日本最大の自転車レースイベント、シマノ鈴鹿ロードレース。2日間に渡って大小様々な種目が行われるホビーレーサーにとっての祭典だ。国内最大のチームTTや、熾烈な争い極めた5ステージスズカなど、ダイジェストでレポートします。



鈴鹿サーキット名物の観覧車をバックに走るホビーレーサーたち鈴鹿サーキット名物の観覧車をバックに走るホビーレーサーたち photo:So.Isobe
通称「シマノスズカ」とロードレーサーの間で呼びならわされるこの大会の舞台となるのは、鈴鹿サーキット。日本で初めての本格的なサーキットであり、F1日本GPやオートバイの鈴鹿8時間耐久といったモータースポーツでも最高峰のイベントをいくつも開催してきた実績のあるコースだ。

西コースを利用する1時間サイクルマラソンや、東コースを利用するユースやTTといったカテゴリー以外は、全長5.8kmの国際レーシングコースを利用する。変化に富んだコーナー、ホームストレートの長い登り、最終コーナーまで続くジェットコースターのような下りまで、バラエティに富んだレイアウトが毎年高い人気を呼んでいる。

規模世界一?371チームがエントリーしたチームタイムトライアル

そんなシマノ鈴鹿ならではの種目がチームタイムトライアルだろう。JCF登録の有無や男女別に2日間で5レースが開催され、今年は総計でなんと371という大変多くのチームが鈴鹿の国際コースを駆け抜けた。特に初日は代わる代わる各チームがスタートしていくため、コースを参加者が埋め尽くす様子はロードレースかエンデューロのよう。こんなにも規模の大きいチームTTは、国内、いや、世界を見回しても他に存在しないかもしれない。

流石の走りを魅せたTeam UKYOがJCF登録の部で優勝流石の走りを魅せたTeam UKYOがJCF登録の部で優勝 photo:So.Isobe表彰台に上がるTEAM 光魂。強豪チームの底力を見せつけた表彰台に上がるTEAM 光魂。強豪チームの底力を見せつけた photo:Masanao.TOMITA

仲間を気遣いながら。これがチームTTの奥深いところ仲間を気遣いながら。これがチームTTの奥深いところ photo:So.Isobe女性チームのエントリーも計27チーム!チームワーク試しにも良いかも女性チームのエントリーも計27チーム!チームワーク試しにも良いかも photo:So.Isobe

熱気に負けない熱い応援もたくさん「あと30回転上げろ!」熱気に負けない熱い応援もたくさん「あと30回転上げろ!」 photo:So.Isobe
日曜日の国際ロードに参加する強豪チームが足慣らしとして参加するJCF登録の部を制したのは、畑中勇介、窪木一茂、湊涼、山本隼と強豪を揃えたTeam UKYO。トップ8までを国内外招待選手が占めたが、その次にランクインしたのはホビーチームの「侵略!!!」だった。

そして2周で争われるJCF未登録の部を制したのは、中部の強豪ホビーチームとして名高い「TEAM 光魂」。國本英典、山内譲太、福代直希、加藤淳一というメンバーで2日間2レースを走り、どちらでもトップタイムを叩き出すという完全勝利を成し遂げた。チーム光は他にも上位入賞を出すなど、流石の走りを見せつけることになった。

第1ステージ ⼩⻄悠貴(クラブシルベスト)がスプリントを制しリーダーに立つ第1ステージ ⼩⻄悠貴(クラブシルベスト)がスプリントを制しリーダーに立つ photo:Masanao.TOMITA第3ステージ トップタイムでゴールしたDESTRA第3ステージ トップタイムでゴールしたDESTRA photo:So.Isobeリーダージャージ擁するクラブシルベストは16秒差の2位にリーダージャージ擁するクラブシルベストは16秒差の2位に photo:Masanao.TOMITA日本各地の強豪チームが集結した 5ステージ・スズカ

2日間で個人・チームタイムトライアルとロードレースの計5つのステージを戦い抜くステージレース形式の種目が「5ステージ・スズカ」。5周回29.1kmのロードレース、2.2kmの東ショートコースを1周回する個人TT、フルコース4周回23.3kmのチームTT、東ショートコース5周回11.2kmのロードレース、フルコース7周回40.8kmのロードレースを1チーム3〜6人で消化する、まさに総合力が問われる難関ステージレースだ。

29.1kmで争われた第1ステージでは、シルベストサイクル梅田店のフィッターとして腕を振るう⼩⻄悠貴(クラブシルベスト)がスプリントを制しリーダーに。第2ステージのショート個人TTでは桜台レーシングチームの山下雅典がトップタイムを出したが、第1ステージで3位に入りボーナスタイムを確保していた松木健治(クラブシルベスト)が総合首位に立つ。

そして初日の最終種目であるチームTTでリーダージャージを守るクラブシルベストはDESTRAに次ぐ2位に。タイム差が16秒ついたことで、DESTRAの奥村隆平が9秒差で総合首位に立ち翌日を迎えることとなった。

明けた日曜日。東ショートコースを5周する第4ステージでは佐竹勝弘(大垣ピストンズ梅 ウエサカ)が先着し、総合2位の松木も中間スプリントでボーナスタイムを獲ったものの、総合首位の奥村までは6秒届かない。緊迫したタイム差で最終ステージを迎えることになる。

午後にスタートを切った第5ステージは、フルコースを7周回(40.8km)する長丁場。通例通り集団スプリントに持ち込まれるかと思いきや、チーム総合優勝を狙う桜台レーシングチームが攻撃に出る。

桜台の3名(山下雅典、渥美守弘、高橋伸成)の動きには天狗党なども同調し、ここに遅れてステファノ・ジョルダノ(FAST LANE Racing)もジョイン。この時点で総合9位に付けるステファノにとっては大きなチャンスだ。

第5ステージ 桜台レーシングが逆転を賭けて総攻撃を仕掛ける第5ステージ 桜台レーシングが逆転を賭けて総攻撃を仕掛ける photo:So.Isobe
単独で合流に成功したステファノ・ジョルダノ(FAST LANE Racing)単独で合流に成功したステファノ・ジョルダノ(FAST LANE Racing) photo:So.Isobe第5ステージ クラブシルベストやDESTRAがメイン集団を引っ張り上げる第5ステージ クラブシルベストやDESTRAがメイン集団を引っ張り上げる photo:So.Isobe


独走でフィニッシュに飛び込むステファノ・ジョルダノ(FAST LANE Racing)。総合優勝を手に入れる独走でフィニッシュに飛び込むステファノ・ジョルダノ(FAST LANE Racing)。総合優勝を手に入れる photo:Masanao.TOMITA個人総合優勝を果たしたステファノ・ジョルダノとFAST LANE Racingチームメンバー個人総合優勝を果たしたステファノ・ジョルダノとFAST LANE Racingチームメンバー photo:Gakuto.Fujiwara結局メイン集団をDESTRAらが必死に牽引したものの合流叶わず、先行グループは40秒差で逃げ切り勝利。この中から2秒先着したステファノがボーナスタイムも確保し、これまでのタイム差争いをひっくり返して総合優勝を決めた。

優勝したステファノは独走力に優れ、TTレースでも好成績を収めている選手。「僕はタイムトライアルが得意なので、第5ステージは最初の4周まで集団にいて、その後逃げるという作戦でした。逃げに乗ってからも力が余っていたので、それを使いきるまで全力を出しました。今年のFAST LANE Racingはとても強いチーム。チームワークを持って僕をサポートしてくれました。このサポートが今回のレースで非常に重要でしたし、1日目終了時に戦略について何回も教えてくれたので、僕は勝つことができたと思います。チームメイトのおかげです。ありがとう」とチームへの感謝を語った。

一方で総攻撃を仕掛け、逃げ切りを掴んだ桜台レーシングチームはチーム総合優勝に輝いた。第2ステージで優勝したものの、チームTTではトップから47秒遅れと失敗。一発逆転のチャンスを見事に手に入れた。「FAST LANE Racingは個人総合優勝も掛かっていたので上手く同調できました。逃げグループを作った後は、後ろに残ったメンバーが集団を抑えてくれていたので、まさにチームでつかみとった勝利です」とレース後に喜びを語った。

text:So.Isobe
photo:So.Isobe,Masanao.TOMITA


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