TOJのフィナーレは定石通りの集団スプリントで決着。昨年の東京でプロ初勝利を挙げて以降ミラノ~サンレモで5位に入るなど一回りも二回りも成長したニッコーロ・ボニファツィオが圧巻の走りで集団スプリントを制覇した。そして、総合優勝は2年連続でミルサマ・ポルセイエディゴラコールの手中に。



日比谷公園をスタートし大井ふ頭周回コースへと向かうプロトン日比谷公園をスタートし大井ふ頭周回コースへと向かうプロトン photo:Yuya.Yamamoto


上機嫌なベテラン「パコ」ことフランシスコ・マンセボ(スペイン、スカイダイブドバイ)上機嫌なベテラン「パコ」ことフランシスコ・マンセボ(スペイン、スカイダイブドバイ) photo:Yuya.Yamamoto山岳賞のラヒーム・エマミ(イラン、ピシュガマンジャイアント)と総合リーダーのミルサマ・ポルセイエディゴ  ラコール(イラン、タブリスペトロケミカル)山岳賞のラヒーム・エマミ(イラン、ピシュガマンジャイアント)と総合リーダーのミルサマ・ポルセイエディゴ ラコール(イラン、タブリスペトロケミカル) photo:Yuya.Yamamotoウラジミール・グセフ(ロシア、スカイダイブドバイ)ら5名の逃げ集団ウラジミール・グセフ(ロシア、スカイダイブドバイ)ら5名の逃げ集団 photo:Yuya.Yamamoto大型モニターの前を通過していくメイン集団大型モニターの前を通過していくメイン集団 photo:Yuya.Yamamoto自転車の街として知られる大阪は堺を出発してから1週間。ツアー・オブ・ジャパンは大都会東京でフィナーレを迎えた。第7ステージはオフィス街の中に位置する日比谷公園をスタートし、増上寺前や旧海岸通りなどを走る14.7kmの移動区間を経て、大井ふ頭に設けられた1周7.0kmの周回コースを14周する112.7km。海風が強く吹き付けることもあるが、オールフラットであることから集団スプリントでの決着が通例となっている。

この日のステージ優勝候補筆頭はニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、ランプレ・メリダ)。昨年の東京ステージでプロ初勝利を飾って以来スプリント力に磨きを掛け、伝統のGPルガーノを制し、ミラノ~サンレモでは5位に入っただけに是が非でも注目が集まる。そして、第3ステージ美濃の集団スプリントを制したニコラス・マリーニ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)も有力候補の1人。ここまでステージ優勝がない日本人選手にとっては最後に意地を見せたいところだ。

2年連続の総合優勝を手中に収めたミルサマ・ポルセイエディゴラコール(イラン、タブリスペトロケミカル)を始め、東京に辿り着いたのは89名。堺から少しだけ人数を減らしたプロトンは、日比谷公園に集まった大勢のファンと交流を楽しみ、定刻どおり11時の号砲と共にスタートを切る。1.2kmのパレード区間の後、アタックと吸収を繰り返しながら、無数のビルがひしめき合う大都会を南へと進む。

大井ふ頭に入り、逃げを決めたのは8名。第2ステージを制したチュニジアチャンピオンのラファー・シティウィ(スカイダイブドバイ)を筆頭に、長くカチューシャで走っていたウラジミール・グセフ(ロシア、スカイダイブドバイ)、ディラン・ガードルストーン(オーストラリア、ドラパックプロサイクリング)、台湾チャンピオンのフェン・チュンカイ(ランプレ・メリダ)、ホセ・ビセンテ(スペイン、マトリックスパワータグ)、そして日本からは内間康平と西薗良太(ブリヂストン・アンカー)、山本元喜(NIPPOヴィー二ファンティーニ)が入った。

一方のメイン集団は、総合リーダー擁するタブリスペトロケミカルがメインとなってコントロール。レース距離が短いことから先頭とのタイム差は1分半以下で推移。

逃げ集団は協調体制がとれているかの様に思われたが、シティウィがペースアップを繰り返したことにより山本、次いで西薗とガードルストーンが脱落。6周回完了時で先頭は5名になり、更にその後の1周で3名が遅れる。結局、先頭には共にスプリンターを抱えるスカイダイブのシティウィとマトリックスのホセの2人が残り、ラスト2周に入るホームストレートで吸収された。



チームメイトに守られながら走るミルサマ・ポルセイエディゴラコール(イラン、タブリスペトロケミカル)チームメイトに守られながら走るミルサマ・ポルセイエディゴラコール(イラン、タブリスペトロケミカル) photo:Yuya.Yamamoto
最後まで逃げ続けたラファー・シティウィ(チュニジア、スカイダイブドバイ)とホセ・ビセンテ(スペイン、マ  トリックスパワータグ)最後まで逃げ続けたラファー・シティウィ(チュニジア、スカイダイブドバイ)とホセ・ビセンテ(スペイン、マ トリックスパワータグ) photo:Yuya.Yamamotoメイン集団の中でスプリントに備えるニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、ランプレ・メリダ)メイン集団の中でスプリントに備えるニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、ランプレ・メリダ) photo:Yuya.Yamamoto

都会の高層ビル群を背にフランシスコ・マンセボ(スペイン、スカイダイブドバイ)が集団を加速させる都会の高層ビル群を背にフランシスコ・マンセボ(スペイン、スカイダイブドバイ)が集団を加速させる photo:Yuya.Yamamoto


山本元喜らNIPPOヴィーニファンティーニ勢山本元喜らNIPPOヴィーニファンティーニ勢 photo:Yuya.Yamamoto大井ふ頭周回コースの沿道には多くのファンが詰めかけた大井ふ頭周回コースの沿道には多くのファンが詰めかけた photo:Yuya.Yamamoto2年連続でニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、ランプレ・メリダ)が東京ステージを制覇2年連続でニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、ランプレ・メリダ)が東京ステージを制覇 photo:ツアー・オブ・ジャパン組織委員会ステージ優勝のニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、ランプレ・メリダ)ステージ優勝のニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、ランプレ・メリダ) photo:Yuya.Yamamotoゴールへ向けて加速する集団からは面手利輝(日本ナショナルチーム)らがカウンターアタックを仕掛けるも、すぐにチェックが入る。これ以降目立った飛び出しは発生せず、集団スプリントを狙うランプレ、スカイダイブ、NIPPO、アンカー、ドラパックがプロトンの前方を固める形で最終周回へ。

スプリントへ向けて各チームが体制を整える中、フィニッシュライン1.2km手前の最終コーナーで落車が発生。アンドレア・パリー二(イタリア、スカイダイブドバイ)や寺崎武郎(ブリジストンアンカー)らを含む10名が地面に叩きつけられる。一方で、人数を揃えたドラパックを先頭に集団ではスプリントがスタートする。

ラスト100mで先頭に踊り出たのは第1ステージ堺を制したブレントン・ジョーンズ(オーストラリア、ドラパック)。しかし、歩道側に寄りすぎていたジョーンズの右からはニコラス・マリーニ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)を先頭としたラインが伸びてくる。

そしてラスト50m。マリーニと第4ステージ南信州を制したベンジャミン・プラデス(スペイン、マトリックスパワータグ)の後ろから満を持してボニファツィオが先頭に出て、そのままトップでゴールラインを通過。昨年につぐTOJ東京ステージ連覇を達成した。ジョーンズとマリーニはそれぞれ2位と3位に。5位には黒枝咲哉(日本ナショナルチーム)が入った。ちなみ、黒枝の5位は今大会における日本人ステージ最高順位でもある。

あどけなさが感じられたプロ1年目の昨年とは異なり、身体的にも精神的にも成長して日本に帰ってきたボニファツィオ。「ポイント賞と新人賞を巡ってレースが活発になるだろうと予測していた。第3ステージでは前を塞がれて思う様にスプリントできなかったが、今日は道幅も広くポジション取りが順調にでき、そして勝利を上げることができた。昨年よりもリカバリーが上手くいったことが今日の勝因だと思う」とレースを振り返った。

総合は2年連続でミルサマ・ポルセイエディゴラコール(イラン、タブリスペトロケミカル)が制覇。3月のツール・ド・台湾につぐ優勝となった。「台湾と同じくピシュガマンジャイアントと競る展開となった。彼らはとても力があり、同じレースに出れば常にライバルとして意識している。一方でレース外では友達でもあり、(総合2位で山岳賞の)ラヒーム・エマミとは練習仲間でもある。今日はジャージを守り切ることだけを意識していたけど、最後に2人のチームメイトが落車してしまったのが残念。来年もオファーがあればTOJに出場したい一方で、チャンスがあればヨーロッパのプロチームで走ってみたい」とレース後の記者会見でコメントした。

その他、山岳賞はラヒーム・エマミ(イラン、ラヒーム・エマミ)、ポイント賞はヴァレリオ・コンティ(イタリア、ランプレ・メリダ)、新人賞はイリア・コシェヴォイ(ベラルーシ、ランプレ・メリダ)、チーム総合優勝はピシュガマンジャイアントが獲得している。




4賞ジャージとステージ優勝者が登壇4賞ジャージとステージ優勝者が登壇 photo:Yuya.Yamamoto


ツアー・オブ・ジャパン2015 第7ステージ東京結果
1位 ニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、ランプレ)
2位 ブレントン・ジョーンズ(オーストラリア、ドラパック)
3位 ニコラス・マリーニ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)
4位 ボリス・シュピレフスキー(ロシア、RTSサンティック)
5位 黒枝咲哉(日本ナショナルチーム)
6位 大久保陣(宇都宮ブリッツェン)
7位 黒枝士揮(NIPPOヴィーニファンティーニ)
8位 鈴木龍(那須ブラーゼン)
9位 ベンジャミン・プラデス(スペイン、マトリックスパワータグ)
10位 土井雪広(チーム右京)
2h17'14"


個人総合成績
1位 ミルサマ・ポルセイエディゴラコール(イラン、タブリスペトロケミカル)
2位 ラヒーム・エマミ(イラン、ピシュガマンジャイアント)
3位 ホセイン・アスカリ(イラン、ピシュガマンジャイアント)
4位 アミール・ザルガリ(イラン、ピシュガマンジャイアント)
5位 フランシスコ・マンセボ(スペイン、スカイダイブドバイ)
6位 トマ・ルバ(フランス、ブリヂストン・アンカー)
7位 ディディエール・チャパッロ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)
8位 ダミアン・モニエ(フランス、ブリヂストン・アンカー)
9位 ガデル・ミズバニ(イラン、タブリスペトロケミカル)
10位 イリア・コシェヴォイ(ベラルーシ、ランプレ・メリダ)
16h17'53"
+24"
+52"
+53"
+1'02"
+1'18"
+1'37"
+1'55"
+2'36"
+2'38"


個人総合ポイント順位
1位 ヴァレリオ・コンティ(イタリア、ランプレ・メリダ)
2位 ルカ・ピベルニク(スロベニア、ランプレ・メリダ)
3位 フランシスコ・マンセボ(スペイン、スカイダイブドバイ)
54点
53点
47点


個人総合山岳順位
1位 ラヒーム・エマミ(イラン、ピシュガマンジャイアント)
2位 フェン・チュンカイ(台湾、ランプレ・メリダ)
3位 アミール・ザルガリ(イラン、ピシュガマンジャイアント)
25点
14点
14点


新人賞
イリア・コシェヴォイ(ベラルーシ、ランプレ・メリダ)

チーム総合順位
1位 ピシュガマンジャイアント
2位 ブリヂストン・アンカー
3位 アヴァンティ
48h55'41"
+8'11"
+11'00"


text&photo:Yuya.Yamamoto, ツアー・オブ・ジャパン組織委員会

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