昨年、キャノンデールが発表したハードテールXCバイク、F-Si。既成概念を突き崩す走行性能を手に入れたレーシングバイクに、カーボン素材を変更し手を届きやすくしたミドルグレードとアルミモデルが登場した。



キャノンデール F-Si CARBON2キャノンデール F-Si CARBON2 photo:So.Isobe
ここ数年、激しさを増すXCレースコースに対応すべく、キャノンデールが4年の歳月をかけて開発したピュアレーシングバイク、「F-Si」。よりテクニカルで一つのミスが命取りになるような下りセクションと、登り区間でのハードなインターバルが勝負を決める今のXCシーンで最高の性能を発揮すべく設計されたマシンだ。

従前の主流であった、軽量・高剛性のバイクを作るだけでは通用しなくなったレースシーンにおいて、「ハンドリング」と「トラクション」という二つの要素にフォーカスして開発されたF-Si。そのために、キャノンデールはフレーム単体ではなく、フレーム、フォーク、ドライブトレイン、ホイールを統合的に設計したシステムインテグレーション(Si)を推し進めることとした。具体的には専用設計のLefty2.0フォークやオフセットしたドライブトレインがシステムとしてトータルで設計されることで、これらの性能を高い次元で実現している。

100mmストロークのLefty2.0 XLRが装着される100mmストロークのLefty2.0 XLRが装着される photo:So.IsobeリモートロックアウトのLeftyを装備するF-Si CARBON2リモートロックアウトのLeftyを装備するF-Si CARBON2 photo:So.Isobeリア三角が6mm右側にオフセットされるアシンメトリックインテグレーション(Ai)デザインリア三角が6mm右側にオフセットされるアシンメトリックインテグレーション(Ai)デザイン photo:So.Isobe


まず、適正なハンドリングを実現するために、ジオメトリーの最適化を行ったキャノンデール。そのためにフロント回りに大きく手が入れられた。ヘッドチューブを寝かし、フォークオフセットを55mmに増加させることで、高速時の安定性と低速時の俊敏性を最高のバランスで実現した。

そして、F-Siのキモとも言えるのが左右非対称のドライブトレイン。アシンメトリックインテグレーションと名付けられたこの画期的な設計は、フレームのリアセクションとドライブトレインを左右非対称にオフセットするというもの。具体的にはチェーンリング、FD、リアエンド全体が右側に6mmオフセットされている。そのままでは右側へとずれてしまうリアホイールは、スポークの長さを左右で揃えることでリムの位置自体はフレームのセンターに来るように調整される。

この設計により、26インチバイクに匹敵するショートチェーンステーを実現。大幅な旋回性能の向上を果たし、スイッチバックの続く、テクニカルなトレイルでもキビキビと走り抜けることができるように進化した。また、後輪がライダーの直下に近づくことでより多くの荷重をかけることができ、トラクションとグリップの増大につながる。

キャノンデール F-Si ALLOY 1キャノンデール F-Si ALLOY 1 photo:So.Isobe
そして、ホイールの左右のテンションバランスが均等化されることにより、剛性面で不利な29インチホイールのデメリットを打ち消すことに成功している。このバランスの改善により最高60%近くの剛性アップを果たし、コーナーリングでの安定感やアタック時の反応性が向上している。

革新的な構造を持つF-Siだが、今年は更なる進化を遂げた。ポジション出しに悩む身長の低いライダーのために、Sサイズのバイクは27.5インチ仕様とされるのだ。これにより、全てのライダーが最適なフィッティングを得ることが出来ることとなった。そして用意されるラインアップが一気に拡充され、シリアスレーサーだけが手にすることのできたその性能がより多くの人の手が届くようになった。

溶接痕も美しいのは流石キャノンデール溶接痕も美しいのは流石キャノンデール photo:So.Isobeクラウン上に設置されたボタンでロックアウトを制御するクラウン上に設置されたボタンでロックアウトを制御する photo:So.Isobe

シートチューブはフレアしており横剛性がいかにも高そうなルックスシートチューブはフレアしており横剛性がいかにも高そうなルックス photo:So.IsobeアルミながらS.A.V.E機能を持つチェーンステーアルミながらS.A.V.E機能を持つチェーンステー photo:So.Isobe


フラッグシップとなるのは、昨年同様にラインアップされるF-Si CARBON Hi-mod。軽量で高強度なHi-MODバリステックカーボンを使用し、トップレースでも十分対応するハイエンドモデル。カーボンアウターレッグのレフティー2.0と専用のマヴィック クロスマックスSLホイールで武装したピュアレーシングバイクだ。価格は750,000円。

F-Si CARBON 4F-Si CARBON 4 (c)キャノンデールF-Si ALLOY 3F-Si ALLOY 3 (c)キャノンデールそして、新登場のF-Si CARBON。キャノンデールの誇るバリステックカーボンを使用しながら、価格を抑えたミドルグレードとしてF-Siのエッセンスを凝縮したバリューモデルだ。スラム X01 1x11を採用し、カーボンホイールを装着した上位グレードのF-Si CARBON2と、XT 2x10にアルミホイールを装備した弟分のF-Si CARBON4が用意される。価格はそれぞれ560,000円と350,000円。

F-Siシリーズの末弟となるのが、アルミモデルのF-Si ALLOY。F-Si ALLOYはオフセットドライブトレインこそ採用していないものの、そのほかの要素はカーボンモデルから全て引き継いでいる。アルミニウムを扱わせれば右に出るものがいない、キャノンデールによるチュービングによって、カーボンモデルと遜色のない性能を持つエントリーグレードとなっている。

2x10sのXT/SLX/デオーレのミックスコンポを採用し、レフティー2.0をフロントフォークへと採用した上位モデルF-Si ALLOY1と、同じくミックスコンポながらフロントフォークをロックショックスのReconへと変更したF-Si ALLOY3がラインアップされる。価格はそれぞれ275,000円と190,000円。



F-Si CARBON Hi-MOD1
フレーム:Hi-modバリステックカーボン
サイズ:SM、MD、LG
フォーク:Lefty Carbon XLR2.0 100
メインコンポ:スラム X01
ホイール:マヴィック CROSSMAX SL Ai
税抜価格:750,000円

F-Si CARBON2
フレーム:バリステックカーボン
サイズ:SM、MD、LG
フォーク:Lefty XLR2.0 100
メインコンポ:スラム X01
ホイール:キャノンデール C Zero Carbon
税抜価格:560,000円

F-Si CARBON4
フレーム:バリステックカーボン
サイズ:SM、MD、LG
フォーク:Lefty XLR2.0 100
メインコンポ:シマノ XT/SLX/DEORE
ホイール:スタンズ ZTR Rapid
税抜価格:350,000円

F-Si ALLOY1
フレーム:スマートフォーミングアルミ
サイズ:SM、MD、LG
フォーク:Lefty PBR2.0 100
メインコンポ:シマノ XT/SLX/DEORE
ホイール:スタンズ ZTR Rapid
税抜価格:275,000円

F-Si ALLOY3
フレーム:スマートフォーミングアルミ
サイズ:SM、MD、LG
フォーク:ロックショックス Recon Gold TK 100mm
メインコンポ:シマノ XT/SLX/DEORE
ホイール:スタンズ ZTR Rapid
税抜価格:190,000円


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