メリダが誇るフルサスXCバイクのフラッグシップ「NINETY-SIX」がフルモデルチェンジ。その最大の特長はサイズによってホイール径を変更しジオメトリーを最適化したことで、5サイズの内SとMは27.5インチ、M~XLは29インチとされている。カーボン化を果たしたオールマウンテンモデル「ONE-TWENTY CARBON」と共に紹介する。



メリダ NINETY-SIX

メリダ NINETY-SIX TEAMメリダ NINETY-SIX TEAM (c)ミヤタサイクル
「NINETY-SIX(ナインティ・シックス)」はメリダが誇るフルサスXCレーシングマシン。「コースの険しさが増すワールドカップにおいて選手の負担を最小限に抑えること」をコンセプトに、2007年に初代がデビューする。そして、数多くのレースで輝かしい成績を残したと同時に、ドイツの自転車雑誌が行うバイクアワードにて革新的な製品に送られるマイルストーン賞を受賞。2011年にはサスペンションに仕様変更が施された2代目が登場し、一旦はラインアップから外れたものの丁度デビューから10年の節目となる2016モデルとして復活。新型となる3代目が発表された。

メリダ開発責任者のユルゲン・ファルケ氏メリダ開発責任者のユルゲン・ファルケ氏 (c)ミヤタサイクル3代目「NINETY-SIX」の最大の特徴はフレームサイズに応じてホイール径を変更したことにある。「ライダーの身長に応じてジオメトリーを最適化するため」とは開発責任者であるユルゲン・ファルケ氏の言葉で、5サイズがラインアップされる内、 SとMは27.5インチホイール、M~XLは29インチとされている。Mサイズは27.5インチと29インチの両ホイールサイズから好みに合わせてチョイスすることが可能だ。

27.5インチのフルサスXCレーシングバイクはメリダとしては初で、29インチに対してハンドル位置を低くできることから、フロントへより多く加重することが可能になり、操作性が向上。加えて、つま先とホイールのクリアランスが拡大し、スタンドオーバーハイトが低くなるなどの利点を有す。ジオメトリーはそれぞれのサイズに最適化されており、サイズ間の走行性能の差異は無いという。

リアサスペンションの配置は2代目のNINETY-SIXを踏襲し、XCレースに最適化し本体をトップチューブにマウントする「Race Link」レイアウトとしている。トラベル量は29インチが96mm、27.5インチが109mm。リヤサスペンションリンク部はフルカーボン製とし、軽量化を追求した。

ディレーラー、ブレーキ、サスペンションと煩雑になるケーブル類を全てフレーム内に収納する「Smart Entry」ディレーラー、ブレーキ、サスペンションと煩雑になるケーブル類を全てフレーム内に収納する「Smart Entry」 (c)ミヤタサイクルリアサスペンション本体をトップチューブにマウントする「Race Link」レイアウトリアサスペンション本体をトップチューブにマウントする「Race Link」レイアウト (c)ミヤタサイクル


また、ディレーラー、ブレーキ、サスペンションと煩雑になるケーブル類をフレーム内に収納することで不意の断線を防ぐ「Smart Entry」も新型NINETY-SIXの大きなトピックの1つ。シマノXTR Di2の電動ケーブル内装や、ドロッパーシートポストにも対応している。そして、フレームへの出入口に設けられたプラスチック製ワイヤーガイドがケーブルをしっかりと固定するため、フレーム内部にガイドが必要なく、無駄な重量の増加は無いとのこと。

フレーム素材は通常使用するカーボンに比べ20%軽量で10%高剛性な最高峰のCF5とし、スイングアームはグレードによって素材が異なる。ラインアップはCF5カーボン製スイングアームを採用するチームモデル「NINETY-SIX TEAM」と、アルミ製リアトライアングルや11速化を果たした新型シマノXTをアッセンブルした「NINETY-SIX XT」の2モデル。それぞれ27.5インチモデルと29インチモデルで計4車種が用意される。

ガレたダウンヒルを攻めるトーマス・リッシャー(スイス)ガレたダウンヒルを攻めるトーマス・リッシャー(スイス) (c)ミヤタサイクルワールドカップ第2戦で2位表彰台を獲得したガン・リタダール(ノルウェー)ワールドカップ第2戦で2位表彰台を獲得したガン・リタダール(ノルウェー) (c)ミヤタサイクル


新型NINETY-SIXは、5月29日~31日にかけてドイツ・アルプシュタットにて行われたワールドカップ第2戦にて既にレースデビューを飾っている。トーマス・リッシャー(スイス)らマルチバン・メリダ・バイキングチームの多くのライダーが使用した。



メリダ ONE-TWENTY CARBON

メリダ ONE-TWENTY CARBONメリダ ONE-TWENTY CARBON (c)ミヤタサイクル
シングルピボットと「FLOAT LINK」を組み合わせた独自のM.O.R.Eシステムを採用シングルピボットと「FLOAT LINK」を組み合わせた独自のM.O.R.Eシステムを採用 (c)ミヤタサイクル軽量でトラクションに優れたヒルクライム、シングルトラックでの軽快なハンドリング、超高速でも安定したダウンヒル性能など、オールマウンテンMTBに求められる要素を妥協無く実現したのが「ONE-TWENTY」シリーズ。昨今流行のエンデューロから山遊び、ツーリングまで幅広く対応するバイクだ(アルミモデルのインプレッションはこちらから)。

そんな、メリダを代表するバイクとして注目を集めるオールラウンドMTBにカーボンモデルが登場。様々なコンディションに適応する懐の深い乗り味をそのままに、アルミモデルに対して400gの軽量化を達成。また、上記のNINETY-SIX同様にフレームサイズに応じてホイール径が変更されており、5サイズがラインアップされる内、 S~Lは27.5インチホイール、M~XLは29インチとされている。なお、M及びLサイズは27.5インチと29インチの両ホイールサイズから好みに合わせてチョイスすることができる。

リアサスペンションは2015ラインアップのアルミモデルを踏襲しており、シングルピボットと「FLOAT LINK」を組み合わせた独自のM.O.R.Eシステムを採用。フルサスバイクに起こりがちだったボビングやダウンヒルでのダイブを解消し、トラクションに優れた走りを可能に。NINETY-SIXと同じくディレーラー、ブレーキ、サスペンションと煩雑になるケーブル類をフレーム内に収納することで不意の断線を防ぐ「Smart Entry」が採用される。フロントディレーラーハンガーはパーツアッセンブルに合わせて取り外し可能だ。



ーインプレッション

2016年のニューモデルであるNINETY-SIXとONE-TWENTY CARBON。下記には、ワールドカップが行われたコースの一部を使用しテストしたライター/フォトグラファーの岩崎竜太氏による試乗インプレッションを紹介する。

NINETY-SIX
ワールドカップのコースの一部を使用して行われたテストライドワールドカップのコースの一部を使用して行われたテストライド (c)ミヤタサイクルメリダのラインナップにおいてピュアレーシングバイクという位置付けで、マルチバン・メリダ・バイキングチームの選手たちが使用するこのバイクは、ファンライド派の私の様なライダーであっても十分にその性能を体感することができる。 今回試乗したのは、NINETY-SIX TEAMのMサイズ/29インチ。ホイール径が大きいながらも、こぎ出しも急勾配の登りも非常に軽快であった。

そして、下りでの安定感は特筆もの。XCバイクでありながら、ノブが高くワイドなタイヤを履かせたバイクに乗っているようなグリップ感があり、 オフキャンバーでも普段よりスピードを乗せたままバイクを寝かせて走ることが可能です。 また、落差の大きな下りでハイスピードなシチュエーションであっても、バイクが暴れず、コントロールを失うことがありませんでした。

ONE-TWENTY CARBON
オールマウンテン系のバイクでありながら。上りでも思いのほか重さを感じないというのが第一印象。装着しているドロッパーシートポストにより、ポジションの変更が容易であることもその一因ですが、“セミマラソンバイク”とエンジニアが話す様に、フレームがカーボンになった恩恵は大きいですね。下りでの安定感は非常に高く、普段よりスピードが出てしまう一方で、コーナー中にブレーキを握っても挙動が乱れず、安定して抜けることができました。

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