休息日前の難関山岳ステージ。アスタナの牽きにティンコフ・サクソのアシスト陣が崩壊したものの、アルベルト・コンタドールの牙城は揺るがず。ステージ優勝は最終盤にアタックしたミケル・ランダが獲得しました。



3日ぶりの快晴に恵まれたジロ・デ・イタリア第15ステージ3日ぶりの快晴に恵まれたジロ・デ・イタリア第15ステージ photo:CorVos


序盤はティンコフ・サクソのペースメイクでレースが進んだ序盤はティンコフ・サクソのペースメイクでレースが進んだ photo:CorVos大会唯一の長距離個人タイムトライアルを終えたジロ・デ・イタリアは、最後の休息日前の山岳ステージに突入。ドロミテ山塊に到達したプロトンはこの日、後半から1級山岳が立て続けに登場する難関山岳コースに直面した。

アスタナが総出でペースアップを試みるアスタナが総出でペースアップを試みる photo:CorVos3日間降り続いた雨はようやく上がり、休息日前とあってかこの日は逃げを狙う動きが活発化する。序盤から次々と選手が飛び出したものの、ティンコフ・サクソなどがなかなか容認しない。最初の1時間の平均速度は48km/hにのぼり、50km地点から始まる2級山岳ラ・フリッカでようやく3名が飛び出しを決めた。

ファビオ・アル(イタリア)を引き続けるアスタナファビオ・アル(イタリア)を引き続けるアスタナ photo:CorVos10名ほどの先行グループから抜け出したのは、ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)と2度目のステージ優勝を狙うイルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)。ここに山岳ポイントの加算を狙うベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)がジョインし、徐々に後続との距離を広げていく。

牽制とアタックを繰り返しながら進むトップグループ牽制とアタックを繰り返しながら進むトップグループ photo:CorVosするとラ・フリッカの下りで集団からセルジオ・パウリーニョ(ポルトガル、ティンコフ・サクソ)が先頭に合流し、次いでカンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、チームスカイ)、ウベール・デュポン&マッテーオ・モンタグーティ(共にAG2Rラモンディアール)、ディエゴ・ローザ(イタリア、アスタナ)、ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシング)も逃げに加わる。アスタナはパウリーニョが逃げたことでローザを送り込み、均衡を保った形に。

終盤に仕掛けたユーリ・トロフィモフ(ロシア、カチューシャ)は2位。しかし総合順位を大きく上げた終盤に仕掛けたユーリ・トロフィモフ(ロシア、カチューシャ)は2位。しかし総合順位を大きく上げた photo:CorVosしかし逃げ切りを狙う上では総合チームの存在はよろしくない。するとヴィスコンティがアタックして先頭グループの分断を試み、結果的に4名(ヴィスコンティ、ブックウォルター、デュポン、シウトソウ)に絞られることとなった。

スピーディーな展開で残り31km地点に登場する1級山岳パッソ・ダオーネ(登坂距離8.4km、平均勾配9.2%)に差し掛かると、メイン集団ではティンコフ・サクソの牽きに意気消沈気味のリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)が脱落。アスタナが総出でペースアップを開始すると、これまでコンタドールのアシストとして尽力してきたティンコフ・サクソのアシスト陣が崩壊してしまう。

その後もメイン集団からはエドアルド・ザルディーニ(イタリア、バルディアーニCSF)がアタックしたが、アスタナの牽きの前に引き戻される。その後もアスタナのハイペースは崩れること無く、最後の1級山岳マドンナ・ディ・カンピーリオ(登坂距離15.5km/平均勾配5.9%)に到達した。

スキーリゾート地へと至るマドンナ・ディ・カンピーリオは、かのマルコ・パンターニがステージ優勝を飾りながら高いヘマトクリット値が原因でレースから除外された1999年以来、ジロ史上2回目の登場だ。この登りのラスト5km地点で、メイン集団は8人(コンタドール、アル、ランダ、カンゲルト、ケーニッヒ、アマドール、トロフィモフ、クルイシュウィック)に絞り込まれる。

すると残り3km。ランダがコンタドールを引き離すためにペースを上げるが、肝心のアルが苦しそうな表情で距離を空けてしまう。この動きが呼び水となって好調のコンタドールとランダが抜け出す。結果的にアルとトロフィモフが合流したが、その他のメンバーはこの時点で千切れることに。



ステージ優勝を挙げたミケル・ランダ(スペイン、アスタナ)ステージ優勝を挙げたミケル・ランダ(スペイン、アスタナ) photo:CorVos
親指を立ててゴールするアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)親指を立ててゴールするアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) photo:CorVos総合5位にジャンプアップしたレオポルド・ケーニッヒ(チェコ、チームスカイ)総合5位にジャンプアップしたレオポルド・ケーニッヒ(チェコ、チームスカイ) photo:CorVos



祝福を受けるミケル・ランダ(スペイン、アスタナ)祝福を受けるミケル・ランダ(スペイン、アスタナ) photo:CorVos残り距離も少なくなり、それぞれがアタックと吸収、牽制を繰り返すジリジリとした心理戦が繰り広げられていく。一番苦しそうな表情を見せていたトロフィモフが起死回生のアタックを仕掛けると、ランダが残り700mで追走に回った。

鉄壁の走りで総合を守ったアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)鉄壁の走りで総合を守ったアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) photo:CorVos牽制するコンタドールとアルを置き去りにし、トロフィモフを抜き去ったランダはそのままフィニッシュへ。最終局面でも一番に余裕を見せていたランダが、第8ステージ2位の鬱憤を晴らす会心の勝利を挙げることとなった。

そしてコンタドールはアルを1秒離して、ボーナスタイムも獲得。既に総合で大きなリードを得ているコンタドールに対して、アスタナはステージ優勝で一矢報いる形となった。チームとしては第9ステージのティラロンゴに続く2勝目だ。

トップグループに続いた総合上位勢も大きく順位にシャッフルが掛かり、ランダやケーニッヒ、トロフィモフがそれぞれジャンプアップ。序盤に遅れたウランは総合15位まで後退し、明暗が別れる結果となった。

各選手のコメントは別記事で紹介します。


ジロ・デ・イタリア2015第15ステージ結果
1位 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ)
2位 ユーリ・トロフィモフ(ロシア、カチューシャ)
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
4位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
5位 ステフェン・クルイシュウィック(オランダ、ロットNLユンボ)
6位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)
7位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、チームスカイ)
8位 タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)
9位 アレクサンドル・ジェニエ(フランス、FDJ)
10位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)
4h22'35"
+02"
+05"
+06"
+38"
+42"
+1'00"
+1'10"
+1'49"
+2'13"


個人総合成績
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
2位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
3位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)
4位 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ)
5位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、チームスカイ)
6位 ユーリ・トロフィモフ(ロシア、カチューシャ)
7位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)
8位 マキシム・モンフォール(ベルギー、ロット・ソウダル)
9位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)
10位 アレクサンドル・ジェニエ(フランス、FDJ)
60h01'34"
+2'35"
+4'19"
+4'46"
+6'36"
+6'58"
+7'10"
+8'20"
+9'53"
+10'53"


マリアロッサ ポイント賞
エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)

マリアアッズーラ 山岳賞
ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)

マリアビアンカ ヤングライダー賞
ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)

チーム総合成績
アスタナ

text:So.Isobe
photo:CorVos

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