも入賞候補者。

フランス勢のワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン)、ティボー・ピノ(フランス、FDJ)、ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)らも登坂力を発揮するはずだ。

text:Kei Tsuji