様々な思惑と感情が入り交じった休息日空けの第16ステージ。パンクでストップした際に置き去りにされたアルベルト・コンタドールは、「何が正しいとか間違っているとか言うつもりはない」と明確なコメントを避けています。



ステージ優勝を果たしたミケル・ランダ(スペイン、アスタナ)

祝福のキスを受けるミケル・ランダ(スペイン、アスタナ)祝福のキスを受けるミケル・ランダ(スペイン、アスタナ) photo:Tim de Waele
シャンパンを開けるミケル・ランダ(スペイン、アスタナ)シャンパンを開けるミケル・ランダ(スペイン、アスタナ) photo:Kei Tsujiこのステージでは、僕はアプリカを警戒していた。アプリカの登りは勾配が緩く、風も吹いていたので自分向きではなかった。だからモルティローロでアタックすることなくフィニッシュ手前の勝負に持ち込んだんだ。モルティローロでアルベルト(コンタドール)が追いついた時、ファビオ(アル)は調子を落としていた。だから今日はステージ優勝狙いに切り替えた。

(エースが交代することはあるか?という質問に対し)それは分からない。僕がどれだけ調子が良いのかをよく見極める必要があると思う。今、僕は総合2位だけど、まだ総合タイム差を詳しく見ていないけど、ファビオのリカバリー具合によっては力を合わせてコンタドールに立ち向かえると思う。

僕がこのジロで最初からエースに据えられていて、アルのために働く必要が無かったとしたら、逆に何も残すことが出来なかったかもしれない。ジロで総合を争っているなんて状況は、僕にとっても初めての経験だからね。

ティンコフ・サクソの反応

マリアローザにキスをするアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)マリアローザにキスをするアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) photo:Kei Tsuji飛びっきりの笑顔でシャンパンを開けるアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)飛びっきりの笑顔でシャンパンを開けるアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) photo:Kei Tsujiコンタドール:終盤は非常にキツかったが、現状のタイム差にとても満足しているよ。クルイシュウィックを助けたかったが無理だった。ミケル・ランダにはただ一言「chapeau(=脱帽)」と言いたい。クルイシュウィックにとっては残念な結果だと思うが、自転車競技ではそれぞれの思惑が違うし、僕はそれを尊重している。(パンクしたマリアローザをライバルチームが待たなかったという)議論については何が正しいとか間違っているとか言うつもりはない。

38秒遅れでフィニッシュしたステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)とアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)38秒遅れでフィニッシュしたステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)とアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) photo:Tim de Waeleロジャース:閉幕まで勝負は終わらない。今日はチームとして上手く走れたと思うが、見方によってはアルベルトに対してティンコフ・サクソは何もサポートできなかったじゃないか、という意見もあるだろう。でもあの瞬間に他のどのチームも牽引する働きができていなかった。そして結果的にアルベルトはネガティブな状況を打開し、タイム差を更に広げる事ができた。

自分にとってはタフな一日で、アルベルトを引き上げるのは簡単な作業じゃなかった。でも事を上手く運べたし、その結果モルティローロの手前では完全に脚がいっぱいだったが、プランの範囲内だ。今この時点で僕らはまだここにいるし、マリアローザもキープしている。それが全てだ。

デヨンフ監督:アルベルトや他の選手が55秒遅れになった時、緊張の糸が張りつめた。前のグループがアルベルトを待たないと気づき、彼を前に引き上げるというモチベーションが上がった。その後アルベルトの登りは驚くべき物だった。アルに対して2分40秒も速いスピードで駆け上がったのは、もはや神がかっていたと言える。

ステージ2位、山岳賞を獲得したステフェン・クルイシュウィック(オランダ、ロットNLユンボ)

コンタドールが僕のことを今日一番強いと言ったって?それは素晴しい賛辞だ。実際に調子は良いし、今日の脚のコンディションに対してとても満足しているよ。休息日に良く回復できたのだと思う。ランダは今日ただただ強かった。その事は休息日の前から知っていたし、今日はステージ優勝ではなく、総合タイム差をつけるために走っていた。

マリアアッズーラを受け取ったステフェン・クルイシュウィック(オランダ、ロットNLユンボ)マリアアッズーラを受け取ったステフェン・クルイシュウィック(オランダ、ロットNLユンボ) photo:CorVos
総合成績を一つ落としたアンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)

今日はモルティローロを登るとあって、今年のジロで最も心配していたステージだった。それでも、恐れることなく自分のペースを保って登ることで、失うタイムを最小限にとどめるように試みた。スタートから天気も悪くて、ただでさえハードなステージがさらに複雑になったけど、それに負けることなく勇敢に走った。総合3位を守るために全力を尽くしたけど、それは達成できなかったね。でも、今日の僕はかなり登れていたし、最後まで戦い続けるつもりだよ。ミラノで表彰台に立つために、自分の全てを絞りだして走るつもりさ。

総合5位となったユーリ・トロフィモフ(ロシア、カチューシャ)

1級山岳モルティローロを登るユーリ・トロフィモフ(ロシア、カチューシャ)1級山岳モルティローロを登るユーリ・トロフィモフ(ロシア、カチューシャ) photo:Tim de Waele序盤に形成された逃げグループ序盤に形成された逃げグループ photo:Tim de Waele今日の結果やレース運びには満足しているよ。今日は特にモルティローロは非常にタフだったが、自分自身も、またチームとしての働きも十分なものだった。危険なアプリカの下りでは一丸となってアタックできてし、その後もモルティローロの登り口までチームが強力にサポートしてくれた。先頭に追いつくのは不可能だったが、4位という結果は十分だ。

逃げに加わったプリジミスラウ・ニエミエツ(ポーランド、ランプレ・メリダ)

ステージの序盤は、登りと寒さと雨とでとても厳しい状況だった。アタック合戦が始まって、僕は良い逃げに乗ることに集中していた。日曜日のステージで成功したように10人の逃げに加わることに成功したんだけど、今日は後ろの集団が僕らを容認してくれることは無かったね。

別府史之(トレックファクトリーレーシング)

今日のステージはまた別な意味でのハードなステージだった。平均勾配が10.9%、最大勾配18%のモルティローロを登り、獲得標高合計は4500m。ギヤはインナーローを36x32、リアディレイラーはアルテグラに変更。だけどアウタートップは53x11という仕様。

レースは途中、大雨に見舞われ、寒くて2回も着替えた。厳しいステージだったけど、展開はスムーズだったので、無難に走ってゴールできた。一緒に走っていた集団の大半は、みんなキツそうで冗談も話せない状況だったけれど、自分は比較的余裕もあって元気です。

グルペットでフィニッシュした別府史之(トレックファクトリーレーシング)グルペットでフィニッシュした別府史之(トレックファクトリーレーシング) photo:Kei Tsuji
※各コメントは現地取材、レース/チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイト/Twitter/Facebookより。

text:So.Isobe,Naoki.Yasuoka
photo:CorVos,Kei.Tsuji
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