今年のジロでは数少ない見せ場を競いあったピュアスプリンター達。並み居る強敵を蹴散らしたサーシャ・モドロや、残り3kmで起こった落車で明暗を分けたファビオ・アル、アルベルト・コンタドールらのコメントを紹介します。



ジロでの初勝利を手にしたサーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)

波乱のスプリントを制したサーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)波乱のスプリントを制したサーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ) photo:Kei Tsuji
念願のジロ初ステージ優勝を飾ったサーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)念願のジロ初ステージ優勝を飾ったサーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ) photo:Kei Tsuji僕の仲間であり同僚であり、友人であるマキシミリアーノ・リケーゼが完璧なリードアウトをしてくれた。僕が勝てたのはチームの働きのおかげだ。彼らの素晴らしい働きのおかげで、最後のストレートで思い通りのスプリントに持ち込めた。今日はスプリンター達にとって、ミラノを除けば最後のチャンス。このチャンスをモノにしたかった。

ここまで、リケーゼのリードアウトがあったにかかわらずスプリントできなかった第7ステージのフィウッジでは自分に失望していた。第10ステージのフォルリでは逃げが決まってしまってスプリントのチャンスがなかった。でも、それは僕がホームステージで勝利出来るという運命のためだったんだと思う。たくさんの友人が故郷であるサン・ヴァンデミアーノで応援してくれていた。この経験は生涯忘れることはないね。僕のキャリアで最高の勝利さ。

マリア・ローザを奪い取ったファビオ・アル(イタリア、アスタナ)

マリアローザを獲得したファビオ・アル(イタリア、アスタナ)マリアローザを獲得したファビオ・アル(イタリア、アスタナ) photo:Kei Tsuji今日のステージは平坦なんだけど、天気も良くなかったし、ラウンドアバウトや多くの障害物があってとてもハードなステージだったよ。どんなアクシデントが起きても避けられるように、常に先頭付近へ位置するように気をつけていた。今は明日のタイムトライアルのことで頭がいっぱいだ。このジロにとって、非常に重要なステージになるだろう。持てる力全てを出し切りたい。とはいっても、ジロがミラノで終わることは忘れていないよ。

リーダージャージを失ったアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)

タイム差を最小限に食い止めるべく集団を率いてゴールラインを切るアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)タイム差を最小限に食い止めるべく集団を率いてゴールラインを切るアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) photo:Tim de Waeleチームは良いポジションで走っていたし、クラッシュが起こるのは良く見えていた。ニュートラルが適用される3km地点よりも200m手前で落車が起きてしまったのは不幸だった。落車して、まず確認したのは自分の身体が動くこと、そして一刻も早くフィニッシュラインを越えるためにバイクを用意することだった。

2度目の落車だけど、これくらいで諦めるようなことはないさ。失ったタイムは36秒と決定的なものじゃない。でも、取り戻そうとするとかなり大変な差でもある。でもそのタイム差よりも落車したときに誰かのバイクのチェーンリングにぶつけた左足が気がかりだね。これが一番僕に悪い影響を与える可能性があるからね。出来うるかぎり早く脚を治したいね。今は氷で冷やして炎症を抑えているよ。

僅差の2位でゴールしたジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)

サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)が僅差でジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)を振り切るサーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)が僅差でジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)を振り切る photo:Tim de Waele今日のゴールは荒れると予想していたから、早い段階からチームメイトに協力してもらい終盤へ向けての準備を進めた。ラスト10kmは特にコーナーが多かったから前方で安全に切り抜けたかった、最後の最後でチームメイトとはぐれてしまい、1人になってしまった。それでも(サーシャ)モードロの番手を取ることが出来たけど、今日のランプレのアシストはただただ凄かった。そして残り180mで先頭に出たモードロのスプリントも完璧だった。

自分はモードロの右側にスペースを見つけて、そこから全力で踏んだけど、モードロはフェンスを利用してラインを潰しに来たんだ。そして、今日もあと僅かな所で勝利を逃してしまった。確かにモードロはラインを変えてきたけど、僕のラインを完全に塞いできた訳ではない。誰だってモードロの様な状況になれば、ああいった走りをするはずだ。モードロにとって地元でステージ優勝を挙げられたことは素晴らしいこと。自分は2位ばっかりで、チームメイトやスタッフには大変申し訳ない気持ちだ。

ポイント賞を奪還したエリア・ヴィヴィアーニ

チームメイトに守られながら走るリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)チームメイトに守られながら走るリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ) photo:Tim de Waeleステージを獲った後、マリアロッソはこのレースにおいて僕の大きな目標なんだ。今日、リッチー(ポート)はクラッシュの影響でタイムを失った。このジロで彼はツいてないというのは確かだ。僕らは今日のステージが雨で危険だと分かっていたから、多くのチームメートでリッチーを守っていたんだ。でも落車は違う場所で起こってしまった。このステージは僕らにとっては不運だったよ。

明日は今大会唯一の個人タイムトライアル、そして明後日はマドンナ・ディ・カンピーリオの登りゴール。彼はこのレースで何を成し遂げたいのか、決めることとなるステージになるだろう。

逃げについての経験を語るジェローム・ピノー(フランス、IAMサイクリング)

逃げ続けるジェローム・ピノー(フランス、IAMサイクリング)、リック・ツァベル(ドイツ、BMCレーシング)、マルコ・フラッポルティ(イタリア、アンドローニジョカトリ) 逃げ続けるジェローム・ピノー(フランス、IAMサイクリング)、リック・ツァベル(ドイツ、BMCレーシング)、マルコ・フラッポルティ(イタリア、アンドローニジョカトリ) photo:Tim de Waele
踏切に行く手を遮られた逃げ集団踏切に行く手を遮られた逃げ集団 photo:Tim de Waele最初の2kmで逃げを決めることが出来た。例え結果が分かっていたとしても、先頭でレースを進めることはとても楽しいものだ。とても酷いアレルギーが発生してしまい、スタート時点での体調は決して良いものではなかった。3人で逃げ切りを狙って結局は集団の飲み込まれてしまったけど、できる時にはいつも勝利を狙わなければならない。

今日の様なコンディションでは何が起こっているかは中々外から窺い知ることはできないと思うけど、今日は集団とのギャップが2分以上に開かない様にしていた。でも、驚くことに逃げ集団を吸収したのはスプリンターチームではなく、総合系のチームだった。特にティンコフ・サクソが先頭でコントールしていたね。自転車レースには科学の様にいつでも同じという訳ではないんだ。

これまでのキャリアの中で多くの逃げにのってきたけど、そのほとんどが成功しなかった。でもジャージを観客の皆に見てもらえるというだけでも悪くないし、スポンサーの宣伝をしっかりとするということもプロサイクリストの重要な使命なんだ。今日逃げに入った後、逃げ切りが難しいステージだと分かっていたけれど、勝利に向かって作戦を練り自信を高めていくことができた。一日中ハイスピードで逃げることが出来て自分の脚の調子が良ければ、また今日同じことを考えて勝利を狙って行くつもりだよ。

ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)をアシストした別府 史之(トレックファクトリーレーシング)

4秒遅れの第2集団でゴールした別府史之(トレックファクトリーレーシング)4秒遅れの第2集団でゴールした別府史之(トレックファクトリーレーシング) photo:Kei Tsuji今日のステージは平坦で距離の短いスプリントステージ。天候は雨。 スタートから終始フルスピードでレースは進み、チームメイト2人が先頭を引いて集団をコントロール。 自分はジャコモと一緒にスプリントポイントに備えた。ラスト50kmに差し掛かり風向きが変わり集団も一気にナーバスになった。チームが先頭を引いているので前に位置することができるので、雨で濡れた路面のリスクを回避するために集団の前にでて、チームメートをサポート。

その後、ラスト3.5kmの落車では自分も落車に巻き込まれそうになったけど、なんとか回避した。 ジャコモはまたしてもステージ2位。スプリントジャージも同点の2位でレッドジャージには届かず。チーム一体となってレースを運んだがまたしても勝利を掴むことが出来なかった。

※各コメントは現地取材、レース/チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイト/Twitter/Facebookより。

text:Naoki.Yasuoka,Yuya.Yamamoto
photo:Kei.Tsuji,Tim de Waele