ディフェンディングチャンピオンで地元チームの佐野淳哉(那須ブラーゼン)、2012年チャンピオンの土井雪広(チーム右京)をはじめ強豪が群雄割拠する男子エリート。女子はTTで1位2位の與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)と萩原麻由子(Wiggle HONDA)が一騎打ち。頂点に立つのは誰か?



ロードレース日本一を決める全日本自転車競技選手権大会ロード・レース(主催:日本自転車競技連盟)が6月27日(土)、28日(日)の2日間にわたって栃木県那須町で行なわれる。すべての選手が照準を合わせ言い訳の許されないこれぞ頂上決戦。各クラスの有力選手を中心に見どころを紹介しよう。

2014年見事復活優勝の佐野淳哉(那須ブラーゼン2014年見事復活優勝の佐野淳哉(那須ブラーゼン photo:Makoto AYANO2014年大逆転勝利の萩原麻由子(Wiggle HONDA)2014年大逆転勝利の萩原麻由子(Wiggle HONDA) photo:Hideaki TAKAGI

コース

2015年全日本ロード那須会場 断続的に現れる小さな上りは破壊力がある2015年全日本ロード那須会場 断続的に現れる小さな上りは破壊力がある photo:Hideaki TAKAGI必勝体制で臨む2012年チャンピオンの土井雪広(チーム右京)必勝体制で臨む2012年チャンピオンの土井雪広(チーム右京) photo:Hideaki TAKAGITTで僅差の2位と好調の増田成幸(宇都宮ブリッツェン)TTで僅差の2位と好調の増田成幸(宇都宮ブリッツェン) photo:Hideaki TAKAGI完全復帰の西薗良太(ブリヂストンアンカー)が狙うのは頂点のみ完全復帰の西薗良太(ブリヂストンアンカー)が狙うのは頂点のみ photo:Hideaki TAKAGINIPPOヴィーニファンティーニは逃げで山本元喜、スプリントで黒枝士揮が狙うNIPPOヴィーニファンティーニは逃げで山本元喜、スプリントで黒枝士揮が狙う photo:Kei TSUJI栃木県那須町那須町スポーツセンターを発着点とする1周16.0kmの丘陵地帯のコース。コース前半は1箇所の上りを含む、おおむね下り基調。中盤以降は5箇所ほどの短い上りがあり、最高地点がスタート/フィニッシュ地点というレイアウト。それぞれの上りは標高差30~40m、距離500~900m、勾配4~7%程度と小さい。だがそれがコース後半に集中し、ピーク地点直後が平坦だったり上ったほどには下らず結局は休めない上りだ。ここで毎周回毎回アタックがかかれば間違いなく集団は崩壊し強者しか残れない。

テクニカルな下り区間こそ無いが、勝ちたい選手にとっては自分の長所で攻めることのできるコース。一般的にはパンチャータイプの選手が有力だが、スプリンターや場合によっては独走力のあるクライマーにも向くもので、いわばどんなタイプの選手にも勝つチャンスのあるコースといえよう。
2日間ともに天気予報は雨模様。どのクラスも国内最長距離でのレースであり、悪条件下で体力の限界を試されるレースになる。タイヤの選択など機材面と、雨天長時間での補給体制などスタッフも重要な戦力となる。

男子エリート

今大会に全日本チャンピオン経験者が3人出場する。2014年の佐野淳哉(那須ブラーゼン)、2012年の土井雪広(チーム右京)そして2002年の鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)だ。この中では土井がここにいたるまで最も調子を上げており、チームも本人も必勝体制で臨む。佐野は今シーズン結果が出ていなかったが、1週間前の全日本TTで30秒差の5位に入っており急速に調子を上げている。昨年もレースを追うごとに調子を上げていた佐野。チームTTでも常に優勝争いをするほどに成長した那須ブラーゼン。チームの地元での開催に佐野もチームも連覇達成の強い意思で臨む。

増田成幸(宇都宮ブリッツェン)、西薗良太(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)、山本元喜(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)は登坂力・独走力をそなえ脚質はやや似る。小集団のスプリントもこなす。TTで3秒差の2位となった増田は、地元チームとして抜群のチームワークで日本一を目指す。TTでその増田にわずか0秒13差で3位の西薗は今シーズンに復活したがすでにフィジカルではトップレベル。山本は海外2年目で厳しい経験を多く積んできた。エリート初年度の昨年は3位。1週間前のTTでは本人も想定外の37秒差6位に甘んじたがリベンジを狙うはず。

中根英登と中島康晴(愛三工業レーシングチーム)はUCIレースで結果を出してきた。4月のツアー・オブ・タイランド個人総合優勝の中島。中根は5月のツール・ド・熊野では優勝できる位置にいたが総合4位。早川朋宏とともにここ一発に強い中根に期待。内間康平(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)、昨年2位の井上和郎は初山翔らとともに展開をつかむ走りをするだろう。

さらにTTチャンピオンの中村龍太郎(イナーメ信濃山形)、入部正太朗(シマノレーシング)、畑中勇介・窪木一茂(チーム右京)、黒枝士揮(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)、武井亨介(FORZA・YONEX)、野中竜馬・伊丹健治(キナンサイクリングチーム)らが挙げられよう。

女子エリート

ディフェンディングチャンピオンの萩原麻由子(Wiggle HONDA)と、1週間前のTTチャンピオン與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)の一騎打ちの可能性が高い女子エリート。2012年2位で突如出現し2013年チャンピオンの與那嶺と、2010年から昨年含めて4度のタイトルを手にしている萩原。1週間前のTTで與那嶺は萩原に58秒、35分ほどのレースなので比率では約3%の差をつけて勝っている。この3%は大きな差と見るのが自然だ。與那嶺がTTの勢いでそのままいくのか、萩原がその差を返すのか、大きな見どころだ。

UCI1クラスのGooik-Geraardsbergen-Gooikで3位の萩原麻由子(Wiggle HONDA)UCI1クラスのGooik-Geraardsbergen-Gooikで3位の萩原麻由子(Wiggle HONDA) (c)Bart Hazen / Wiggle Honda2015全日本TTチャンピオンとなった與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)2015全日本TTチャンピオンとなった與那嶺恵理(サクソバンクFX証券) photo:Makoto AYANO

続くのはそのTTでも3位の金子広美(イナーメ信濃山形)が堅い。しかし上位陣が終盤まで牽制しあう展開が続く場合はさらに候補は広がる。2009年チャンピオンの西加南子(LUMINARIA)、この6月に3勝している大学生ナンバーワンの樫木祥子(ニールプライド南信スバル)。さらに崎本智子(ナカガワAS.K'デザイン)、針谷千紗子(Live GARDEN Bici Stelle)、吉川美穂・牧瀬翼(ASAHI MUUR ZERO)、中原恭恵(チェリージャパン)、江藤里佳子(鹿屋体育大学)らが挙げられる。

男子U23

アジア選手権ロードU23を制した小石祐馬(右から2人目、CCT p/b チャンピオンシステム)。ほかメンバーも強力なライバルだ(EQADSはエリートに出場)アジア選手権ロードU23を制した小石祐馬(右から2人目、CCT p/b チャンピオンシステム)。ほかメンバーも強力なライバルだ(EQADSはエリートに出場) photo:Sonoko TANAKA現アジアチャンピオンであり1週間前のU23TTも制した小石祐馬(CCT p/b チャンピオンシステム)が最有力。対するはU23TT2位の山本大喜(鹿屋体育大学)、そして昨年2位でインカレロード連覇中の徳田優(鹿屋体育大学)、U23TT3位の小林海(RMO-Construcucciones PAULINO CYCLING TEAM)がレース経験豊富でトップの座を狙う。

さらに学生個人ロードチャンピオン浦佑樹(東京大学)、黒枝咲哉・馬渡伸弥(鹿屋体育大学)、小林泰正(日本体育大学)、岡本隼(和歌山県)、横山航太(シマノレーシング)、雨澤毅明(那須ブラーゼン)、城田大和(宇都宮ブリッツェン)、秋田拓磨(朝日大学)、広瀬樹(中央大学)、田窪賢次(マトリックスパワータグ)、そしてU23として1年目の松本祐典(明治大)、小山貴大(シマノレーシング)、孫崎大樹(早稲田大)、草場啓吾(日本大)も注目だ。

男子ジュニア

レース経験の豊富な石上優大(横浜高校)。2015年3月の高校選抜ロードよりレース経験の豊富な石上優大(横浜高校)。2015年3月の高校選抜ロードより photo:Hideaki TAKAGIJCF強化指定選手たちがぶつかりあう男子ジュニア。TTは2秒95差の2位に甘んじたが、実力と経験そして展開を作る能力に秀でるのは石上優大(横浜高校)。対抗するのは1週間前のTTチャンピオン大町健斗(安芸府中高校)、3月の高校選抜ロードで石上に続いて2位の日野竜嘉(松山聖陵高校)、同3位の中村圭佑(昭和第一学園高校)。

さらに昨年のU17チャンピオン沢田桂太郎(東北高校)、同2位吉岡衛(奈良北高校)、早生まれの水谷翔(シマノレーシング)と冨尾大地(鹿屋体育大学)、渡邉歩(学校法人石川高校)、小野康太郎(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)、徳田匠(北桑田高校)、安田開(日本体育大)、安川義道(榛生昇陽高校)らが挙げられる。

女子ジュニア+女子U17

アジア選5冠の梶原悠未(筑波大学附属坂戸高校)が最有力候補。その力はもはやエリートの領域にまで比較されるほど。TTでも優勝し体調を合わせてきている。そのTTで梶原と24秒差の小差に留めて2位と健闘したのは細谷夢菜(浦和工業高校)。細谷は昨年のU17で優勝、今年3月の高校選抜で梶原に続いて2位に入っており、無敵の梶原との対決が見ものだ。

2014年全日本選手権 ジュニア優勝の梶原悠未(筑波大学附属坂戸高校)とU17優勝の細谷夢菜(浦和工業高校)2014年全日本選手権 ジュニア優勝の梶原悠未(筑波大学附属坂戸高校)とU17優勝の細谷夢菜(浦和工業高校) photo:Satoru KATO2015全日本TT U17+U15、地元栃木での優勝を果たした小野寺慶(ブラウブリッツェン)2015全日本TT U17+U15、地元栃木での優勝を果たした小野寺慶(ブラウブリッツェン) photo:Yuya YAMAMOTO

男子U17+U15

地元でTTを制した小野寺慶(ブラウブリッツェン)が有力候補。TTでは18分ほどのレースで2位に41秒もの大差をつけて圧勝。続くのは日野泰静(チームグロシャ)、山内渓太(Team-DADDY)、三宅大春(北桑田高校)、奥村十夢(榛生昇陽高校)、蠣崎優仁(伊豆総合高校)ら。

2日間で決まるすべてのクラスの全日本チャンピオン。今週末は那須へ行こう。

text:高木秀彰



会場
那須町スポーツセンター周辺特設ロードレースコース(16.0 km/周) 栃木県那須郡那須町大字寺子乙2516 番地36

日程
6月27日(土) 男子U17+U15,女子ジュニア+U17,男子U23,男子ジュニア・レース
08:00~08:45 女子J+U17,男子U17+U15,J,U23 コース試走 那須町特設コース
08:00~ 競技役員集合・打合せ 那須町文化センター:小ホール
08:00~08:40 女子ジュニア+U17,男子U17+U15 サインチェック 那須町スポーツセンター:駐車場
08:30~ 道路規制開始・役員業務開始 那須町特設コース
08:30~08:45 ドライバーズ・ミーティング 那須町スポーツセンター:駐車場
08:50~ 開会式(女子ジュニア+U17,男子U17+U15) スタート地点
09:00 男子U17+U15 スタート 4 周 64.0 km
09:05 女子ジュニア+U17 スタート 3 周 48.0 km
10:30~11:10 男子ジュニア,男子U23 サインチェック 那須町スポーツセンター:駐車場
11:20~ 開会式(男子ジュニア,男子U23) スタート地点
11:30 男子U23 スタート 10 周 160.0 km
11:35 男子ジュニアスタート 7 周 112.0 km
11:50~ 表彰式(女子ジュニア+U17,男子U17+U15) 特設ステージ
16:15~(予定) 表彰式(男子ジュニア,男子U23) 特設ステージ
16:15~16:45 男子エリート+女子 ライセンス・コントロール 那須町文化センター・小ホール
17:00~17:30 男子エリート+女子 ライダーズ・ミーティング 那須町文化センター・小ホール
17:00~ 競技役員ミーティング 那須町文化センター・小ホール
17:30~17:45 メディア・ミーティング 那須町文化センター・2F メディア・ルーム

6月28日(日) 男子エリート,女子エリート・レース
08:00~08:30 競技役員集合・打合せ 那須町文化センター・小ホール
08:00~08:40 男子エリート+女子エリート サインチェック 那須町スポーツセンター:駐車場
08:00~08:45 女子エリート,男子エリート コース試走 那須町特設コース
08:30~ 道路規制開始・役員業務開始 那須町特設コース
08:30~08:45 ドライバーズ・ミーティング 那須町スポーツセンター:駐車場
08:50~ 開会式(男子エリート,女子エリート) スタート地点
09:00 男子エリート スタート 15 周 240.0 km
09:05 女子エリート スタート 8 周 128.0 km
15:40~(予定) 表彰式(男子エリート,女子エリート) 特設ステージ

以上JCF資料より