イーストブロード通りで繰り広げられた9名によるスプリントでリジー・アーミステッド(イギリス)が勝利。與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)は好位置で最終周回を走りながらも、残り3km地点の落車でチャンスを失う結果になった。



観客が詰めかけたリビーヒルパークを進む選手たち観客が詰めかけたリビーヒルパークを進む選手たち photo:Kei Tsuji
気温20度の曇り空の下、135名がスタート気温20度の曇り空の下、135名がスタート photo:Kei Tsuji集団内でレースを進める與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)集団内でレースを進める與那嶺恵理(サクソバンクFX証券) photo:Kei Tsuji


ジェームズ川沿いの平坦路を走るメイン集団ジェームズ川沿いの平坦路を走るメイン集団 photo:Kei Tsujiジュニア男子のフィニッシュから時間を空けずにエリート女子ロードレースがスタート。リッチモンドの16.2km周回コースを8周する全長129.6kmコースはジュニア男子と共通だ。

落ち着いてレースを進めるリジー・アーミステッド(イギリス)落ち着いてレースを進めるリジー・アーミステッド(イギリス) photo:Kei Tsuji太陽の光を遮る分厚い低雲に覆われながらも実際は小雨がぱらつく程度。ジュニア男子と比べると路面コンディションは良好で、「リビーヒル」と「23番通り」の石畳坂はほぼドライな状態が保たれた。

リビーヒルの石畳坂をこなす與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)リビーヒルの石畳坂をこなす與那嶺恵理(サクソバンクFX証券) photo:Kei Tsuji大きなタイム差を得る逃げが生まれないままレースは進み、日本から唯一の参戦となった與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)は集団内で周回をこなす。残り3周に入ったところで一段とペースは上がり、イヴリン・スティーブンス(アメリカ)らのペースアップによって集団は一列棒状に。そこから9名のグループが先行した。

エマ・ヨハンソン(スウェーデン)率いるメイン集団が23番通りの坂を進むエマ・ヨハンソン(スウェーデン)率いるメイン集団が23番通りの坂を進む photo:Kei Tsujiヴァレンティーナ・スカンドラーラ(イタリア)やコリン・リヴェーラ(アメリカ)、マウゴジャータ・ヤシンスカ(ポーランド)をはじめ、各国のサブエースで構成された9名の逃げグループは、メイン集団に対して1分のリードを稼ぎ出すことに成功して残り2周。積極的にアタックしたヤシンスカやスカンドラーラ、ローレン・キッチン(オーストラリア)らが最終周回で抜け出し、オランダやアメリカ率いるメイン集団に対抗し続けた。

逃げグループの後方に迫ったメイン集団逃げグループの後方に迫ったメイン集団 photo:Kei Tsuji残り4kmから始まる「リビーヒル」の頂上を越えた時点でメイン集団に残ったのは約50名の選手たち。集団中程で登りをクリアした與那嶺だったが、続く「23番通り」麓のコーナーで落車してしまう。與那嶺は再スタートを切ったものの、集団からは完全に脱落した。

「23番通り」でメイン集団は逃げていたスカンドラーラとキッチンを捉え、人数を減らしながら残り1kmから始まる「ガヴァナー通り」の登りへ。アーミステッドのアタックによって人数は9名にまで絞り込まれる。そのままアーミステッドを先頭に9名が最終ストレートにやってきた。

コースの左端を走り、右側を走る選手たちの動きに目を配りながら慎重にダンシングするアーミステッド。残り150mでスプリントを仕掛けたアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ)にアーミステッドが反応し、トラックレースで磨いた加速力で先頭へ。抜群のレース運びとスプリントでアーミステッドが初めての世界タイトルを手にした。

アーミステッドは2014年と2015年のUCIワールドカップ年間王者。トラックレースとロードレースを両立する26歳は「今日のレース運びは完璧だった。運にも味方されていた。全ては作戦通りだった。サイクリストにとって夢のタイトルを手にしたなんて変な気分。明日の朝にならないとうまく事態を飲み込めないと思う」と笑顔を絶やさずに語る。

スプリントで敗れたファンデルブレッヘンはタイムトライアルに続いての銀メダル。スプリントで3位に入ったメーガン・グアルニエが開催国アメリカに21年ぶりのメダルをもたらすことに成功した。

残り3km地点で落車した與那嶺は3分33秒遅れでフィニッシュ。頭部を強く打ったことによる脳震盪のためレース後すぐに病院に搬送された。意識はしっかりしており、骨折は無いとの情報だ。



スプリントするリジー・アーミステッド(イギリス)とアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ)スプリントするリジー・アーミステッド(イギリス)とアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ) photo:Kei Tsuji
勝利したリジー・アーミステッド(イギリス)が顔を覆う勝利したリジー・アーミステッド(イギリス)が顔を覆う photo:Kei Tsuji3分33秒遅れでフィニッシュする與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)3分33秒遅れでフィニッシュする與那嶺恵理(サクソバンクFX証券) photo:Kei Tsuji
アルカンシェルに袖を通したリジー・アーミステッド(イギリス)アルカンシェルに袖を通したリジー・アーミステッド(イギリス) photo:Kei Tsuji落車で左右のブラケットが大きく曲がった與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)のバイク落車で左右のブラケットが大きく曲がった與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)のバイク photo:Kei Tsuji




UCIロード世界選手権2015ロードレース エリート女子結果
1位 リジー・アーミステッド(イギリス)       3h23’56”
2位 アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ)
3位 メーガン・グアルニエ(アメリカ)
4位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)
5位 エマ・ヨハンソン(スウェーデン)
6位 ポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス)
7位 カタジナ・ニエビアドマ(ポーランド)
8位 アレーナ・アミアリウシク(ベラルーシ)
9位 ヨランダ・ネフ(スイス)
10位 エレン・ファンダイク(オランダ)         +09”
63位 與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)        +3’33”


text&photo:Kei Tsuji in Richmond, United States of America